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2019年11月22日 産経新聞「パナソニック社長、令和3年度までに赤字事業撲滅方針
会見に臨むパナソニックの津賀一宏社長=22日午前、東京都港区(古厩正樹撮影)
パナソニックの津賀一宏社長は22日午前、東京都内で記者会見を開き、令和3年度までに構造的な赤字事業をなくすとともに、営業利益率が5%に満たない低収益事業の方向性を決める方針を明らかにした。空間設計や工場の省人化といった高収益事業に経営資源を集中し、家電などのモノを売るビジネスモデルからサービスを軸としたビジネスモデルへの転換に向けた構造改革を加速する。
アナリスト向けの事業説明会に先立ち、5月に発表した新中期経営計画の取り組み状況と今後の事業戦略を説明した。
津賀社長は会見で「モノを大量生産、大量販売するのではなく、顧客の一人一人に最適なサービスを提供できるようにするのが目指す姿だ」と説明。赤字事業に関して3年度までに撤退を含む方向性を決め、赤字減少分で400億円の固定費削減を図るとした。現在赤字となっている米電気自動車大手のテスラ向け電池事業は「黒字転換が見込める」として対象外とした。
また、赤字事業対策以外にも退職に伴う人件費の削減で300億円、拠点の集約・効率化で300億円の固定費削減を推進し、3年度までに計1千億円の利益を生み出すとした。」
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11月28日19:12 産経新聞WEST「パナソニック、半導体事業を台湾企業に270億円で売却
パナソニックのロゴマーク(古厩正樹撮影)
パナソニックは28日、半導体事業から撤退し、同事業を手がける子会社を台湾の半導体メーカー、新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)に売却すると発表した。売却額は2億5千万ドル(約270億円)。来年6月1日を予定している。
赤字事業見直しの一環。パナソニックは令和2年3月期での黒字化を目標に掲げていたが、米中貿易摩擦の影響などで販売が減速し、達成が困難として売却を決めた。
半導体事業を手がける完全子会社、パナソニックセミコンダクターソリューションズ(PSCS、京都府長岡京市)を売却。富山県や新潟県の3工場を運営する合弁会社の持ち分も譲渡するが、一部の関連部品事業は残す。
パナソニックは過去に半導体の売上高で世界の上位に入ることもあったが、近年は韓国や台湾のメーカーとの競争激化で業績が悪化していた。PSCSの平成31年3月期の営業損益は235億円の赤字。令和2年3月期は工場との契約の見直しで収益の改善が見込まれたが、黒字化までは難しいという。
全社的に業績が伸び悩むパナソニックは、今月21日に液晶パネル事業からの撤退を発表するなど事業構造改革を進めている。
津賀一宏社長は中期経営計画の最終年度となる令和4年3月期までに赤字事業をなくし、車載電池事業など成長が見込める領域に経営資源を集中させる考えだ。
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11月28日19:17 産経新聞WEST「パナも撤退、「日の丸半導体」凋落 30年間で見る影なく惨敗
「日の丸半導体」の凋落(ちょうらく)が止まらない。パナソニックは次世代自動車の普及を見据え車載向け半導体を強化していたが、大規模な投資で競争力を高めた韓国や台湾勢の台頭に加え、米中貿易摩擦による需要の低迷に力尽きた。かつて世界市場を席巻した国内半導体メーカーは、この30年間で大半が退場。「産業のコメ」といわれた半導体の劣勢で、製造業の競争力低下を引き起こす懸念も広がる。
日本勢は戦後の高度成長期、自社製品に半導体を搭載し技術力を高めた。1980年代からは、コンピューターの記憶装置に使う「DRAM」で世界市場をリードした。
半導体市場調査会社の米ICインサイツによると、90年にはNECや東芝など6社が世界シェアのトップ10を席巻。しかし、90年代中盤には米インテルに首位を奪われ、その後は韓国サムスンや台湾TSMCにも追い抜かれた。DRAMが激しい価格競争にさらされたこともあり、日本の半導体産業は再編の末に淘汰(とうた)された。
NEC、日立製作所、三菱電機のDRAM事業を統合したエルピーダメモリは2012年、市況の悪化を受けて経営破綻。3社のシステムLSI(大規模集積回路)を統合したルネサスエレクトロニクスも、今年1~9月期で本業のもうけを示す営業損益が赤字に転落するなど低迷している。1990年に世界10位だったパナソニックも近年は営業赤字が続き、ロームに一部事業を売却するなど縮小を続けていた。
パナソニックは今月21日にも液晶パネル生産からの撤退を発表したばかり。ソニー、東芝、日立の液晶事業を統合したジャパンディスプレイも外資の支援を求めている。いずれも「落ち目」にある液晶産業、半導体産業の現況は、日本の電機産業が置かれた厳しさを映し出している。(林佳代子)」
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12月18日10:00 産経WEST「迷走するパナソニック、液晶・半導体も撤退 見えぬ戦略
記者会見に臨むパナソニックの津賀一宏社長=11月22日、東京都港区
国内電機の「敗戦」を象徴する出来事だった。パナソニックが11月、液晶パネル事業からの撤退と半導体事業の売却を立て続けに発表した。かつて液晶と半導体で世界市場をリードした日本の電機メーカーは、巨額投資を繰り返した中国や韓国メーカーなどとの競争になすすべなく惨敗。政府も公的資金投入などで支援したが再建はかなわなかった。事業構造の見直しを余儀なくされたパナソニックを中心とする国内メーカーは今後どのような道を歩むのだろうか。(林佳代子)
「270億円」に驚き
「AV機器が沈んでいく中、車載向けなどにかじを切ったが、スピード感が足りなかった」。パナソニックの半導体事業を担当する北折良常務は11月28日、台湾メーカーへの事業売却を発表した席で“敗戦の弁”をこう述べた。
パナソニックは松下電器産業時代の1957年、オランダ・フィリップスと合弁会社を設立して半導体事業に参入。自社製のテレビやビデオデッキに搭載することで生産量を増やし、1990年には世界シェアで10位になった。
しかし、AV機器が売れなくなるにつれ業績が低迷。近年は車載向けにシフトして収益改善を目指したが、米中貿易摩擦の影響などもあり黒字達成が困難になった。
半導体子会社の2019年3月期の売上高は922億円あったが、売却額は約270億円。北折常務は「金額は妥当」と強調したものの、社内の一部からは「思ったより安くて驚いた」との感想が上がった。さまざまな製品の基盤となる半導体事業を手放すことで技術力の低下を懸念する声もあった。
パナソニックは、その1週間前には液晶パネル生産からの撤退を発表。10年に生産を始めたが、16年には競争激化を受けてテレビ向けから撤退。その後は医療機器や車載用などに特化して赤字脱却を目指したが、最終的に再建を断念した。
同じ轍を踏んだ日本勢
半導体と液晶はかつて日本の「お家芸」とされ、世界に技術力を知らしめた。だが、時代とともに巨額投資で力をつけた海外勢に追いつかれ競争力を失った。
半導体は1980年代から90年代にかけ、NECや日立製作所、東芝などがこぞって事業を拡大し、日本勢で世界シェアの5割を握った。ところが、半導体の主役がメモリーに代わるとインテルなど米国勢の高性能品に太刀打ちできなくなり、90年代中盤には韓国サムスンにも追いつかれた。
これを経験した日本勢は2000年代初頭、半導体と同じ轍(てつ)を踏まないために液晶パネル事業への巨額投資を加速させ、カーナビなどの中小型液晶パネルの世界シェアの約9割を日本勢が握った。
先頭に立ったのがシャープで、ライバルのパナソニックと競い合うように国内に巨大な液晶パネル工場を建設し、一時は「亀山ブランド」で世界のテレビ市場を席巻した。しかし、08年のリーマン・ショックを機に世界でテレビ需要が落ち込むと、過剰投資のツケが回って業績が悪化。16年に台湾の鴻海精密工業から出資を受け、日本の大手電機メーカーで初めて外資の傘下に入ることになった。
シャープが先鞭(せんべん)をつけた液晶パネル事業は結果的に中国勢や韓国勢に主役の座を奪われ、日本勢の多くが縮小や撤退に追い込まれた。
「敗戦処理」で事業売却
一部メーカーは半導体、液晶ともに合従連衡を進めることで生き残りを図ったが、こちらも過酷な運命をたどっている。
半導体では、NECと日立、三菱電機のDRAM事業を統合したエルピーダメモリが12年に経営破綻。3社のシステムLSI(大規模集積回路)事業を統合したルネサスエレクトロニクスも今年1~9月期に営業赤字に転落した。
液晶パネルでは東芝、日立、ソニーの液晶事業を統合し、一時シャープの合流もささやかれたジャパンディスプレイ(JDI)が外資の傘下で経営再建を目指すことが決まった。
いずれも国が事業再編の旗を振ったにもかかわらず、うまくいかなかった。特に官民ファンドからの度重なる支援を受けながら再建に失敗したJDIをめぐっては、「国の後ろ盾に甘えていた」(業界関係者)との批判が根強くある。
半導体と液晶パネルの国際競争に敗れた日本の電機メーカーは「敗戦処理」として次々とパソコンなどの不採算事業を手放し、構造改革に追われた。液晶と半導体を手放さずにいたパナソニックも、ここに来てついに退場を決めた。
描けない成長戦略
パナソニックは2021年度までに赤字事業をなくす方針を掲げる。巨額投資の成果が出ない車載事業を「成長の柱」から外し、オフィスの空間設計や工場の省人化など法人向けサービス事業を新たに成長の柱に据えた。
住宅事業と電気自動車用の一部電池の生産事業をトヨタ自動車との合弁会社に移すなど事業の統廃合を進めるが、社内からは「会社の目指す姿が分かりにくい」との声が上がる。巨額赤字に陥ったプラズマテレビ事業からの撤退などで一時業績を回復させたが、リストラに追われた面もあり成長戦略を描けていない。
そんな中、津賀一宏社長は「中国市場で勝てなければパナソニックの将来はない」と語り、今年4月に社内カンパニー「中国・北東アジア社」を新設するなど中国にも目を向け始めている。中国では16年ぶりの家電工場建設も明らかになった。
ただ、中国市場は国際情勢の影響を受けやすく、思うような成果を上げられるとはかぎらない。液晶と半導体から撤退したパナソニックが再び輝くことができるかは見通せない状況だ。」
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