🌌37}─2─繁殖し過ぎたトキは害鳥として稲作農家の生活を脅かす。〜No.192No.193No.194 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本の自然を破壊するのは、自然と共に生きる地方の住民ではなく、自然を知らない自分勝手な都市の住人である。
 特に、都会の動物愛護原理主義者は狂信的自然教信者として自然が理解できない。
・・・
 日本農業は、ローカルな自然崇拝を持って、如何に自然神と共生共存するかに腐心していた。
 神域と人界をハッキリ区分けし、神域は神聖不可侵の自然神の世界として、神域に入って穢す行為は死に値すると定めていた。
 神域と人界の狭間に置かれたのが里山である。
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 2020年2月27日号 週刊新潮「仰天!トキ400羽超えで住民困惑もはや〝害鳥〟
 新型肺炎の影響は思わぬところにも広がっている。上海歌舞団による『朱鷺(とき)』の日本公演がウイルス蔓延のために中止になってしまったのだ。
 この舞劇、1999年に中国の江沢民主席(当時)が日本につがいのトキ(ヨウヨウとヤンヤン)を贈ったことから日中友好の象徴として作られた作品だ。当時、日本では保護されていたトキが最後の1羽となっていまい、国産種は絶滅の縁にあった。トキの学名はニッポニア・ニッポン。何としても復活させたい政府(当時の環境庁)は、中国からもらい受けた2羽を、新潟県の『佐渡トキ保護センター』で大事に育て、今では自然繁殖するまでになっている。
 一昨年には秋篠宮家の眞子さま佐渡島で行われた『佐渡トキ野生復帰10周年式典』にご出席。『環境後進国』と揶揄されがちな昨今、誰もが嬉しいニュースのはず、だった。
 ところが、最近になって地元の佐渡では、そのトキが問題になっているという。数が増え過ぎたのだ。
 獣医でトキの保護事業に関わった葉梨輝夫氏(佐渡市在住)が言う。
 『佐渡ではトキ保護センターが幼鳥を育て自然に話してきたのですが、観察して分かったのは、トキは意外に繁殖相手を見つけるのが上手だということ。現在、野生のトキは430羽ほどいますが、このペースだと数年のうちに自然繁殖だけで1,000羽を超えると見ています。それだけ佐渡が自然豊かであるとも言えるのですが・・・』
 増え過ぎると何が起きるのか。葉梨氏が続ける。
 『佐渡には8年前に固有種と認定されたサドガエルがいます。これも稀少な野生動物なのですが、サドガエルの大好物。そういった捕食被害に加えて、もうひとつ問題が出てきた。トキは足に水かきがついていて、田植えの季節に稲の苗を踏みつぶしてしまう。このままの増え方だと、地元のコメ農家との摩擦を懸念されているのです』
 その淡いピンク色を指して『朱鷺色』と呼ばれるほど美しい羽を持つトキだが、大正の頃までは害鳥扱いされていた。
 そこで環境省佐渡自然保護官事務所に聞くと、
 『たしかにトキが苗を踏んで困るという声は農家から上がっておりまして、今年に入って4回、環境省新潟県、そして佐渡市で座談会を開いております』(担当者)
 人間の都合で連れられてこられたトキの子孫は、そんな事情を知るはずもなく佐渡の空を飛び回っている。」
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 ウィキペディア
 トキ亜科 (学名:Threskiornithinae) は、ペリカン目の1グループであり、ヘラサギ亜科との2亜科でトキ科を構成する。日本語に於いて鳥類の「トキ」という場合、狭義にはNipponia nippon 一種を指すが、広義にはこのグループに属する鳥全体を指している。 かつてはコウノトリ目に分類されてきたが、近年の研究によりペリカン目へ移された。
 分布
 北アメリカ南部・南アメリカ・アフリカ・南ヨーロッパ・アジア・オーストラリアなどの熱帯から温帯域の湿地・湖・平原・サバンナに、12属20数種が生息。
 概要
 基本的には中型の水鳥であるが、サバンナや平原に生息するものもいる。脚と嘴が長く、特にその細長く下に湾曲した嘴はこのグループ共通の特徴となっている。この嘴は触覚が発達しており、湿地に生息する者は水中・泥中にこの嘴を差し込み、嘴に触れた甲殻類などの小動物を捕食する。
 ほとんどの種は社会性が強く、大きな群れを作って行動する。営巣も集団で行い、時には数万羽が崖の上・樹上に巣を作る。
 歴史
 最古の化石は新生代になったばかりの暁新世の地層から発見されている起源の古い群である。南アフリカ鮮新世の地層からは、現生のハゲトキ属とクロトキ属に属すると完全に判断できる化石が発見されており、特に後者は脚の一部だけながら現生のアフリカクロトキの物とほとんど区別できない。北アメリカの同じく鮮新世からはブロンズトキ属の化石が発見されており、更新世からは世界各地で化石が産出している。
 ハワイやジャマイカなどの島嶼において非飛翔性の種が出現したことが判明しているが、現在では全て絶滅し現生種は全て飛翔性である。また、永らくドードーの一種だと考えられてきたレユニオンドードーは、骨格が発見されて詳細に調べられた結果、現在ではクロトキ属の1種とする説が主流となってきた。
 人との関わり
 古代エジプトではトキがヘビや害虫を食べる事から、疫病からの守護者として敬われていた。エジプト神話ではトキは書記と学芸の神トートの化身とされて非常に敬われ、神殿に祀られた数多くのアフリカクロトキのミイラが発見されている。エジプトのトート神とギリシア神話のヘルメース神が同一視された事からヘルメースの化身ともなり、テューポーンの出現により神々が思い思いの姿に身を変えて脱出する際にはヘルメースはトキに変身している。しかしその後キリスト教社会になると、逆に泥をあさる不浄の鳥として扱われるようになっていった。
 その主な生息域が人のそれと重なることが多いことから、同様の条件にある他の鳥類の例に漏れず、絶滅の危機に瀕している種が多い。ホオアカトキはかつてはヨーロッパにも広く分布していたが現在ではモロッコとトルコにしか生存しておらず、個体数も1000羽を切ったと考えられており、非常に危険な状態である。同様に絶滅の危険が高いのは東アジア産のトキであり、中国では飼育・野生合わせて約1000羽、日本には中国産(日本産と同種)のものが約100羽いるのみである。
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 ニコニコ大百科
 トキ(朱鷺)とは、鳥類の一種である。
 概要
 ペリカン目トキ科の鳥。
 現在絶滅の危機に瀕している種であり、2010年3月現在中国に約600羽、日本に112羽、韓国に2羽生存しているのみである。
 乱獲・絶滅
 既に書いたとおりトキは既にほぼ絶滅しているが、これは人為的な乱獲によるものである。
 トキがたくさんいた頃は、トキは田んぼや畑を荒らす害鳥としての認識が一般的であり、盛んに駆除が行われていた。
 稲作で苗を植えたそばから踏んづけてダメにし、育ってきたら来たで稲にとって有益な虫などを見境無く食べてしまう。実際、新潟地方には「鳥追い歌」と言う歌があり、内容はスズメやサギ等の鳥と一緒にトキが田んぼを荒らすといったもの。
 江戸時代では鳥類のむやみな殺生を禁じるお触れが出ていた事もあってトキは希少どころかカラスやスズメのようにありふれて邪魔な鳥であり、農民がお上にトキ駆除の許可を懇願するほどだったと言う。
 加えて、害鳥でありながらトキの羽は装飾品として需要があったため、トキは明治時代に入ったあたりからは乱獲に次ぐ乱獲で一気に数を減らすことになる。
 なお、トキ絶滅の原因に農薬が挙げられる事があるが、これは誤りと言っていい。日本で農薬が使われだした1950年代の時点で、既にトキは2~30羽程度しか残っておらず絶滅寸前だったからである。
 現在は後述の神宮式年遷宮や日本を象徴する鳥である事などの関係で、国によって保護が進められているが、今でも一部からは害鳥であるトキを保護する理由がどこにあるのか、と異論を唱える声が上がっている。
 この声はトキ保護そのものに反対する層に限ったものではなく、トキ保護そのものは賛成するが、放鳥して野生に返すことで田畑の被害がまた出るのではないかと懸念する・・・と言った声もある。
 トキに関する逸話
 伊勢神宮神宮式年遷宮
 天皇宮司を務める唯一の神社・伊勢神宮は、20年に一度、建物やその他装飾品などを全て新調し、敷地内を移動するという儀式がある(神宮式年遷宮)。
この時新調される神宝の一つ、須賀利御太刀(すがりのおんたち)は柄にトキの羽を2枚使うと定められている。
 なお次回の遷宮は平成25年。現在、トキの羽は次回の分まで確保されているため、少なくとも次回の遷宮は確実に行われる。
 トキ保護センター
 トキは既に野生のものが絶滅しているため、本来ならば「保護すべき対象がどこにもいない」事になるが、いまだに運営が続いている。その理由は上記の神宮式年遷宮のため。
中国のトキと日本のトキは遺伝上は全くの同一種だが、1300年も続いている日本国の神聖な儀式に使われるトキの羽が中国産ではあまりに格好が付かないため、なんとしてでも「日本産トキ」を確保すべく運営されているのである。
 (「乱獲・絶滅」の項にあるとおり、純日本産野生トキは既に絶滅してしまっているが、親が中国産であっても日本で生まれて日本で育ったトキなら日本産と言えるだろう・・・と言う理屈)
 古代エジプトの知恵の神、トト神
 古代エジプトの神話には、人身ながら頭部がトキである神、トト(ジェフウティ)神が登場する。この神は一般に知恵、知識を司るとされ、また当時のエジプト社会では非常に尊敬されていた職業、書記の守り神の役も担っていた。そのため、複数の創世神話が並存しているようなアバウトさを特徴とするエジプト神話の全盛時においても、系統を問わず非常に広い範囲で主要な神として祭られていた
 またこの神を祭った神域からは、21世紀現在までに数万体にも及ぶ朱鷺のミイラが発見されている。これは神への捧げものとして奉られたものであるが、エジプト学においては神話の領分のみならず、当時の自然環境を知るための貴重な資料としても役だっている。
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