💫13}─2─人種と知能のタブー。知能は、遺伝子(DNA)で決まる。農業が人類を家畜化した。〜No.97No.98No.99No.100 * ⑫ 

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

  • 作者:橘 玲
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/04/15
  • メディア: 新書
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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 人類は、農業環境に適応するべく自主的に品種改良(淘汰)を行い、農耕社会に埋没する事で家畜化した。
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 2016年11月18日号 週刊新潮「もっと『言ってはいけない』真実がある!
 黒人の貧困問題の根源『人種と知能』のタブー 作家・橘玲
 努力は遺伝に勝てない。美人とブスの『美貌格差』は生涯で3,600万円!
 作家の橘玲氏が科学の最新知見でタブーに斬り込んだ『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)が大反響を呼び、……。
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 今年7月、アメリカ各地で白人警官による黒人射殺事件が相次いで発生し、次いでテキサス州ダラスで抗議集会を警備していた白人警官らが黒人に射殺され、5人が死亡する事件が起きた。その後も警官3人が射殺されるなど、アメリカの銃社会と人種差別の深刻さが浮き彫りになった。
 事件の背景には、白人と黒人の大きな経済格差がある。だがここで、次のような主張を聞いたらどうだろう。
 アメリカの人種問題は、黒人と白人の知能の格差から起きている。
 多くのひとが、こんな格差発言が許されるはずはない、と思うにちがいない。だがこれは、もはやアメリカでは『差別』とは見なされない。なぜなら、人種と知能についての膨大な証拠(科学的データ)があるからだ。世界標準のリベラリズムでは、『差別とは合理的に説明できないこと』で、証拠に基づいた意見を拒否することは、表現の自由の抑圧以外のなにものでもないのだ。
 さまざまな研究を総合すると、白人の一般知能(IQ)を100として(これは定義上そうなる)、黒人の知能は1標準偏差低い85、ユダヤ系(アシュケナージ)は1標準偏差値高い115、アジア系は若干高い105程度とされている。偏差値で表せば、白人の平均は40、ユダヤ系は60、アジア系は53程度になる。
 人種ごとの経済格差は、この知能の格差から説明できる。
 ユダヤ系が金融業やIT産業、メディア業界を『支配しているのは『世界征服の陰謀』のせいではなく、単純に頭がいいからだ。アジア系がアメリカ社会で成功するのは、もともと勤勉に生まれ育ったからだ。
 アジア系アメリカ人アメリカの人口の4%に過ぎないが、スタンフォード、コロンビア、コーネルなどのエリート大学では学生数の4分の1を占め、卒業後はアメリカ人の平均より25%高い給料を得る。これは儒教文化の影響とされてきたが、東アジアで不安感が強くなる遺伝的変異が起き、それが学力の高さや真面目さにつながっていると説が唱えられている(その代償としてうつ病や自殺の割合も高い)。
 ここまでは納得できるひとも、同じ理屈を黒人に適用するには抵抗があるだろう。『黒人がいつまでたっても貧困から抜け出せないのは、白人に比べて知能が低いからだ』ということになってしまうからだ。
 だがこの主張には証拠がある。そこで現代の政治論争は、人種による知能の差を認めたうえで、それをどのように解釈するかで争われるようになった。
 保守派は、知能の格差は遺伝によってほぼ決まっているという。それに対してリベラル派は、黒人の知能が低いのは環境(奴隷制の歴史や人種差別)によるもので、平等な社会をつくれば人種間の知能の差は解消すると主張する。
 これがアメリカで政治的な大問題になるのは、アファーマティブ・アクション積極的差別是正措置)によって黒人など少数民族に巨額の経済的・社会的援助が行われているからだ。
 こうした〝逆差別〟の政策が正当化されるのは、それが人種間の経済格差=知能格差を改善すると考えられていたからだ。知能が遺伝するのなら、この前提が崩壊してしまう。これがアメリカ社会にとってどれほどの衝撃かはいうまでもないだろう。
 知能の7〜8割は遺伝で説明できる
 ところでこの論争は、科学的にはほぼ決着が着いている。一卵性双生児や二卵性双生児を多数調べることで、知能や性格、精神疾患や犯罪傾向にどの程度、遺伝の影響があるのかが正確に計測できるようになったからだ。
 詳しくは拙著『言ってはいけない』をお読みいただきたいが、そのなかでも知能の遺伝率はきわわだって高く、論理的推論能力は68%、一般知能は77%とされている。知能のちがいの7割から8割は、遺伝によって説明できるのだ。
 この事実は専門家のあいだでは常識だが、表だって口にされることはない。だがいくら隠蔽しても、『努力によって知能は向上する』という政治的に正しい主張は現実の前に破綻していく。
 知識社会というのは、定義上、知能の高い者ほど有利な社会のことだ。先進国では単純作業は新興国や移民に受け負い、あるいはAIのようなテクノロジーに代替されていく。
 この事実を前にしてリベラルな知識人は、『先進国の労働者は新興国の貧しいひとびとと競争するのではなく、教育によって知識産業に従事すべきだ』と説いた。だが現実には、仕事に必要とされる知能のハードルが上がれば脱落する者はそれだけ多くなる。近年問題になっている社会の二極化や中流の崩壊は、これでほぼ説明ができる。
 アメリカでは、知能の格差はまず人種問題として現れる。これは高度化した知識社会に適応が難しい層が黒人に多いからだが、この現象を当事者から見れば差別として思えないため、人種間の憎悪がとめどもなく膨らんでいく。
 だが知識社会から脱落するのは黒人だけではない。白人と黒人の知能が1標準偏差ちがうということは、白人の4分の1は黒人の平均より知能が低いということだ。主流派の白人のなかでも、知能による選別は容赦なく進んでいるのだ。
 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプの支持者も、イギリスの国民投票でEU離脱に投票したのも、低学歴、郄失業率、低所得の者階層だということは共通している。だがマスメディアの分析は、そこから先にはぜったいに踏み込まない。
 ポピュリズムは『理性ではなく感情に訴える政治手法』のことで、ポピュリストの政治家は、愛国心や移民排除、エリート批判でひとびとの感情を煽り、支持を獲得しようとする。
 だがこうしたプロパガンダは、すべて有権者に平等に効果を及ぼすわけではない。理性よりも感情で動くのは一般に知能の低い層で、『右傾化』をめぐる近年の投票行動調査はこの事実を明瞭に示している。
 ウォール街シリコンバレーを擁するアメリカは、グローバルな知識社会の先端にある。この高いハードルから脱落した中流層が『感情の政治』に殺到していると考えれば、トランプのような右派のポピュリズムだけでなく、民主党の大統領候補として熱狂的な支持を集めたバーニー・サンダースに象徴される左派(リベラル)のポピュリズムが跋扈する理由もわかるだろう。知能のハードルが高くなりすぎたことで、大学生などボーダーライン上の若者も現状への不満と将来への大きな不安を抱えているのだ。
 テロが続発するヨーロッパは移民問題や極右の台頭で揺れているが、中東や北アフリカからのムスリムの移民も、移民排斥を求める右翼も、学校からドロップアウトし失業と貧困に苦しむ同じ者階層に属している。スペイン(ポデモス)やイタリア(5つ星運動)など南欧に登場した『空想的左翼』にも同様の構図が透けて見える。もちろん日本でも、知能によって社会で分断されつつあるのは同じだ。
 だが政治家やエリートたちは、『知識社会の経済格差は知能の格差』という残酷な現実を直視しようとはしない。こうして、間違った前提からデタラメな主張と効果のない政策が無駄に積み上がっていくのだ。
 農業が人類を〝家畜化〟した
 人種間の知能の格差に遺伝的な要因が強く影響しているとして、なぜこのようなことが起きるのだろう。話はここからさなに不穏になっていく。
 現代の進化論や遺伝学はナチスドイツの優生学で嫌われてきたが、それでもなんとか居場所を確保できたのは、『遺伝的変異のスピードを考えれば、ひとのこころは旧石器時代と変わりない』としたからだ。『現代人がさまざまな問題を抱えているのは、原始人のこころのままコンクリートジャングルに暮らしているからだ』という説にはひとびと心情に訴えるものがあったし、なによりも『人種にかかわらず人間の本性(ヒューマン・ユニヴァーサルズ)は同じ』というのは『政治』的な心地よさがあった。
 だが『科学』の立場からは、こうした前提がきわめて不安定なのは明らかだ。白人、黒人、アジア系では外見が異なり、アフリカから分かれた5万年のあいだに独自の進化が起きたことは間違いない。だが人種ごとに身体的特徴を大きく変えたその進化は、なぜか気質的、精神的特徴にはいっさい手をつけなかった、というのだから。
 イヌは哺乳類のなかでもっとも多様性に富むが、1万5000年ほど前にオオカミをヒトが飼いならし、18世紀以降の品種改良によってわずか数百年でセントバーナードからチワワまで、外見も気質も異なるさまざまな犬種がつくりだされた。ある特殊な条件の下では、進化はきわめて短期間で起きるのだ。
 旧ソ連の遺伝学者ドミトリ・ベリャエフは1950年代に、古代人が野生動物どのように家畜化したかを知るために、(人間にはなつかない)ギンギツネのなかからおとなしい個体を選んで育ててみた。すると驚くべきことに、わずか8世代で人間が近くにいても平気なギンギツネが生まれた。実験開始からたった40年、30世代から35世代ほどの交配で、キツネたちはイヌなみにおとなしく従順になり、毛皮に白い斑点ができ耳が垂れた。 こうした実験から、ヒトの進化においても同様の淘汰=品種改良が起きたとの主張が現れた。
 ヒトの本性が旧石器時代につくられたことは間違いないとしても、人類はその後にきわめて大きな環境の変化を体験している。それは農業の開始だ。
 農業が現生人類に与えた最大の変化は、食糧を求めて少人数で広大な大陸を移動する狩猟採集生活から、土地にしばられた人口密度の高い集団生活に移行したことだ(1万年のあいだに人口は100倍に増えた)。これによって人類は感染症の危険にさらされることになって免疫機能を発展させ、炭水化物を大量摂取しても糖尿病になりにくい体質へと〝進化〟した。
 だがそれ以外でも、『農業による集団生活』というまったく新しい環境は、人類に対してさまざまな自然淘汰の圧力を加えたはずだ。
 狩猟採集生活では獲得した獲物はその場で食べるか、仲間と平等に分けるしかなかったが、貯蔵できる穀物は『所有』の概念を生み出し、自分の財産を管理するための数学的能力や、紛争を解決するための言語的能力が重視されるようになった。
 その一方で、狩猟採集社会では有用だった勇敢さや獰猛さといった気質が人口過密な集住社会(ムラ社会)では嫌われるようになった。牧畜業では気性の荒い牛は仲間を傷つけるので真っ先に排除される。それと同時に、農耕によってはじめて登場した共同体の支配者(権力者)は反抗的な者を容赦なく処分しただろうし、農耕社会においても、攻撃的な個人はムラの平和を乱す迷惑者として村八分にされたり、ムラから追い出されたりしただろう。農耕社会では、温厚な気性が選択的に優遇されたのだ。
 これは荒唐無稽な仮説だろうか。
 DRD4(ドーパミン受容体D4)遺伝子の7R(7リピート)対立遺伝子は注意欠如・多動性障害(ADHD)に関係し、落ち着きのない衝動的な振る舞いや注意散漫などを引き起こす。欧米をはじめ世界各地でこの遺伝子の遺伝的多型がからりの頻度で見られるが、東アジアではまったくといっていいほど存在しない。
 中国では、7R対立遺伝子に由来する他の対立遺伝子がかなり一般的なのに、ADHDを引き起こす遺伝子だけがきわめて稀だ。自然状態ではこのようなことは起こらないから、もっとも説得力のある説明は、古代中国では共同体を乱す遺伝子を持つ者が徹底して排除された、というものだ。
 農業という環境の激変に直面した人類は、それに適応できるよう自分で自分を『品種改良』した。現代人」は、〝家畜化〟されたヒトなのだ。
 何が人種の知能差を生むのか
 現代の進化論は、人種によって知能や気質に差があるのは、農耕社会で〝家畜化〟された度合いがちがうからだとする。白人をチワワ、アジア人をダックスフントとするならば、『家畜化されていない』アフリカ人やアボリジニはオオカミなのだ。
 チワワやダックスフントがオオカミより優れているとはいえないように、〝家畜化という進化〟を経た人種を家畜化されていない人種より優秀だとする根拠はない。だが、この〝科学的知見〟をリベラルが受け入れるのは困難だろう。
 人種に優劣はないとしても、工業社会や知識社会では、農業を経験した人種とそうでない人種の間に適応度の差が生じた。サハラ砂漠以南のアフリカでも農業は行われていたが、規模は小さく歴史も短いためじゅうぶんに進化することができなかった。
 それに対してユーラシア大陸で1万年にわたって農業を行ってきたコケイジャン(白人)やアジア人は、ムラ社会の習慣をそのまま学校・軍隊・工場などに持ち込むことで容易に適応することができた。
 硬直した毛沢東主義から解放された中国が20世紀後半から爆発的な経済発展を遂げたのは、中国系アメリカ人が米国で経済的に成功したのと同じで、知能が高く勤勉で、十分に〝家畜化〟されているからだ(中国人と遺伝子を共有する日本人、韓国人、台湾人など東アジア系も同じだ)。それに対してアフリカがいつまでたってもテイクオフできないのは、米国社会で黒人が貧しいままなのと同じで、〝家畜化〟が不十分なためだ・・・。
 これは、現代社会ではもっとも『言ってはいけない』とされる主張だ。『巨額な援助を投入してもアフリカ社会が発展できないのは、過去の植民地支配のせいではなく、遺伝的・進化論的な理由がある』と欧米の政治家が口にすれば、アメリカにおけるアファーマティブ・アクションをめぐる論争(というか罵り合い)を何倍、何十倍にも拡大する騒ぎを引き起こすことは間違いない。
 しかしそれでも、近年の遺伝学や脳科学の急速な進歩は、人種による知能の差に進化論的な基盤があることを明らかにしつつある。
 いまでは男と女は生殖器だけでなく、脳の機能にもちがいがあり、それが仕事の適性や好みに反映されることがわかっている。だがそれでも男女に優劣はなく、政治的・社会的権利が平等なのはいうまでもない。
 人種をめぐる議論もこれと同じで、すべてのひとが普遍的な人権を持つのは当然のことだ。しかし平等な社会は、人種による生得的な差を隠蔽し、否定することでは実現しない。事実を受け入れたうえで、科学的な知見が差別につながらないような社会をわたしたちが築いていかなくてはならない、ということなのだ。」 
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