⛻8〗─1─老舗の生き残り戦略。工業化とデジタル化が重なる『並存の時代』。〜No.24No.25No.26 * 

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   ・   ・  {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博} ・
 日本の工業化社会は、人口爆発と共に訪れて劇的な変化をもたらした。
 日本のデジタル化社会は、人口激減と共に訪れ静かに変化を起こす。
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 2019年8月号 Voice「ボルテックス×PHP シンポジウム・レポート
 長寿企業を育む『百年の計』プロジェクト
 京都の老舗 イノベーション力の謎を解く
 並存の時代 ──百年企業の条件となる。いまもっておくべき時代感覚とは
 御立尚資
 1000年に一回の大変化が続けて起こりうる
 百年企業をテーマに議論をする場合、『これまでどのように100年続いてきたか』ということと同時に、『次の100年をどう生きていくか』を考えなくてはなりません。そのためには、現代のような大変化の時代は、変化の根源を理解してマクロに対応していくことが必要です。
 企業が100年、200年と長く生き残るために大事なことは二つあります。一つは、時代の環境や背景に即してお客様に向けた新しい価値をつくり続けること。もう一つは、ときどきドカンとやってくる激変──自然災害、戦争、パンデミック感染症の世界的大流行)など──を凌(その)ぐだけの体力や組織能力をつくっておくことです。
 いまは本当に大きな出来事、1000年に1回くらいの大変化が続けて起こってもおかしくない時代構造になっています。そこで、そうした時代環境のなかで少し俯瞰(ふかん)した話、つまり超長期的のスパンで押さえておかなければいけない根源的要素をお話ししたいと思います。
 工業化とデジタル化が重なる『並存の時代』
 世界の経営者の方々に、『近年は変化が激しい時代ですが、その変化の理由は何だと思いますか』と尋(たず)ねると、みなさん『デジタル化』とおっしゃいます。でも、そうでしょうか。
 たしかに、デジタル化は社会に変化を起こします。しかし、いまわれわれが経験している変化の大部分は、じつは〝前の時代〟が最終局面にきたことから起きている変化です。〝前の時代〟というのは、工業化の時代であり、いまはまさにその最終盤。そしてこれから本格的にデジタル化が進んでいくという、変わり目にあります。
 デジタル化が起こす変化というのはまだ序の口で、本番はこれから。ミクロで見ればデジタル化のおかげでわれわれの生活は変わったように思えますが、マクロ的にはITやデジタルが一国の経済成長を変えた例はまだ一つもないのです。工業化とデジタル化、その両方が重なっているのがいまの時代。いままさに『並存の時代』にあるというのが、本日お話申し上げたいところでございます。
 18世紀後半の第一次産業革命以降、鉄道が敷かれ、蒸気機関車が走り、石油化学工業ができてきました。そうして進んできた工業化がいま、いよいよ最終盤を迎えています。
 工業化の話しをするときは、それ以前から見なければなりません。たとえば、世界の人口と一人当たりGDPの推移を長期の視点で見ると、その変化は同じような動きを示します。西暦1年、1000年、2000年の人口は、それぞれ換算で2億2,000万人、2億6,000万人、60億人。一方、一人当たりGDPは445ドル、436ドル、602ドル。どちらも急激に増加したのは産業革命以降。工業化が人口と一人当たりの豊かさを格段に伸ばしたのです。
 一人当たりGDPは、農業の発達度合いが、金属器を使った潅漑、収穫物の保存、原始的な肥料の使用などがある程度できる段階で約400ドルと言われています。それが工業化を成し遂げると1万ドルになるのです。
 工業化が引き起こした正負の側面
 ではなぜ、工業化が進むと人口が増えるのでしょうか。いろいろな要素がありますが、大きな理由が2つあります。まず、一人当たりGDPが3,000ドルを超えるあたりで、乳幼児の死亡率が劇的に下がります。衛生状態がよくなり、最小限の知識と清潔な水を手に入れるからです。もう一つは食料の増産できる仕組みができることです。工業肥料ができたことで、同じ面積の耕作地で生産できる食料の量が格段に増えます。こうして人口が急激に増えていきました。そのような動きが西ヨーロッパから始まり、世界中に広がっていったのです。初等教育の普及、資本の移動、貿易の自由化などで工業化社会ができる。GDPが3,000ドルを超える国が増え、人口構成が変わる。それが20世紀後半の動きです。
 しかし、このような動きが起こした変化はプラスのことだけではありません。万国が工業化することで一極集中していたアメリカの力が相対的に弱くなっていきます。いま、世界の人口は約75億人。そのうちの約3分の1が中国とインドです。もともと人口が多いのですから、工業化によって彼らが大国になることはあたりまえです。中国が台頭し、その後、インドの勢力が上がってくると2極、いえ、3極、4極の時代になっていくのです。
 工業化の終盤、世界中に工業国が増えたことで力のバランスが崩れ、覇権争いが起こります。工業化が進み地球全体が豊かになったのはプラスの側面ですが、一方、先に豊かになった人たちとあとから豊かになった人たちとのあいだでさまざまな問題が起きているのです。
 また、工業化が起きると都市化が起こります。都市に住む人が食べる鳥や豚を、大量に、効率的に集中生産を続けていると、ウィルスがどんどん変異してパンデミックが起こりやすくなります。都市化すると自然災害にも弱くなります。洪水などで都市機能が麻痺すると、以前では考えられないほど被害額が大きくなりますし、影響はグローバルに広がります。2011年にタイで起きた大雨・洪水の影響で日本の製造業に大きな影響が出たことをご記憶の方も多いと思います。
 食料問題、地球温暖化問題もあります。工業化とグローバル化が進んだことで、地政学リスク、ゲリラ豪雨などの自然災害、パンデミック、世界のガバナンスのつくり変えなど、さまざまな現象が起きる。〝禍福(かふく)はあざなえる縄のごとし〟と言いますが、工業化が生んだ豊かさゆえの大きな変化が、まさに目の前にあるのです。われわれはまずこれを理解しておかなければなりません。
 次代の商業モデルをつくるのは民間の企業家魂
 今日ここにいらっしゃる企業のみなさんはここ100年、200年の工業化の流れのなかで、うまく適応してこられました。日本という国は西洋を真似て工業化するのに、思いのほかスピードが速かった国です。その1つの要因は教育の蓄積があったことです。工業化は識字率が高くなければ実現しません。マニュアルが読めて、生産した製品の数を数えられる力が要(い)るのです。いわゆる〝読み・書き・そろばん〟ができる人が相当いなければ工業化社会は成り立たないのですが、日本は江戸時代にあちこちに藩校・漢学塾、寺子屋があったおかげで、多くの人に教育を受けるチャンスがありました。しかし、学校をつくってもそこで教えられる人がいなけえば教育システムはできません。学校をつくり、先生をすぐ揃えられる国は、アジアでは日本しかありませんでした。日本はそのようななかで工業化をはたしてきたのです。
 そしていま、デジタル時代が本格的に始まろうとしています。これからどのような変化が起こってくるのでしょうか。これまでとはまったく違うことが起こってくるかもしれません。
 冒頭で申し上げたように本当の変化はこれからです。今後起きる変化の1つはAI(人工知能)です。AIの機械学習のモデルは30年も前からあったのですが、近年特に大きな話題になってきたのは使うデータ量が爆発的に増えたからです。世界の情報貯蔵量を見ると、2000年には総情報量に占めるデジタルデータの割合は25パーセントでしたが、2015年には99.99パーセント。機械が自動的にデータを生成するようになったからです。しかもそのうちの約6割にはIPアドレスが付与されているので、誰でもどこでもそれらを引き出して使うことができる世の中になるのです。
 また、通信環境もまもなく5Gになり、まったく違うレベルのスピードで情報がやり取りできるようになります。当然、コンピュータの計算能力の向上もあります。AIというのは、まずデータがあって、そこから最適な解を求めるものなので、それができる条件が揃ったのが最近であるということです。現在はたまたまGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの4つの主要IT企業の総称)といわれるような企業がいまある情報を使って設けているわけですが、それが絶対ではない。本当に産業が変わるのはこれからなのです。
 ただし間違えてはいけないのは、文化・風俗や経済・社会構造はデジタルのようにイチ・ゼロでかわるものではないということです。既存のものに上書きしながら、必要な部分を変えていく。したがってルールを変えなければなりません。これまでみなさんがつくってきた商売のルールに、デジタルが掛け算されることになります。
 ルールを書き換えるのはそう簡単なことではありません。デジタルをどのように使えばどんなメリットが出るか、まだわかっていないことが多いからです。しかも書き換えに必要な技術をもつ人材も必要です。データサイエンスやAIの世界では、じつは最先端のスキルをもつ人材ばかりが求められるわけではありません。その領域のいわゆる〝読み・書き・そろばん〟レベルができる人の数が圧倒的に足りていないのです。その人材を育成することも急務です。
 これからくるデジタル化時代にどんな商売のモデルが主流になるかは、まだわかりません。それをつくるのは政府ではなく、ここにいらっしゃるみなさんのような民間企業の方々の企業家魂です。どんなモデルが主流になるかを何度も試すなかから、勝ち組が出てくるのです。
 次の100年を生きるために
 今日ここに集まられた百年企業のみなさま、それをめざしているみなさまに申し上げたいのは、工業化時代に最適だった人のつくり方、雇い方、商売のリスクのとり方などは、デジタル化時代において最適とは限らないということです。そのなかでどう両者のバランスをとって新しいやり方をつくるのか。ここにトライすれば、次の100年に生き残れる確率が上がるのではないでしょうか」
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 老舗が消える時、民族国家日本、日本の伝統・文化・芸能・芸術・食・宗教・日本国語・生活習慣も必然として消滅する。
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 歴史上、地球上の地方・僻地にあったローカルの多く、ハワイ王国・ハワイ王家・ハワイ言語・ハワイ宗教などが、日本が見ている前で消えた。
 文明や文化、国家や国民・民族、企業や商店には、例外なく寿命がある。
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 数百年はおろか千年以上の歴史を持つ老舗を保護し維持・存続させてきたのは、特殊な血筋・血統を正統な皇統する特別な家系で世襲してきた男系の天皇家・皇室、お家芸を正統とする双系(男系女系)の家元と、信仰を正統な法統とする非血筋・非血統の他人仏教であった。
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 老舗は、日本の伝統、文化、芸能、芸術、食、宗教、日本国語、生活習慣など全ての面を支え、そして全ての面から支えられていた。
 つまり、老舗が日本そのものである。
 日本の伝統、文化、芸能、芸術、食、宗教を見えない所で支えたのが、貧しい庶民(百姓や町人)、身分低き芸能の民(歌舞伎役者・曲芸師・傀儡師ら)、差別された賤民(非人や穢多ら)、軽蔑された部落民(山の民・川の民・海の民)らであった。
 老舗は、日本一と賞賛される名人・達人・匠の職人と貧しい庶民、身分低き芸能の民、差別された賤民、軽蔑された部落民が居てこそ存在してきた。
 老舗の売りは、ナンバーワンとオンリーワンのバランスが取れた総和、トータルワンである。
 つまり、「誰も真似ができない」と言う、ブランド化、差別化である。
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 人材における優秀な少数精鋭には、そうでない多数の無能者が必要である。
 少数精鋭は、少数の人口ではなく、多数の人口から生まれる。
 少数精鋭を作るには、無駄な人間が数多く必要である。
 もし、即戦力としての少数精鋭が必要なら、悠長な時間を費やして日本人を教育し育てるより、既に才能のある外国人を雇った方が合理的で無駄がない。
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 高天原神話とは、天つ神の神々が尿や糞に塗れた尊い土を汗水垂らして耕して食べ物を生み出す働き神話である。
 高天原神話の最高神が、天皇家・皇室の祖先とされる女性神天照大神である。
 天照大神も生活の為に働く神である。
 そして、時より、海の外から新しい技術や知識を持った来訪神(客人神・まろうと)が高天原を訪れて住み着き、天照大神らと助け合って働いた。
 日本民族日本人の特性である勤勉(学ぶ)と勤労(働く)は高天原神話にある。
 日本の神々とは、天つ神・国つ神・来訪神の三者からなっている。
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 日本民族日本人は、南方系海洋民や揚子江流域民らの混血児として舟で渡ってきた子孫で、後から渡ってきた西方草原の民や北方の山野の民と乱婚を繰り返して混血の雑種民族である。
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 老舗が有るのは、中華儒教キリスト教共産主義マルクス主義)等を排除し、日本中心神話と天孫降臨神話による高天原神話(天皇神話)を原始の種とし、その種に日本神道・日本儒教・日本仏教・その他を栄養として与え育て、家族と家、民族と国を築き、経済・社会を営んできたからである。
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 老舗は、ローカルであってグローバルではなく、日本的な相互依存・補完共生、柔軟性・多様性であって世界的な排他・不寛容の独占ではない。
 日本の老舗は、中国・朝鮮の中華儒教中華思想中華主義と対極に存在する。
 現代日本の弱肉強食の市場原理主義・費用対効果が支配する社会・経済から、ローカル的老舗は時代遅れ、古臭い、無用の長物として排除されつつある。

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