💫16}─2─生まれた命は必ず死に、栄えれば必ず滅びる、それが自然である。〜No.112 

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 2019年10月5日 朝日新聞「読書  評・柄谷行人
 『崩壊学 人類が直面している脅威の実態』
 パブロ・セルヴィーニュ、ラファエル・スティーヴンス〈著〉鳥取絹子訳 草思社
 一切の望み棄てた上で見える活路
 地球の生物は過去に五度絶滅したことがある。その最後は、6500万年前、恐竜の絶滅期であった。次の『六番目の絶滅期』が今迫っている。それは18世紀後半のイギリスに起こった産業革命とともに始まり、特に20世紀後半に加速した。時に20世紀後半に加速した。それは人口から見ても明らかである。1830年に10億であった世界人口が、1930年に20億、現在は70億となっている。絶滅の兆候は、化石エネルギーの払底や気候変動(温暖化、水不足など)としてすでにあらわれている。そして、それは現実に、さまざまな困難をもたらしている。今後の見通しは、ますます暗い。
 もちろん、このような危機に関しては、多くの意見・対策が提起されてきた。太陽光、風力、地熱、その他、再生可能エネルギーを活用しようというような。しかし、実は、石油がなくなれば、現在の電力システムは、原子力発電も含めて崩壊してしまうほかない。在来型石油にかかわる、シェールガスなどに期待を寄せられたが、それもまもなく尽きてしまう。どんな再生可能エネルギーにも、化石エネルギーの消滅を埋め合わせるほどの力がない。著者らはいう。《エネルギー源の減少は、まさに世界の経済成長の決定的な終わりを予告している》
 エネルギー危機が深刻な経済危機に先行することは、1970年代の石油ショックと2008年の経済危機において示されている。世界経済のシステムは、石油価格の高騰と下落に左右されているのだ。しかし、このような危機は一般に認知されない。というのは、それが事実であれば、資本主義的な世界経済がまもなく『崩壊』することを意味するからだ。ゆえに、それは集団的に否認される。そんなことはありえない、何らかの解決策があるはずだ、というのである。
 しかし、それはない。国連で唱えられる『持続可能な開発』などは、すでに非現実的である。たとえば、気候変動に関しても、今すぐ温室効果ガスの排出を全面的にやめても、気候の温暖化は何十年も続く。産業革命以前の環境に戻るためには、数世紀ないし何千年もかかる。今後に一層の自然破壊、さらに、飢饉と病気が生じるだろう。それは後進地域に始まって、全世界に及ぶ。さらに、経済危機が世界戦争に帰納するだろう。その兆候はすでにある。
 では、どうすればよいのか。何よりも、この現実を認めることである。本書には、いちおうの対策が示されている。しかし、本書がいうのはむしろ、一切の望みを棄てよ、ということだ。その上でのみ、ささやかな希望と活路が見えてくる。その意味で、『崩壊は終わりではなく、未来の始まりなのである』」
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 如何なる生物も、人種・民族・国家も、寿命が尽きれば死んで滅び、跡形もなく消滅する。
 それは、日本国家でも、日本民族でも、逃れられない定めである。
 地球も、太陽も、それこそ太陽系も天の川銀河も、何時かは崩壊して消える。
 全てが崩壊する時、天地を創造した唯一万能の絶対神など存在しないし、絶対神による都合が良い恩寵も奇跡もない。
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 有史の人類文明史において、数千年前から現代にまで生きて存在する古代文明・古代国家・古代人は何処にもない。
 現代に存在する文明・文化、国家・国民、大衆・民衆・人民、人種・民族・部族、科学・化学、医学・薬学、哲学・思想・主義主張など全ての起源を求めて辿っていけば、数十年、数百年、2000年位で途絶えてその先に遡(さかのぼ)る事はない。
 唯一、宗教だけが人類と伴に遡る事ができ、宗教だけが人類と伴に存在してきたといえる。
 反宗教無神論共産主義マルクス主義は、その宗教を否定し破壊してきた。
 だが、宗教には、死と血を好む不寛容排他的狂信的な個性の強い宗教と死と血を忌避する寛容曖昧受容な境界線がハッキリしない個性の弱い宗教の二つが存在する。
 個性の強い宗教は、神の恩寵や奇跡を起こして人々を引き寄せ、攻撃的な原理主義的宗教を無限量産する。
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