⚡10】─1─茨城の原子力施設の放射性物質事故。日本の杜撰な核燃料物質管理と原子力機構。~No.68No.69No.70No.71 @ ⑦

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2017年6月6日 産経ニュース「【動画あり】作業員5人に放射性物質 茨城の原子力施設で付着
 日本原子力研究開発機構の「大洗研究開発センター」=6日夕、茨城県大洗町共同通信社ヘリから)
 6日午前11時15分ごろ、日本原子力研究開発機構の「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)燃料研究棟で、核燃料物質貯蔵容器の点検中に放射性物質を包んだビニールバッグが破裂し、作業員5人が防護服の手足などに放射性物質を浴びた。うち3人は鼻腔からアルファ線を出す核種で3〜24ベクレルの放射線が検出された。内部被曝(ひばく)の恐れがあり、今後時間をかけて調べる。機構は外部への影響はないとしている。
 機構によると、放射線が検出された3人は機構職員2人と派遣社員1人。燃料は新型炉で実験済みのプルトニウム酸化物とウラン酸化物で、粉末状のものが飛び散ったという。容器は金属の円筒状で、ビニールバッグは二重になっていた。
 原子力規制庁は「今後、保安検査官が再発防止などの処置状況を確認する。被曝量などの報告を待って法令に基づくトラブル事象かどうか判断したい」としている。
 燃料研究棟は高速炉用の新型燃料などを研究する施設で、機構はすでに廃止する方針を決めており、現在は研究で使った核物質などの管理をしている。
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 6月7日 産経ニュース「【放射性物質事故】「プルトニウムに慣れすぎ」原子力機構の安全意識に疑問も
 作業員5人が内部被ばくした事故で、放射性物質が入った容器を包んでいた袋(同型のもの)=6日、茨城県大洗町日本原子力研究開発機構提供)
 日本原子力研究開発機構の「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)燃料研究棟で6日、作業員が放射性物質を浴びた事故で、内部被曝(ひばく)した作業員は、防護服と半面マスクを着用していたにもかかわらず、多量の放射性物質を肺に吸い込んでいた。報告を受けた原子力規制委員会の会合で伴信彦委員は「作業手順が妥当だったか、半面マスクでなぜ被曝したのかなど確認が必要だ」と指摘。機構は廃炉が決まった高速増殖実験炉「もんじゅ」(福井県)で保守管理上の問題を繰り返しており、機構の安全意識を問う声も出ている。
 機構によると、事故は6日午前11時15分ごろ発生。昨年暮れの原子力規制庁による保安検査で核物質の管理に問題が指摘され、作業は燃料貯蔵室に保管されている実験済み燃料の状態の確認が目的だった。
 燃料研究棟108号室で、50代の男性が作業ボックス内に下から手を入れ、直径約10センチの茶筒状の金属容器の蓋を開けると、中の燃料を包んでいた二重のビニールバッグが破裂、粉末が飛び散った。2人が男性を補助しており、残り2人も室内にいた。
 検査で男性と補助した2人の鼻腔から最大24ベクレルの汚染が確認。その後、男性の肺から2万2千ベクレルのプルトニウム239が検出された。機構は破裂原因について「調査中」としている。
 機構をめぐって規制委は平成27年11月、運転停止中のもんじゅの保守管理でさまざまな問題を起こしていたことに見切りを付け、文部科学相への勧告で「出力運転を安全に行う主体として必要な資質を有していない」と指摘していた。
 規制委の田中俊一委員長は7日の定例会見で、機構の安全意識について「しかるべきときに何回か申し上げているが、なかなか直らない。結局、プルトニウムに慣れすぎているのではないか」と苦言を呈した。」
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 6月12日 産経ニュース「【原発最前線】衝撃的被曝で「ずさん」続々 核物質26年放置 除染不十分 汚染室内に3時間…
 核燃料物質を包んだ内部の袋が破裂し、作業員が被曝した金属製貯蔵容器(原子力機構提供)
 日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)の被曝(ひばく)事故で、数々の「ずさん」が露呈している。当初発表された「2万2000ベクレルの体内被曝」という衝撃的な数値は、体表面の放射性物質も検出していた可能性があり、信用性が消失。事故想定の甘さから、作業員を退出させる準備に手間取ったことも分かった。高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉などに続き、機構への信頼が揺らぐ事態が続いている。(社会部編集委員 鵜野光博)
 「シュー」空気が漏れる音 
 6月6日午前11時15分ごろ、同センター燃料研究棟の108号室で事故は起きた。
 20〜50代の作業員5人が取り組んだのは、核燃料物質が収納された貯蔵容器の点検。直径10センチ程度の茶筒のような形だ。機構が原子力規制委員会文部科学省に行った説明を総合すると、蓋を閉じていた6本のボルトのうち、4本を取り外すと、「シュー」という空気が漏れるような音がして、蓋が少し持ち上がった。作業員はここで放射性物質の飛散を懸念し、周辺の一部を拭き取って調べたが、問題はなかったという。さらに残り2本のボルトを蓋を抑えながら取り外したところ、容器の中で核燃料物質を包んでいた2重のビニール袋が破裂。ボルトを外した50代の作業員は「おなかに風圧を感じた」という。
 機構が9日夜に公表した現場の写真には、部屋の中に点々と落ちている黒い物質が写っており、容器から飛び出したプルトニウムかウランの酸化物の可能性があるという。部屋は広範囲に汚染され、「フード」と呼ばれる貯蔵容器を開封した設備の近くでは、法令上の立ち入り制限値の約14倍となる1平方センチ当たり最大55ベクレルが検出された。
 ルーズな放射性物質管理
 そもそも、点検は何のために行われたのか。
 規制委は昨年11〜12月の保安検査で、機構を含む10施設で核燃料物質を入れた容器がフードなど貯蔵施設以外に置かれていることを確認し、今年2月、改善を指示した。10施設のうち、最大35年以上に及ぶ長期間の放置が確認されたのは、同センターなど機構の施設だけだった。
 規制委によると、改善指示後、同センターでは貯蔵施設外に置かれた核燃料物質が新たに見つかった。燃料研究棟にはすでに上限の80個の貯蔵容器がある。機構は貯蔵施設のスペースを空けるため、2月から80個の容器の中身の確認を始めた。これが点検の目的だ。すでに31個の点検を終え、より雑多な核物質が入っている容器を今回初めて開封したところ、事故に至ったという。
 袋が破裂した容器は平成3年に封印され、以来26年間、開封されていなかった。中身について機構は「どういう物がどういう形態で入っていたのか、古いので特定できていない」としている。
 汚染された部屋に3時間とどまる
 作業員は同11時37分、自分たちの手足が放射性物質で汚染されていることを確認。報告を受けた機構は正午、現地対策本部を設置した。その後、部屋から5人の退出が始まったのは午後2時半だった。作業員は放射性物質で汚染された部屋に3時間以上、とどまっていたことになる。
 なぜ、これだけ時間がかかったのか。
 汚染された可能性がある部屋から作業員らを退出させる場合、汚染が外に持ち出されることを防ぐために、通称「グリーンハウス」と呼ばれる退出用設備を部屋の出入り口に設ける必要がある。機構によると、グリーンハウスの設置が開始されたのは、汚染が確認されてから約1時間40分後の午後1時15分だった。「ハウス用の部材を集めるのに時間がかかった。今回のような汚染が生じるという前提で装備はしていなかった」というのが機構側の言い分だ。
 この3時間、5人が部屋のどのあたりにいたのかも「把握していない」としている。
 除染不十分のまま体内被曝検査か
 9日夜の会見で、機構の西川信一安全・核セキュリティ統括部次長は「放射線医学総合研究所での1回目の肺検査で、プルトニウムは5人とも検出されていない」と明らかにした。これにより、7日に機構が発表した「50代男性の肺から2万2000ベクレルのプルトニウム239を検出」、それを基にした「被曝総量は36万ベクレル」という推計が宙に浮き、「将来、健康被害が出る恐れが否定できない」という見解も根拠が失われた。
 機構は事故当日の6日午後6時52分、「全員の除染が完了」とし、5人は別の施設に移動。そこで50代作業員から2万2000ベクレルが検出された。ところが、7日に5人を受け入れた放医研は「4人に体表面汚染が確認された」と公表。機構の除染が不十分だった可能性が高く、機構が十分な除染をせずに作業員を施設外に出してしまったことも明らかになった。
 ただ、5人のうち3人は機構の鼻腔内検査で最大24ベクレルのアルファ線が検出されており、内部被曝の恐れは依然残っている。放医研によるプルトニウム以外の核種の検出についても、機構は「把握していない」としている。内部被曝については、放医研が排泄(はいせつ)物の検査なども含めて慎重に評価を行っている。
 「プルトニウムに慣れすぎている」
 機構の児玉敏雄理事長は8日、職員に対し、核燃料物質を扱う類似の全作業を停止するよう指示。「機構の存続にも影響を及ぼす重大な、深刻な事態」と認識し、「放射性物質を取り扱う自覚と緊張感を持つこと」などを求めた。
 「結局、プルトニウムに慣れすぎているのではないか」。規制委の田中俊一委員長は、7日の定例会見で苦言を呈した。「もんじゅ」をめぐって「出力運転を安全に行う資質がない」と機構に見切りを付ける勧告を文部科学相に行った規制委の内部には、今回の事故についても「また機構か」という空気が漂う。
 機構は19日までに規制委に対し、今回の事故の状況と処置を報告することが法令で義務づけられている。袋はなぜ破裂したのか。今回の貯蔵容器と同種のものとされる容器は、同センター内にあと20個あるという。その点検をどうするのか。汚染された108号室への対処は、そして5人を今後どのように遇するのか。さらなる失点は許されない状況にある。
 ■日本原子力研究開発機構=日本で唯一の原子力に関する総合的研究開発機関。平成17年、旧日本原子力研究所と旧核燃料サイクル開発機構が統合し、独立行政法人として発足。27年、国立研究開発法人に改組。高速増殖原型炉「もんじゅ」、高速実験炉「常陽」、高温工学試験研究炉(HTTR)、試験研究用等原子炉施設(JRR−3)などの施設を保有している。」
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 6月21日 産経ニュース「【放射性物質事故】報告書提出も不信感 ずさんな原子力機構
 立ち入り検査のため、大洗研究開発センターに到着した原子力規制委の検査官=21日午後、茨城県大洗町
 原子力規制委員会から「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)に異例の立ち入り検査を受けた日本原子力研究開発機構は、過去に高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)などで多くのトラブルを起こしてきた。被曝(ひばく)事故では19日に法令に基づく報告書を規制委に提出したものの、21日の規制委会合では「作業の計画段階、実施段階、事故後の対処、それぞれにいくつも疑問、不明点が残されている」(更田豊志委員長代理)と批判が集中した。
 今回の事故で規制委が問題視している主なポイントは、核燃料物質が入った貯蔵容器の蓋を開けて中身を確認する作業に、密閉容器の「グローブボックス」を使わず簡易的な「フード」を使った▽核燃料物質をビニールバッグに入れたまま26年間も放置▽事故後、作業員5人が汚染区域から退出を始めるまでに3時間以上かかった−の3点だ。
 規制委によると、機構はフードの使用許可を汚染検査目的で申請していた。機構は「核燃料物質は二重のビニールバッグに包まれた上で金属製容器に入っており、容器の蓋を開けるだけならフードで扱える」として作業計画を了承。これに対し規制委は「長期的に閉じ込められるとは言い難く、密閉せずに扱うことと同じだ」と指摘している。
機構は平成17年、旧日本原子力研究所と旧核燃料サイクル開発機構が統合して発足し、前身から数えれば60年以上の歴史がある。日本で唯一の原子力に関する総合的研究開発機関だが、規制委は27年11月、もんじゅの運営主体として「必要な資質を有していない」と文部科学相に勧告した。
 田中俊一委員長は21日の会見で「わが国の原子力利用の模範生でなければならないが、逆になっている」と苦言を呈した。(鵜野光博)」
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放射線と安全につきあう―利用の基礎と実際―

放射線と安全につきあう―利用の基礎と実際―

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
  • 発売日: 2017/05/22
  • メディア: 単行本