⚡41】─2─改竄・捏造・不正という新日本病。~No.190No.191No.192 * 

サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件

サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。  
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本製品の高い技術力と優良神話の化けの皮が剥がれ始めた。
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 不祥事・不正行為の隠蔽やデータの偽装・改竄・捏造で日本製品の信頼は地に落ちた。
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 日本企業は、モラルハザードより深刻なモラル崩壊を起こし、立ち直る自力浄化能力が機能していない。
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 日本企業は、先進国の企業どころか発展途上国並み、あるいはそれ以下のモラルしかないような有り様である。
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 革新派やリベラル派、左翼や左派、マルクス主義者や共産主義者らは、日本の未来の為ではなく、今の労働者の為に日本企業を潰そうとしている。
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 安全と確実の信頼・信用を信条とした日本の商い文化は、踏みにじられ、地に堕ち、衰退した。
 思考放棄・事勿れ主義・先送り体質の蔓延によって、日本の衰退は必然であった。
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 日本は、食糧・資源・エネルギーをアメリカの影響下にある諸外国から輸入し、金融・サービスをアメリカに依存し、輸送・運輸・交通をアメリカ軍の保護を受けている。
 日本には何一つとして自力できる事はない。
 共産主義者・反米派日本人ができる事と言えば、アメリカを口汚く罵り非難し、日米安保を解消し、アメリカ依存を止めるべきだと無責任に訴える事だけである。
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 2016年6月5日号 サンデー毎日三菱自動車東亜建設工業旭化成東洋ゴム工業東芝、スズキ・・・
 日本の名門企業はこうして堕落する
 日本を代表する企業による悪質な不正が立て続けに起きている。自動車、建設、電機、メディア、サービス業・・・と業種を問わず多数の企業が〝悪事〟を認め、経営トップが引責辞任に追い込まれた。偶然なのか。それとも日本の名門企業が堕落しているのか。
 新年度が始まってから三菱自動車東亜建設工業、スズキの3社が相次いで法令に違反する不正行為を明らかにし、経営トップが謝罪した。三菱自と東亜建設は社長が近く引責辞任する。
 さらに、韓国・環境省は5月16日、日産自動車の韓国法人が同国で販売したディーゼル乗用車に『排気を不法に操作する設定』があったと判断、販売した全車のリコール(回収)、在庫分の販売停止と課徴金3.3億ウォン(約3,000万円)の納付を命じた。韓国政府の主張が正しければ、国内乗用車メーカー8社中3社が燃費に関する不正に手を染めていたことになる(日産は不正行為を否定)。
 昨年も名門企業の不正行為がたびたび世間を騒がせた。横浜市都築区『傾いたマンション』の問題で発覚した、旭化成の子会社によるくい打ち工事に関するデータ改ざん△東芝の累計2,306億円に上る不正会計処理△東洋ゴム工業の子会社による免震ゴム製品の性能偽装と防振ゴム製品の検査偽装──の少なくとも3件で、会社側は不正行為を認め、社長ら経営幹部が引責辞任した。いずれも刑事事件に発展するだろう。
 どんな立派な人も企業でもミスを犯す。しかし、ここで挙げた各社の行為は、単なるミスとは見受けられない。三菱自東芝の経営トップは現場に対し高圧的に成果を求め、東洋ゴム旭化成の役員は不正が発覚する何年も前に把握しながら適切な対策を講じなかった。組織ぐるみの違法行為だった。不正の動機などの詳細がまだ明らかになっていない東亜建設やスズキを含む、過去5年間の名門企業による主な不正を表にまとめた。
 相次ぐ国内名門企業の失態に海外メディアは、『日本の企業風土』に原因があると報じている。英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、日本で名門企業のスキャンダルが頻発する要因として『過労、集団意識。ノルマ過剰で世界的に知られた』日本の〝サラリーマン・カルチャー〟を挙げる(5月3日電子版)。ロイターによれば、日本の企業風土は『内部通報者を尊敬することはまずなく、軽蔑する』。現にオリンパスの損失隠蔽を内部告発して解雇処分を受けたマイケル・ウッドフォード元社長は『日本では裏切り者として、まるでインドの不可触民のような扱いだ』と書く(同日配信記事)。
 日本企業は世界的に見て悪質なのか。
 ……
 『日本では利益連動型報酬は多くなく、正社員はまずクビにならないため、個人の利益が不正の動機になることはほとんどありません。日本では恥ずかしいことが起きて、それを〝臭い物に蓋〟とばかりに隠蔽するケースが大半です。実際、日本企業では安全性に関する不正が多い。安全性を重視する日本社会だからこそ「安全を損なうことをした我が社は非常に恥ずかしい」と考え、それを公表することは避けたくなるのです』(ベネシュ氏)
 問題を報告したら叱られる体質
 ベネシュ氏は典型例として雪印乳業パロマを挙げる。雪印は2000年に乳製品の集団食中毒事件を起こして社長が引責辞任した。さらに翌年には、子会社が農林水産省補助金をだまし取る目的で牛肉の産地を偽装したことが発覚、同社は解散し、実行役の従業員が有罪判決を受けた。両件による雪印グループは経営危機に陥り、解体した。
 一方、パロマは子会社が製造したガス瞬間湯沸かし器の使用により、1985?05年に計21人が死亡した。消費者庁は、事故が続出した要因としてパロマの責任を、『被害の拡大を防ぐための積極的な対応には至らなかった』『本件事故の根本的な原因を究明する努力がなされなかった』と指摘している。
 表で挙げた東亜建設、旭化成東洋ゴムの不正は、安全を損なうものだった。三菱自東芝などの不正は人命には直結しないものの、顧客、株式市場参加者や競合他社の経営利益を損ねたといえるだろう。
 『恥』を恐れる日本企業が不正を隠蔽に走る背景に、企業内部の力関係があるという。ベネシュ氏が続ける。
 『日本企業は年功序列という言葉があるくらい上下関係が厳しい。薄れているとはいえ、韓国あたりを除く海外の企業とは全然違います。体質が特に悪い企業では、報告を受けた上司は「自分で解決しなさい」「小さな問題で私を頼るな」と部下を叱り、報告内容を上層部に伝えない。部下は報告しなくなり、現場レベルで対応するようになります。本来、部下は問題を報告したら上司に感謝され、叱責などの報復を受ける心配をせずに済むべきです』
 ……
 東芝でも歴代社長が『チャレンジ』と称して過剰な業績改善を各事業部門に要求していた。昨年、取材した東芝社員らは『管理職が部下に「鉛筆をなめてこい」と、販売目標や技術資料の数値を改ざんするように圧迫する光景が日常的にある』と口々に語った。
 組織のためならインチキできる
 経済評論家の山崎元氏は、日本企業の集団論理をこう説明する。
 『自分のことならインチキはできなくても、組織のためならできるという心理があると思います。「会社のためにやっている」「ビジネスの現実だから仕方ない」と自分を納得させられる。国のためなら戦争で人殺しした人は英雄になるのと同じで、集団に帰属すると社会的、倫理的には悪いことでもできる人は多いでしょう』」
 企業の人間関係や力関係が変化する兆しはあるという指摘もある。企業の危機管理広報を担う『井之上パブリックレーション』(東京?新宿区)の尾上玲円奈(れおな)執行役員が言う。
 『不祥事が増加しているのではなく、露見しやすくなっているのだと思います。以前は従業員が勤務先の不正をメディアに告発するぐらいしか手段がありませんでしたが、今は当局にメールで通報したり、ネットに書き込んだりできます』
 東芝の不正発覚は、証券取引等監視委員会への内部通報が発端だった。オリンパスは、『内部の論理』に毒されていないウッドフォード氏を英国現地法人から本社社長に起用したことで発覚した。13?14年に続出したマンション施工ミスのいくつかは、工事関係者が購入予定者向けのネット掲示板に暴露したことがきっかけだった。
 前出のベネシュ氏によると、米国では企業の内部者が当局に不正を告発して摘発に至った場合、当局が企業から徴収する制裁金の10?30%を通報者に支払う制度に変わった。企業は従業員の当局への通報を恐れ、コンプライアンス(法令順守)から一歩踏み込み、『企業倫理』の担当者や専門部署を置くようになった。
 『米国でも従業員の多くは会社を裏切りたくないし、仕事を続けたいのです。だから会社は絶対に通報者に報復せず、不正の告発がしやすい風土に変える必要があります』(ベネシュ氏)
 企業風土とサラリーマン意識の変革は待ったなしである」
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 2017年10月8日14:19 産経WEST「神戸製鋼がアルミ製品データ改竄 国産ジェットMRJにも使用 副社長が謝罪
 愛知県営名古屋空港から離陸したMRJ=平成27年11月11日午前9時35分、愛知県(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)
 神戸製鋼所は8日、アルミ製品の一部の性能データを改ざんして納入していたと発表した。三菱重工業によると、開発中の国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)にも使われているという。
 神戸製鋼は昨年にもグループ会社によるステンレス製品のデータ改ざんが発覚しており、信用力の低下は必至だ。製品の供給先は約200社に及ぶとする一方、具体的な社名を明らかにしていない。
 アルミ製品のデータ改ざんは一部では10年ほど前から行われていたという。栃木、三重、山口の同事業の全ての工場で発覚し、神奈川県にある子会社の銅製品をつくる工場でも改ざんがあった。
 三菱重工は、神戸製鋼がデータ改ざんしたアルミ製品について、安全性に問題はなく、MRJの開発には影響しないとの見方を示した。
 神戸製鋼の梅原尚人副社長が東京都内で記者会見し「深く反省し、おわび申し上げます」と謝罪した。経済産業省に報告し、同省から法令違反や安全性に関わる事実関係を調査するよう指示を受けたという。
 神戸製鋼によると、顧客との間で取り決めた仕様に強度などが適合していない製品について、検査証明書のデータを書き換えていた。
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 神戸製鋼所 1905年創業。新日鉄住金、JFEスチールと並ぶ国内鉄鋼大手3社のひとつ。国際ブランド名は「KOBELCO」。アルミ、銅といった非鉄金属や産業機械の生産のほか、電力事業も手がける複合経営が特徴。2017年3月期連結決算は、中国事業の損失処理などが響いて純損益が230億円の赤字だった。」
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 2017年10月8日15:13 産経ニュース「神戸製鋼所、アルミ製品で性能データ改ざん MRJなどに出荷
 MRJ=2015年11月11日午前9時35分、愛知県(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)
 神戸製鋼所は8日、アルミ製品などで、強度や耐久性など性能面で、顧客の要求する基準に対応しているようにデータを改ざんしていたと発表した。対象となるのはアルミ製品が1万9300トン、銅製品が2200トン、アルミ鋳鍛造品が1万9400トン。自動車、航空機などの幅広く利用され、納入先は200社におよぶ。
 顧客との間で交した製品仕様に適合していない一部の製品で検査証明書のデータを適合しているように書き換えた。
 企業によるデータ改ざん問題では、平成28年に発覚した三菱自動車による燃費データ不正問題がある。三菱自の開発部門が高い燃費目標を達成するため、軽自動車4車種の燃費試験で意図的に燃費を良く見せるよう数値を改ざんしていた。三菱自日産自動車の傘下に加わるきっかけとなった。」
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 10月11日 産経WEST「【浪速風】「一瞬の信用失墜」を学ばなかったのか 神鋼、日産…「ものづくり日本」どうした?(10月11日)
 アルミ製品の一部で性能データを改ざんした問題について、謝罪する神戸製鋼所の梅原尚人副社長(中央)ら=8日午後、東京都港区
 これまで何度も引用した。「信用を獲得するには長い年月を要し、これを失墜するのは一瞬である。そして信用は金銭では買えない」。昭和30年、食中毒事件を起こした雪印乳業の社長が、工場の従業員に涙ながらに訓示した言葉である。経営者なら誰もが肝に銘じているはずだ。
 ▼神戸製鋼所がアルミ製品の強度などの性能データを改竄(かいざん)していた。10年以上も前からの不正という。製品は国産ジェット機や新幹線、宇宙ロケットにも使われ、なかでも影響が大きいのは自動車各社に納入されていたことだ。安全性に関わるなら大規模なリコール(回収・無償修理)につながる。
 ▼先に日産自動車が完成車を無資格者に検査させ、116万台のリコールを届け出た。品質管理を誇った「ものづくり日本」がどうしたことか。ドイツの鉄血宰相ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言った。補足すると、歴史とは「他人の経験」である。賢者はいないのか。
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 10月11日21:42 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】モラル軽視が浮き彫り、経営責任の追及は必至だ
 神戸製鋼グループのロゴマーク=11日、東京都品川区
 アルミと銅製品の性能データ改竄が発覚した神戸製鋼所では、経営トップから全社員に対し、コンプライアンス(法令順守)強化を促すメールが送信されるなどの対応に追われた。同社をめぐっては、過去にも不祥事が相次いでおり、モラル軽視が浮き彫りになっている。川崎博也会長兼社長ら経営陣の責任論が浮上するのは必至とみられる。
 神戸製鋼がデータ改竄を発表して最初の営業日となった10日、川崎会長兼社長は全社員にメールを送信した。事実の経緯を説明した上で、再度、法令順守徹底を促す内容だったが、どこまで社員の心に響いたかは疑問だ。
 昨年6月には、グループの神鋼鋼線工業の子会社が、ばね用鋼材で日本工業規格(JIS)を満たしているように試験データを改竄したことが発覚。神戸製鋼は公表から1カ月もたたないうちに、法例などの順守状況の一斉点検結果をまとめ、「新たな不正はなかった」と安全宣言した。
 しかし、1年数カ月後に今回のデータ改竄が発覚。8日の記者会見で、梅原尚人副社長は「前回はJISに関連するため、法的規格に関しての監査を厳しくした。その一方で(今回問題となった)民間同士の取引に対する意識が乏しかった」と釈明したが、取引先の信頼を失いかねない発言で、企業統治コーポレートガバナンス)崩壊の危機だ。
 神戸製鋼では、平成21年に政治資金規正法に違反したとして犬伏泰夫社長(当時)が引責辞任しており、度重なる不祥事は経営に深刻な打撃を与えそうだ。
 「不祥事企業」のイメージがつきまとう中、法令順守の欠如に真剣に向き合い、徹底した原因究明と再発防止策が求められる。(平尾孝)」
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 10月14日 産経WEST「【神戸製鋼データ改竄】他部門の不祥事は「人ごと」? 多角化・縦割りで反省共有されず
 神戸製鋼所東京本社=東京都品川区
 神戸製鋼所がグループ会社9社による不正を新たに公表したことで、関連会社を含むグループ全体への不信が広がっている。建設機械、プラント製造などへ多角化を推し進め、子会社200社以上を抱える神戸製鋼。しかし関連性の薄い事業が並ぶ縦割り構造が企業統治の機能不全を招き、不正の温床となってきた。
 「報道で知ってびっくりしている。うちにも影響がないか心配だ。しかし(不正の公表は)神戸製鋼本体のことなので分からない」
 ある有力グループ会社の幹部は、一連の不正について情報が共有されていないことに不安を募らせた。
 一方、不正が公表された別の子会社の幹部は「グループ内のほかの不正は、ちょっと想像できない」と語り、他の部門の情報を持っていないことを明かした。
 鉄鋼メーカーで国内3位の神戸製鋼は、業界の世界的再編や中国などとの競争激化が進む中、規模の劣勢を事業の多角化で補う「複合経営」に取り組んできた。主要事業は鉄鋼、アルミ・銅、建機、溶接、発電など7分野に及ぶ。同社によると、平成29年3月時点で子会社は213社、それ以外の関連会社も56社にのぼる。
 ただ、企業経営に詳しい青木英孝・中央大学教授は「グループが複雑、巨大化すると、不正も隠しやすい状況に陥る」と指摘する。
 また、専門性の高い部署の間で連携や情報共有ができない「縦割り経営」の弊害も生まれた。楽天証券の窪田真之・チーフ・ストラテジストは、「神戸製鋼は独立会社の集合体のような特性がある。グループ内の問題に全社で対応できていたのか」と疑問を投げかける。別部門の不祥事は人ごとと受け流され、反省や教訓が共有されなかった可能性があるというのだ。
 実際、グループ内では18年から昨年までに、製鉄所の煤煙(ばいえん)データ改竄(かいざん)、グループ会社の鋼材試験データ捏造(ねつぞう)、ばね用鋼材のデータ改竄が相次いで発覚したが、教訓が生かされないままさらに不正が重ねられた。
 川崎博也会長兼社長は13日の記者会見で、不正が同時並行的に行われていたことについて「その分析がキー(鍵)だと考える。原因分析の最中」と説明。本社部門のマネジメントに問題があったと認め、「風土的なものを感じられるのも仕方ない」とも述べた。
 神戸製鋼は1カ月以内に原因分析と対策を経済産業省へ報告するが、その先には企業文化の刷新という難しい課題も待ち受けている。」
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 10月24日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】今期業績予想「未定」 「格下げ」で市場からの資金調達困難も
 神戸製鋼所神戸本社=神戸市中央区(沢野貴信撮影)
 アルミ製品などの性能データ改竄問題を受けて、神戸製鋼所の業績悪化懸念が強まっている。不正の経営への影響が見極めづらい中、同社は30日の中間決算発表に合わせて平成30年3月期の通期業績予想を撤回し、「未定」とすることを検討。一部顧客が他社に発注先を変更するなど、ビジネスへの影響も徐々に出始めている。(井田通人)
 神戸製鋼は30年3月期に3期ぶりとなる350億円の最終黒字浮上を予想している。上期は鉄鋼事業が好調に推移。問題製品の売り上げに占める割合も4%と低いことから、今期業績への不正の影響はそう大きくないとの見方が強い。
 もっとも、梅原尚人副社長は「(他社に発注先を替える)転注が全くないかというと、それはある」と一定の影響を認め、競合のアルミ大手も「顧客から代わりに作れるか打診が来ている」と話す。問題製品の出荷先は約500社。既に数社から点検や部品交換にかかった費用を請求されており、今期業績が従来予想通り着地したとしても、先行きの影響は避けられそうにない。
 信用が低下する中、資金調達にも暗雲が漂う。格付け機関の日本格付研究所(JCR)は17日、神戸製鋼の長期発行体格付けを債務履行の確実性が高いとされる「A」から格下げする方向で見直すと発表した。BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは「収益影響が大きくないとはっきりしない限り格下げになるだろう」と予測する。
 27日には200億円の社債償還が控えている。同社は現預金だけで2030億円(6月末)を保有。「当面の資金繰りに問題ない」(幹部)としているが、今回の償還を乗り切ったとしても今後の社債発行は困難となり、銀行融資に頼る場面が増えそうだ。」
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 10月30日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】中小企業への波及を懸念 東京商工リサーチ社長
 神戸製鋼本社=神戸市
 東京商工リサーチ河原光雄社長は30日、産経新聞のインタビューに応じ、神戸製鋼所で発覚したアルミ製品等の性能改竄(ざん)問題について「影響は、神戸製鋼が製造した部材を使って製品を作っている末端の取引先にも広がる」と述べ、中小企業への波及を懸念した。
 東京商工リサーチによると、神戸製鋼グループの取引先は、国内で直接取引する1次販売先が2376社、その先で取引する2次販売先は9090社で、計1万1466社にのぼる。
 河原社長は「神戸製鋼との取引量が大きければ、出荷・販売が停滞しただけで業績にマイナス影響が出てくる」と指摘。「1次販売先には何らかの救済対応がされるだろうが、その先まではわからない」と述べた。」
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 11月7日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】不正、役員も黙認 OB証言「技術系で」会社全体にまん延
 神戸製鋼所神戸本社の外観=神戸市中央区(沢野貴信撮影)
 神戸製鋼所によるアルミニウム製品などのデータ改竄問題で、過去に複数の役員らも不正を黙認していたことが6日、関係者への取材で分かった。神戸製鋼は上層部の関与は認めていないが、不正は会社組織全体にまん延していたことがあらためて浮き彫りとなった。
 神戸製鋼のOBが共同通信の取材に応じ「技術系出身の役員らは不正の事情は知っている」と証言した。神戸製鋼はこれまで工場長レベルが関わっていたとしてきた。
 不正を巡っては、性能などの仕様を満たさない製品を顧客に無断で納入していたことが判明している。仕様不足が軽微な場合、顧客の了解を得て購入してもらう「特別採用」という慣行があり、神戸製鋼はこれを悪用していた。別のOBの証言では、不正の許容範囲をメモにして歴代の担当者が引き継いでいた。
 経済産業省は原因究明と再発防止策をまとめるよう求めており、神戸製鋼は今週中にも報告する見通し。」
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 11月10日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】【神戸製鋼所会見詳報(1)】背景に組織の閉鎖性「何言ってもムダ」蔓延する現場
 データ改ざんの原因結果を発表する神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長=10日午後、東京都千代田区(宮川浩和撮影)
 神戸製鋼所は10日、データ改竄(かいざん)などの不正行為に関する社内調査の結果と再発防止策を発表。午後5時から東京・大手町で開かれた記者会見には、報道陣約300人が詰めかけた。
 説明に当たった経営陣は川崎博也会長兼社長と山本浩司常務執行役員、勝川四志彦常務執行役員の3人。冒頭で川崎氏が「取引先、株主をはじめ、多数の皆様に多大なご迷惑をおかけしていることを改めて深くおわびいたします」と陳謝し、そろって頭を下げた。
 一連の問題究明をめぐり同社は、社内調査に対する現場社員の不正隠しがあったことも踏まえ、客観性を担保するために社外有識者だけで構成する調査委員会を10月26日に設置している。年内をメドに、不正の原因究明と再発防止策がまとまる見通しという。
 一方、今回の報告書は「10月25日までの社内調査をひとまず総括し、現時点で可能な範囲の再発防止策を立てた」(川崎氏)という。この中では、数十年前から続いていたともされる不正行為の原因をこう分析している。
 (1)収益評価に偏った経営と閉鎖的な組織風土
 (2)バランスを欠いた向上運営
 (3)不適切行為を招く不十分な品質管理手続き
 (4)契約に定められた使用の順守に対する意識の低下
 (5)不十分な組織体制
 このうち「閉鎖的な組織風土」について、川崎氏は「(不正に関して)『何を言ってもムダ』という空気が現場に蔓延(まんえん)していた」と苦渋の表情で説明した。」
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 11月10日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】企業風土改善を掲げるだけ…信頼回復の道のりは遠い ガバナンスは不全状態
 神戸製鋼所はデータ改竄(かいざん)問題に対する原因究明と再発防止策を10日に公表したが、信頼回復の道のりは遠い。国内外の多くの拠点で不正が常態化していた事実を再確認する一方、防止策としては企業風土改善を掲げるだけ。今回の不正以前にも、昨年発覚したグループ会社の日本工業規格(JIS)違反など不祥事が相次いでおり、現経営陣のコーポレートガバナンス企業統治)は不全状態だ。
 「経営体制を事業部門制にし、部門での収益重視の閉鎖的な組織風土が生じていた」。川崎博也会長兼社長は10日の記者会見で、問題の背景を説明した。
 データ改竄の原因としては、関係者も「各部門、各工場がそれぞれ“城”のように独立し、それぞれの価値観で判断していた」と明かす。部門の仲間内意識の強まりが、データ改竄という不正を日常的なものにしていた格好だ。
 原因究明の核心は不正が始まった時期や役員の認識の有無だ。川崎氏は弁護士で構成する「外部調査委員会の調査が続いている。これを待って報告したい」と、説明を避け続けた。
 企業経営に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は「神戸製鋼の不祥事体質は根深く、解体的な出直しが必要だ。川崎氏の引責辞任はやむなく、現経営陣の経営責任は厳しく問わなくてはならない」と指摘する。さらに、再発防止策として西村氏は、神戸製鋼に出資する新日鉄住金の幹部や役員OBらを経営陣に招くなど「第三者、外部人材による徹底的な改革が必要だ」と強調した。(平尾孝)」
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 11月14日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】【主張】神鋼の品質不正 統治不全で信頼を失った
 神戸製鋼所神戸本社=10月20日、神戸市中央区(沢野貴信撮影)
 検査データの改竄(かいざん)などの不正を重ねていた神戸製鋼所が、社内調査の結果をまとめた。
 収益を重視するあまり、品質よりも生産量の確保や納期が優先の体質が不正を招いたとした。閉鎖的な社内風土も不正の連鎖を断ち切れなかった要因だという。
 現場による改竄に気付けなかったとする経営陣の責任にも言及した。だが不正が始まった時期や経営陣の具体的な関与の有無などは不明のままだ。「究明」にはほど遠い内容である。
 企業が収益を重視するのは当然である。そのことが組織ぐるみの不正を招いた原因だと釈明することに、違和感をぬぐえない。
 外部有識者による調査委員会が、年内に最終調査をまとめるという。不正の背後にある根本的な原因に向き合わなければ、信頼回復など望むべくもない。
 報告書は、複数の部署で製品の品質データの改竄などが長く続き、多くの社員が不正に関与してきたと指摘した。収益確保のために納期を守ることに追われ、品質を軽視する姿勢が不正を招いたとしている。
 それもそうだが、品質を確保しないこと自体、顧客との信頼関係を裏切り、契約そのものを欺くものだ。製造業としての存在を否定するに等しい。
 長年にわたる品質不正が、日本の製造業への信頼を失墜させた点への反省が感じられない。
 多角化を進めた神戸製鋼は、鉄鋼やアルミなどの金属に加え、発電や建設機械など幅広い事業を抱える。これらの事業は独立採算で運営され、社員の人事交流もほとんどなかった。
 閉鎖的な縦割り組織で収益重視の「身内の論理」が優先され、契約や法令の順守という基本的な責任の放棄につながった。
 それを防ぐのが企業統治だ。神鋼の場合、これまで何度も法令違反などで経営トップが引責辞任している。不正を断ち切れない統治不全は深刻である。
 今回の品質不正では米司法当局なども調査を始めている。国内外からの賠償請求も避けられまい。すでに調達先を神鋼から他社に切り替える動きも出ている。
 同社は本社に品質監査部を設け再発防止に乗り出すというが、どこまで効果があるだろうか。企業統治の立て直しから始めるべきではないか。」
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 11月15日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】新たにJIS法違反 国際規格取り消しも
 コベルコマテリアル銅管の秦野工場=神奈川県秦野市(万福博之撮影)
 神戸製鋼所のグループ会社コベルコマテリアル銅管秦野工場(神奈川県秦野市)の銅管製品が、工業製品の品質や安全性の基準である日本工業規格(JIS)の認証を取り消されたことが15日、分かった。規格を満たさない製品にJISマークを付けて出荷していた。この工場でJISに関する法令違反が発覚するのは10月に続き2回目。
 秦野工場が、国際標準化機構(ISO)の品質管理に関する国際規格の認証を取り消されたことも判明した。品質管理の体制が不十分だと判断された。
 ISOやJISなどの規格は製品の性能や品質管理体制を保証し、取引の条件に指定する会社もある。認証が取り消されれば製品の信用が低下し、販売に影響する恐れがある。」
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 11月23日 21:10 産経ニュース「【データ改竄】疑われかねない素材メーカーの体質 傷つく「メード・イン・ジャパン」の信頼
 三菱マテリアルの本社が入るビル。同社は複数の子会社で品質を巡る不正があったと発表した=23日夕、東京千代田区
 三菱マテリアルが23日発表した子会社3社での品質をめぐる不正。神戸製鋼所のアルミ・銅製品などと同様の性能データ改竄(かいざん)の発覚は、素材メーカーの体質とも疑われかねない。問題の製品は幅広い分野で使用されており、相次ぐ不正に「メード・イン・ジャパン」の信頼がさらに傷つく恐れもある。
 三菱マテリアルによると、問題製品を出荷した可能性がある顧客企業は、詳細を明らかにしていない三菱アルミニウムを除き、三菱電線工業三菱伸銅合わせて258社。鉄鋼大手の神戸製鋼が問題の製品を納入していた525社の半数に迫る数字だ。
 三菱マテリアルは「現時点で安全性にかかわる問題は報告されていない」としているが、三菱電線が不正を説明したのは納入の可能性のある顧客企業40社にとどまり、今後増える可能性もある。3社は神戸製鋼同様に具体的な納入先は伏せたままで、一般消費者の不安も招きかねない。
 不正判明後の公表の遅れも神戸製鋼と共通している。三菱マテリアルによると、三菱電線は今年2月にシール材でデータ改竄を把握したが、問題製品の出荷を止めたのは10月23日。親会社の三菱マテリアルに報告したのは25日だった。
 神戸製鋼の場合、8月30日には経営陣が不正を把握していたにもかかわらず、1カ月以上過ぎた10月8日になってようやく公表したことで、消費者を軽視していると批判された。
 三菱マテリアルも、不正の把握から1カ月近くが過ぎているにもかかわらず公表せず、隠(いん)蔽(ぺい)と受け取られても仕方ない状況だ。出荷停止後にようやく不正を知ったという経営陣のガバナンス(企業統治)も含め、経営姿勢が厳しく問われることになる。(井田通人)」
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 11月23日12:46 産経ニュース「三菱マテリアル子会社も品質不正 基準下回る製品、納入の疑い
 三菱マテリアルの子会社、三菱電線工業(東京)で製品の品質に関する不正が見つかったことが23日、分かった。顧客企業が求めた基準を下回る製品を納入した疑いがあり、近く公表する。
 企業の品質管理を巡っては、神戸製鋼所がアルミニウムや銅といった製品で性能データの改ざんなどを重ねていたことが発覚しており、同種の問題が他社に拡大する。
 三菱電線で不正があったのは、航空機などに使われる工業用の樹脂部材とみられる。供給先が多方面にわたれば交換などの影響が大きくなりそうだ。
 三菱電線の2017年3月期の売上高は295億円、同期末の従業員数は約510人。親会社の三菱マテリアルはセメントから銅、工具、アルミ缶まで幅広く手掛けている。」
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 11月24日 07:06 産経ニュース「航空機大手2社が調査 三菱マテリアル子会社の不正 海外に影響拡大も
 米西部シアトルにあるボーイングの拠点=2015年10月(AP=共同)
 三菱マテリアルの子会社2社による一部製品の検査データ改ざん問題を受け、航空機大手の米ボーイングと欧州エアバスが、自社製品への影響を調査していることが23日、分かった。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が報じた。
 自衛隊の航空機や艦船のエンジンの一部に仕様書の要求値に満たない製品が使われていたことが既に判明しており、海外の企業にも影響が拡大する恐れが出てきた。
 ボーイングは同紙の取材に「この問題について調査しており、必要に応じて適時、適切に対応する」と回答。エアバスは、三菱マテリアル子会社で航空機向け部材を製造する三菱電線工業(東京)から「直接調達していない」としたが「当社に部品を供給している企業に影響がないか調査している」とした。
 米CNNテレビは「かつては卓越した技量で世界の羨望の的だった日本株式会社がもがいている」と伝えた。(共同)」
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 11月25日 産経ニュース「【三菱マテリアル不正】「神鋼よりも悪質」 問題把握後の出荷に批判
 検査データ改ざん問題について会見で謝罪する三菱マテリアルの竹内章社長(左から2人目)=24日午後、東京都千代田区(桐原正道撮影)
 三菱マテリアルの子会社による性能データ改竄問題で、経営陣が不具合を知りながらも、出荷を継続したことに批判が強まっている。データ改竄の不正は神戸製鋼所と同じだが、神戸製鋼は経営陣が把握した段階で、該当製品の出荷は停止していた。三菱マテの問題は、コーポレートガバナンス企業統治)の面で、神戸製鋼よりも悪質との評価だ。(平尾孝)
 三菱マテ子会社の三菱電線工業は、今年2月に不正が品質保証担当者に報告されて発覚。3月に村田博昭社長ら経営陣に伝えられたが、顧客に通知したり、出荷を停止したりするなどの措置はとられず、10月23日に出荷を停止するまで、問題製品の出荷が続いたことになる。
 村田氏は今月24日の記者会見で「常時生産製品は4万点あるが、出荷先でどんな製品に使われるかを特定し、どの程度逸脱していたのかを分析する必要があった。対応できる人材も限られ、時間がかかった」と説明。出荷停止にしなかったのは「あいまいな情報で、(不正を)公表すると大混乱になる」と、顧客、営業担当がパニックになることを恐れたためと弁明した。
 出荷先が特定できたことから、10月23日に出荷停止措置をとったというが、その一方で、それ以降の出荷状況は、現時点でも精査中という不明瞭さだ。
 さらに、理由がどうであれ、不正な製品が出荷される可能性を経営陣が知りながら、それを認めていたことには批判が出ている。
 流通大手の幹部は「うちの経営陣が商品不具合を知れば、とにかく即日の自主回収を指示する。それ以外の選択肢はない」と、三菱電線の対応を疑問視する。
 企業経営に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は「経営陣が知った上での出荷継続と聞いて、開いた口がふさがらない。神戸製鋼との比較以前に前代未聞の最悪の対処だ」と嘆く。
 さらに、こうした子会社の企業統治のずさんさを放置してきたとして、「三菱電線だけでなく、親会社の三菱マテにも経営責任があるのは自明だ」と強調する。」
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 11月28日13:10 産経ニュース「【東レのデータ改竄】当事者意識薄い? 淡々と発表 顧客の安全宣言完了せず
 記者会見で質問に答える東レの日覚昭広社長(手前)=28日午前、東京都中央区
 「安全性に問題はない」。子会社で不正が発覚した東レの日覚昭広社長はこう繰り返して説明したが、全ての顧客からは安全宣言を得られていない。手元の資料をうつむきながら読み上げて回答する場面も多く、当事者意識の薄さを感じさせた。
 28日午前に東京都内の東レのオフィスで始まった緊急記者会見。日覚氏は冒頭で「まことに申し訳ございません」と陳謝し、約20秒にわたり頭を下げた。だが、その後は淡々と会見を進めた。
 東レは今回の問題を昨年7月に把握した。公表が大幅に遅れており、会場の報道陣からは「裏切られたような気分だ」との声が上がった。今月初旬、インターネット上に不正に関する書き込みがあり、発表に至った。日覚氏は自発的な公表を「考えていなかった」と説明し、独り善がりの対応との印象を強くした。」
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 11月28日13:12 産経ニュース「【東レのデータ改竄】神鋼問題なければ「公表しなかった」 日覚昭広・東レ社長らの一問一答
 厳しい表情で記者会見する東レの日覚昭広社長=28日午前、東京都中央区
 東レの日覚昭広社長と子会社、東レハイブリッドコードの鈴木信博社長の記者会見の一問一答は次の通り。
 ?不正の動機は。
 鈴木氏 規格値からの外れが僅差で、品質上、異常でないという勝手な解釈から行われた。(不適合製品を顧客の了承を得た上で納入する)特別採用という慣習も動機になった。
 ?公表が遅れたのは。
 日覚氏 昨年に不正を把握していたが、安全性に問題はないため、発表は考えていなかった。ただ、今年11月にネット掲示板で書き込みがあり、正確なことを公表すべきだと考えた。
 ?神戸製鋼所三菱マテリアルの問題がなかったら公表しなかったのか。
 日覚氏 しなかった。
 ?今後の対応は。
 日覚氏 厳粛に受け止め、コンプライアンスの強化や信頼の回復に全力で取り組んでいく所存だ。」
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 11月28日19:59 産経ニュース「【東レのデータ改竄】素材産業で相次ぐ不正 モラル低下、消費者軽視、縦割り…共通の問題も 揺らぐモノづくり
 東レハイブリッドコードが製品検査データの書き換えを行った件で会見する、東レの日覚昭広社長=28日午前、東京都中央区(寺河内美奈撮影)
 神戸製鋼所三菱マテリアルに続いて東レ子会社でもデータ改竄が発覚した。素材メーカーの相次ぐ不正からは、現場のモラル低下や消費者軽視、縦割り組織の弊害といった、共通の問題が浮かび上がる。世界有数の技術を誇り、自動車など幅広い産業を支えてきた素材産業が力を失えば、日本のモノづくりの根幹が揺らぎかねない。
 「特別採用という慣習も動機になった」
 東レハイブリッドコード(THC)の鈴木信博社長は28日の記者会見で、不適合製品を顧客の了承を得た上で納入する「特別採用(トクサイ)」と呼ぶ日本独自の商慣行が隠れみのになったとの認識を示した。
 改竄は、歴代の品質保証室長2人が責任者としての権限を使い、検査成績書の承認段階で行っていた。同社は、ほかに関与者はいないとして組織ぐるみとの見方は否定した。
 トクサイの悪用は神戸製鋼三菱マテリアル子会社でも発覚。契約順守や安全優先の意識が薄れつつあることがうかがえる。
 日本の素材各社は、凋落が目立つ電機に比べると経営が安定している。だが近年はM&A(企業の合併・買収)で世界規模の巨大メーカーが相次ぎ誕生し、中国勢も台頭。押された日本メーカーは、技術頼みの姿勢を強めている。
 東レの不正は、再検査などの煩雑な作業を嫌ったのが動機という。収益確保が難しくなり、技術的なハードルも高まる中、納期順守のプレッシャーを感じていた可能性もある。
 神戸製鋼は、傘下にアルミ・銅など7つの事業部門を抱える。三菱マテリアルは事業別に4つの社内カンパニーを設け、権限を大幅に委譲していた。東レも多くの事業を抱え、子会社を含む事業部間の人事交流はあまりないという。縦割りの組織は閉鎖的な風土を生み、経営陣の監視の目も行き届きにくい。
 さらに、消極的な情報開示姿勢でも3社は共通している。東レの日覚昭広社長は神戸製鋼の問題がなければ今回の不正を公表しなかったとの考えも示しており、消費者軽視の姿勢は批判を集めそうだ。(井田通人)」
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 12月12日 産経ニュース「揺らぐ「ものづくり日本」 免震偽装の東洋ゴム子会社に罰金刑 透ける「消費者軽視」の姿勢
 初公判を前に枚方簡裁に入る東洋ゴム化工品の森下敏彦社長ら=9月26日、大阪府枚方市
 日本のメーカーでは今秋、神戸製鋼所東レといった業界大手で品質管理体制をめぐる不正が相次いで発覚。世界有数の技術力を誇る“ものづくり大国日本”の根底が揺れた。
 神戸製鋼所東レ三菱マテリアルでは製品データの改竄(かいざん)を、日産自動車、スバルでは無資格者が製品検査を行っていた。これらの不正には、日本独特の商慣行が影響を与えたとみられている。「特別採用(トクサイ)」だ。
 不適合な製品を顧客の了承を得た上で納入する手法で、「相手が受け入れたのだから問題ない」というモラルハザード(倫理観の欠如)を生じかない。神戸製鋼所は不正の原因の一つを「顧客からクレームがない限り、検査の軽視が許容されていた」と結論づけた。
 こうした考えには「消費者軽視」が透けてみる。東洋ゴム化工品による免震データ偽装事件の公判でも検察側は「国民の生命、身体の安全をないがしろにするもので、厳しく非難されるべき」と消費者に与える影響を重視した。
 一連の問題は、それぞれ専門性が高い分野だけに不正が発覚しづらい。こうしたことも踏まえ、各メーカーには高い規範意識が求められている。」
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新書813内部告発の時代 (平凡社新書)

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