🌌5}─2─オーストラリアで森林火災拡大。インド洋のダイポールモード現象。〜No.24 

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 2020年1月9日 産経新聞「オーストラリアの森林火災拡大、コアラなど10億匹の動物犠牲 韓国相当の面積焼失 
 ソーシャルメディアに投稿された森林火災の映像=2019年12月7日、豪州南東部ニューサウスウェールズ州(ロイター)
 【シンガポール=森浩】オーストラリアで森林火災が拡大している。延焼面積は1千万ヘクタールを超え、煙は太平洋を超えて南米チリにまで到達。森林火災としては同国で過去最大の規模となった。気候変動がもたらす高気温などが影響したとも指摘される一方、モリソン首相ら政府の対応に批判が集中している。
 豪州では例年、夏を迎えて乾燥する12月ごろに森林火災が発生するが、昨年は9月ごろから東部ニューサウスウェールズ州を中心に多発している。森林火災による上昇気流が、炎をまとった「火災旋風」を生み、消火活動を困難にしているという。
 ロイター通信によると、これまでの延焼面積は韓国の面積に匹敵する約1030万ヘクタール。消防士を含む少なくとも26人が死亡した。南部カンガルー島では推計2万5千匹のコアラが犠牲になった。シドニー大は、全土で哺乳類、鳥類、爬虫(はちゅう)類など10億匹以上の動物が死んだとする研究結果を発表した。
 原因として指摘されるのが気候変動の影響だ。オーストラリア国立大・気候変動研究所のハウデン所長は「火勢の強さ、延焼速度の速さの主な要因は気温だ」と述べる。豪東部は3年間にわたる干魃(かんばつ)で乾燥した状態にあるうえ、12月に入って最高気温40度超の日が続いていた。
 ただ、豪政府は気候変動と森林火災に因果関係はないとの姿勢だ。テーラー・エネルギー相は「世界的な炭素排出量の削減に関して、やるべきことをしている」と主張しており、火災を受けて、炭素排出量削減に向けた取り組みの強化はしない考えを表明した。
 何より批判を集めているのがモリソン氏の姿勢だといえる。モリソン氏は火災が猛威を振るう12月中旬、クリスマス休暇で米ハワイ州に滞在していたことが判明。今月6日に復興を支援する専門の政府機関の設置を発表したが、対応の遅さには消防隊員からも批判の声が出る。ツイッターでは「ファイア・モリソン」という言葉が拡散。ファイアには「火」と「解雇」の両方の意味がある。
 森林火災の経済への具体的な影響は不明だが、復興には44億豪ドル(約3293億円)が必要と見積もられている。豪経済は成長鈍化が指摘されており、政府は12月、2019会計年度の国内総生産(GDP)成長見通しを2・25%に下方修正したばかり。経済への悪影響が鮮明となれば、政権に逆風となりかねない事態だ。
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 YAHOO!JAPANニュース
 インド洋ダイポールモード現象 豪の森林火災と日本の暖冬
 片山由紀子 | 気象予報士/ウェザーマップ所属
 2019/12/8(日) 11:10
 オーストラリアで大規模な森林火災 煙による大気汚染も深刻に(写真:ロイター/アフロ)
 オーストラリアで続く大規模な森林火災。インド洋西部の海面水温が上昇するインド洋ダイポールモード現象が発生し、オーストラリアだけでなく、日本にも影響が広がっている。
 豪で記録的な高温と干ばつ
 南半球のオーストラリアはこの夏、観測史上最も暑い夏になりました。1月24日はアデレードで最高気温46.6度を記録、都市部でも極端な暑さに見舞われました。また、1月から10月までの降水量はオーストラリア全体で平年を34パーセント下回り、1902年以来最も少なくなったそうです。
 この極端な雨不足により、ニューサウスウェールズ州クイーンズランド州南オーストラリア州で深刻な森林火災が発生しています。大規模な火災による煙(赤破線で囲った部分)は日本の気象衛星ひまわりでも捉えられました。
 気象衛星ひまわりが捉えたオーストラリア森林火災の煙(2019年11月21日、ウェザーマップ
 また、米航空宇宙局(NASA)の専門家はオーストラリアから南太平洋に流れだす煙を追跡し、南アメリカから大西洋まで達したと述べています。
インド洋ダイポールモード現象が発生
 この異常とも言えるオーストラリアの雨不足はインド洋の海面水温に原因があります。エルニーニョ現象が終息したこの春以降も、インド洋西部の海面水温は基準値より高い状態が続いていて、それにより発生した上昇気流が乾いた空気となって、インドネシアからオーストラリアに吹き降り、雨が降りにくい状況を作り出しているのです。
 インド洋ではエルニーニョ/ラニーニャ現象と同じように、西部と東部の海面水温がシーソーのように変動することが知られていて、これをインド洋ダイポールモード現象(Indian Ocean Dipole)と言います。
 日本は暖冬に
 このインド洋ダイポールモード現象は日本の天候にも影響します。インド洋西部で海面水温が高い場合、雲が通常よりも活発に発生し、上昇気流が強められます。この強い上昇気流はユーラシア大陸を西から東に流れる偏西風の流れを変え、偏西風は日本の北を流れやすくなるのです。
 偏西風が日本の北を流れると、暖かい空気が日本列島を覆い、全国的に気温が高くなります。この秋の記録的な高温も、この冬の暖冬予想も、元をたどればインド洋にたどり着きます。
 向こう1か月(12月7日~1月6日)の平均気温は全国的に平年を上回る可能性が高い(気象庁ホームページより)
 オーストラリア気象局はインド洋ダイポールモード現象が当初の予測より長引き、来年1月まで続く見通しを示しています。日本も年始にかけて、強い冬型の気圧配置が現れにくく、全国的に気温が高くなりやすいとみられています。
 【参考資料】
 気象庁:1か月予報、2019年12月5日発表
 オーストラリア気象局:ENSO Wrap-Up Current state of the Pacific and Indian oceans、26 November 2019
 オーストラリア気象局:Special Climate Statement 70 update drought conditions in Australia and impact on water resources in the Murray-Darling Basin、29 November 2019
 世界気象機関(WMO):2019 concludes a decade of exceptional global heat and high-impact weather、3 December 2019
 世界気象機関(WMO):Australia hit by heat and fires、21 November 2019
 米航空宇宙局(NASA):NASA's Terra Satellite Sees Fire and Smoke from Devastating Bushfires in Australia、November 14 2019
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