📉69】─1─新しく作られる国際ルールや世界基準の国際市場と日本技術の国際競争力。~No.142No.143 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2017年9月7日号 週刊新潮藤原正彦管見妄言
 戦いはルール作りから
 スキージャンプでは、スキー板が長いほど浮力を受け飛行距離が伸びる。余りに長いと危険なので身長プラス80センチまでと決まっていた。だから身長180センチの欧米人選手は身長170センチの日本人選手より10センチ長いスキー板を使っていた。長野五輪で日本勢は男子団体優勝に加え、船木が金と銀、原田が銅と大活躍した。直後にルールは改正され、スキー板は身長の146%までとなった。彼等のスキー板は我々のものものより14センチほど長くなったから、日本勢はその後しばらく勝てなくなった。東京五輪で女子バレーボールが優勝した翌年、ルールは改正されブロック時のオーバーネットが認可された。日本人がブロック時にネットの向こうまで腕を伸ばすのは難しく、勝てなくなった。1956年メルボルン五輪で、古川勝が200メートル平泳ぎで45メートルの潜水により金メダルを取ったら、直後に潜水はスタート直後とゴール前の一掻きのみと改正された。ホンダのF1がターボエンジンで1988年に16戦中15勝と圧倒的勝利を収めるや、すぐにターボエンジンは禁止となった。日本の躍進をきっかけとする欧米勢によるルール改正は、挙げ出したらきりがない。どの改正にももっともらしい理由がついている。
 つい先頃、フランス大統領が、2040年以降のガソリン車とディーゼル車の新車販売を認めないと宣言した。イギリス環境相、ドイツ首相がそれに続いた。排ガスによる健康被害とCO?による地球温暖化を防ぐ、という目的らしい。美しい。電気自動車のみにしようというのだが、現在のものは家電用電源なら10時間の充電で2、300キロしか走れない。距離を伸ばすのは電池の改良でいずれ可能になろうが、充電時間を短くする高圧電流を用いない限り至難だろう。電池の比較的早い劣化も問題だ。残された23年間で解決する目途が立っているのだろうか。それに英独仏にはそれぞれ数千万台の車がある。これらすべてが電気自動車に代わった時、十数%も増える電力需要をどうまかなうのか。今の所は、ドイツが全廃宣言をした原発に頼らない限り、化石燃料に頼るしかない。大気汚染源が、路上から発電所に移動するだけとなりかねまい。それに何より、現在のハイブリッド車を改良して燃費を半分にできれば、エネルギー効率において電気自動車とほぼ肩を並べてしまうのだ。それでも英独仏では売れなくなる。
 こう考えると今回の英独仏にとる唐突な宣言の真意が見えてくる。ガソリン車やハイブリッド車では日本に敵わず、対抗馬として売りまくってきたディーゼル車は、ドイツを中心として業界ぐるみの破廉恥な不正が露顕し技術的敗退が明確となった。日本の有利を帳消しにし、欧米の先行する電気自動車で勝負しよう、というルール改正ではないか。ギブアップ宣言代わりの奇襲なのだ。2040年を目標に日本メーカーは頑張るだろうが、欧米が遅れを取れば延期されるだけだ。1970年代の厳しい排ガス規制(マスキー法)に遅れを取ったビッグ3のため米政府は再三に渡り延期した過去がある。
 長い封建時代を生きてきたうえ革命を知らない日本人にとって、ルールとは常にお上から与えられるものである。その下で公平に競争すればよいとしか思わない。一方、王制打倒の革命や独立戦争を経験してきた欧米人にとって、ルールとは自ら作るものである。すなわち、競争はルール作りの段階で始まっているのである。経済競争を制する上で決定的なルール作りは、常に欧米が主導権を握っている。ここ20年に日本をはじめ各国が呑まされたグローバルスタンダードなるものだって、すべて欧米発だ。欧州のどの国より強力な経済力をもつ我が国は、今こそルール作りに積極的に参加し国益をかけて強く主張することだ。不公平なルール下での公平な競争は不公平なのだ。」
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 日本技術は、良くも悪くも、国際ルールや世界基準の限界に挑戦する事で磨かれてきた。
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日本の技術は、何時の時代でも欧米世界が決める国際ルールや世界基準に柔軟に対応していた。
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 日本の匠的職人は、ルールや基準が厳しければ厳しいほど意欲を燃やし、難しいルールや基準をクリアするべく挑戦した。
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 日本の職人は日本一、世界一、ナンバーワン、オンリーワンを目指したが、それは他者との競争としてではなく、自分自身との闘いとしておこなった。
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 買って手に取り使ってくれるお客の事を思って、より良い物をを作ろうとしただけである。
 お客とは、物の価値を知らず金を出して買い粗末に使う消費者ではなく、物の価値を知り物を大事にして使う目利きの事である。
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 同じ人間でも、欧米人と日本人とは違う。
 もし同じ人間であれば、日本人は白人によって奴隷として売買される事はなかった筈である。
 日本人は、白人の奴隷にされた歴史が存在する。
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 欧米モデルや欧米ルール・欧米基準が、国際ルールや世界基準になる。
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 日本モデルや日本ルール・日本基準が、国際ルールや世界基準になる事はまずない。
 もし、日本初のルールや基準が採用される時は、欧米に利益をもたらす場合のみで、欧米に不利益をもたらす場合は如何に有益でも拒否される。
 それが、世界・国際の現実である。



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