🐙10〗─1─2055年の世界危機。世界の総人口100億人と深刻な食糧・水・エネルギー不足問題。~No.29No.30No,31 @ ⑦ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 平地の少ない狭い日本国土における食糧生産能力で養える総人口は、最多で約7,000万人で、最適人数は約5,000万人と政府は推定している。
 約7,000万人を飢えさせずに養う為には、異常気象で凶作にならず、安定して農作物が毎年生産しなければならない。
 自然災害多発地帯である日本は、それが保証できず、総人口が3,000万人程度の少なくない時でさえ、数十万人の餓死者を出す地獄のような大飢饉が何度も発生していた。
 戦前の日本は、数年置きに襲い来る冷夏による凶作で食糧危機に陥り、国民を養う為に食糧を世界中に求めたが、地球上は欧米列強のブロック経済圏で分断され、食糧・資源・エネルギーは欧米の国際資本のよって独占されていた。
 欧米列強は保護政策から日本をブロック経済圏内から追放し、国際資本は中国市場を独占する為に日本を大陸から排除しようとした。
 人口爆発と食糧不足問題を解決の為に、生活圏を満州に拡大して戦争に巻き込まれた。
 軍国日本の大陸戦争は生存権自衛権の行使であって、ナチス・ドイツファシスト・イタリアが侵略戦の大義に掲げた生活権とは別物である。
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 日本の凶作は、異常気象による冷夏と夏の日照りによる渇水である。
 干ばつに襲われた百姓は、僅かな水を巡って流血事件を起こしていた。
 干上がる恐れがあった日本では、「水はタダ」ではなかった。
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 日本神道が謳っている「大八洲豊葦原の瑞穂の国」の意味とは、自然の保護、自然との共生共存、自然との棲み分けである。
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 日本は全ての面で自給率が低く、食糧・物資・エネルギーをアメリカの支配地か影響下の国や地域で購入し、アメリカ軍が安全を確保している輸送網を利用して輸入している。
 全ての物を購入している貨幣は、日本円ではなく米ドルである。
 日本円の国際的価値が米ドルの保証があっての事である為、米ドルの保証を失ったら日本円は国際金融市場の価値を失い、日本円では何も買えなくなる。
 これ以上の経済が衰退が進んで日本が貧しくなった時、日本円では何も変えなくなる。
 今はG7の一員だが、将来も先進国の一員とは限らず、いずれはその席を中国に空け渡す事になるかもしれない。
 政治家、官僚・役人、企業家・経営者、学者・教育関係者や評論家・専門家、メディア関係者、各種市民運動家などの高学歴出身知的エリート層の発言や行動を見ていると、そうなる可能性が大である。
 外国人移民(主に中国人移民)が急増すれば、確実にそうなる。
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 2018年7月10日号 ニューズウィーク日本語版「2055年危機 100億人の世界
 先進国の少子化どころじゃない人類の大問題は人口爆発
 資源、環境、ゴミ問題はどうなる
 少子化より深刻な人口爆発
 『100億人の世界』は食料・水・エネルギー問題をどう解決するのか?
 100億人の世界人口が文明を破壊する
 人口増加を止められず2055年には100億人を突破
 温暖化と資源枯渇で地球が悲鳴を上げている
 私たちは人類社会の崩壊を目撃することになるのだろうか
 40%‥現在の傾向に変化がない場合、2030年に予想される水の需要に対する供給不足 ──国連環境計画(UNEP)国際資源パネル
 180%‥世界経済の拡大に伴い2050年までに予測されるエネルギー使用量の12年比率 ──OECD環境アウトルック2050
 60%‥2050年に都市部に住むと予測される世界人口の比率。急激な都市化による社会の持続可能性が課題に ──国連経済社会局
 3倍 2100年までに予想される世界のゴミの増加量(13年比)。環境汚染物質の1つで温室効果ガスより速く増加中 ──ネイチャー」
 グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員
 明日の朝には、地球人の数が今日よりも22万7,000人ほど増えている。読者がこの記事を読み終えるまでに20人の赤ん坊が生まれる。現在の経済・社会的趨勢から計算すると、人類は地球の持続可能なレベルを5割も上回るペースで資源を消費している。
 国連の世界人口予測2017年版によると、地球の総人口は現在の75億5,000万人から30年後には85億5,100万人に達し、55年には100億人を突破すると考えられる。全ての人類がアメリカ人並みの生活を送るとしたら、地球5個分の資源が必要になる。このままではエネルギーの枯渇は必至で、世界的な資源不足で緊張・対立が深まり、資源の争奪戦が勃発するだろう。
 とはいえ、勇気づけられる傾向もある。半世紀前の専門家たちは、人口爆発によって深刻な飢餓と社会崩壊が起きるというマルサス学説に基づく悪夢を予測していた。
 しかしその後の教育レベル(とりわけ女子への教育)が上がったおかげで、出生率は先進国を中心に低下してきた。エネルギーの消費効率も向上しているため、同量の製品を生み出すのに使うエネルギーは50年前の40%で済むよになった。農業生産量も60年代以降は毎年2.3%の伸びを見せ、人口増加率の1.7%を優に超えてきた。
 過去半世紀を見ると、飢餓の犠牲者よりも多くの人々が貧困から脱し、有史以来の健康と寿命がもたらされている。1973年の世界の平均寿命は60歳だった。今は71歳で、2050年には77歳になると推定される。
 進歩したのは間違いない。とはいえ地球温暖化、都市化、高齢化など、21世紀の社会が取り組むべき巨大潮流の中で、最も重大な問題は人口増加だ。家族の人数、個人資産、エネルギー使用、戦争と平和など、人間の生存に深く関わる分野を大きく変化させ、富裕層から貧困層まで、あらゆる人々に影響を与える。
 人口増加は1700年頃から
 地中海沿岸の素晴らしい景色と気候は、私たちを魅了する。オリーブの木が並ぶゴツゴツとした岩と砂の大地。夏は暑いけれどカラッとし、冬は温暖。ホメロスがたたえた海の色はブルーグリーン。樹林は少なく、大地は大きく浸食されている。
 実はこの気候と地形は人類が図らずも生み出したもの。5000年近く前に書かれた古代オリエントの王の冒険物語『ギルガメシュ叙事詩』で、王は現在のレバノンにある緑豊かな杉の樹林を手に入れようとする(かつてのレバノンは『杉の国』だった)。しかし地中海沿岸の人口が少しずつ増加して土地が開拓されると、気候が変化して乾燥するようになり、古代の物語とは全く異なる景色になった。
 同じくイギリスの清教徒たちが初めて北米大陸に上陸した1620年、アメリカの大地な東海岸から2,000キロ先のミシシッピ川までびっしりと森に覆われていた。しかし入植者たちが木を切り倒したため、20世紀にはだだっ広い平原と化していた。
 地中海沿岸とアメリカがたどった道は多くの面において、近代における人口爆発の避けがたい結果だ。200年前の地中海の人口は4,000万人だったが、今では4億3,000万人。アメリカの人口は、白人の入植以前は数百万人程度だったが、今は3億2,400万人もいる。
 地球は悲鳴を上げている。私たちはエネルギーや水の消費などによって地球の資源に負担を掛け続け、ついに人間の生活を支えてくれるこの星の能力の限界を超えてしまった。
 世界の人口は毎年8,300万人も増えている。西暦1世紀頃の世界人口は、2億人程度で安定していた。それが18世紀には6億8,000万人まで増えた。当時は早死にする人が多かったので、1家族の人数は多かった。農作業をしたり、老人の世話をしたりするのに大家族である必要があったし、そもそも『家族計画』という考え方は存在しなかった。大半の人々が必要最低限の生活を送り、しばしば飢饉に見舞われていた。
 しかし18世紀には医療が進歩し、農業の生産性が向上したため、1800年には10億人、1887年には50億人、2011年には70億人の大台を超えた。
 『金持ちはさらに金持ちになり、貧乏人は子だくさん』とよく言われる。これは正しい。ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリア、日本(そして現在の中国)といった豊かな国はおしなべて出生率が下がり、遠からず人口減少という事態が待ち受けている。
 今後数十年で増加する世界人口の50%以上はアフリカに集中する。また全世界の人口増加分の50%以上はインド、ナイジェリア、コンゴ(旧ザィール)、パキスタンエチオピアタンザニアアメリカ、ウガンダインドネシアの9カ国が占める。唯一の先進国であるアメリカでさえ環境、社会ストレス、経済成長の釣り合いを取ることに苦労するはずだから、ほかの国では社会、経済、政治への負荷はより深刻だろう。
 海面上昇で消えてしまう都市も
 現在のところ、ドナルド・トランプ大統領とその支持者を除いて、誰もが地球温暖化の事実を認めている。温暖化は地球にとって何百万年の歴史における最大の変化であり、人類の生存に関わる喫緊の問題だ。
 元太平洋軍司令官のサミュエル・ロックリア海軍大将は(環境活動家ではないが)気候変動絡みの混乱が『安全保障の環境を最も損ねる原因になる可能性があり・・・そう遠くない未来に海面上昇によって全国民が難民化する国もありそうで・・・何百万もの人々が住む場所を失い、安全保障の体制が崩れるだろう』と語っている。
 アメリカの諜報機関も10年以上前から、今後の世界秩序にとって最大の脅威は地球温暖化の影響だろうと警鐘を鳴らしてきた。シリアが深刻な干ばつに見舞われ、食糧不足から社会的な緊張が高まった背景には地球温暖化の影響があり、結果的にそれが泥沼の内戦の引き金となったのではないか。そんな分析をする人もいる。
 そして温暖化は人口爆発の直接的な結果だ。最も楽観的なシナリオでも、今後の私たちの暮らしに深刻な影響をもたらす。いや、既に影響が表れている。しかも長い目で見れば、その影響はもっと深刻で衝撃的なものとなるだろう。
 つい最近も、南極大陸の氷の消失スピードが予想以上に速く、過去5年間に限っても3倍に加速したと報告があった。このままだと海面の上昇が予想以上に進み、世界各地で洪水による被害が頻発するだろう。それだけではない。南極と北極の氷が全て、向こう30年以内に消失する可能性も指摘されている。
 昨日生まれた人が80歳まで生きれば、その頃の海面は今より1〜2メートル高くなっているかもしれない。そうなれば沿岸部の都市は水没し、太平洋の島国は海にのみ込まれる。
 アメリカならフロリダ州の各都市やニューヨーク市の一部、ヨーロッパならオランダやイタリアのベネチア、アジアならバングラデシュや中国の上海などが、人口と化石燃料消費の増加がもたらす温暖化の脅威にさらされている。最悪の場合、今世紀中に何億もの人が家を捨てて高台に避難せざるを得なくなる。あるいは魚になるかしかない。
 海面上昇のほかにも、温暖化はさまざまな影響をもたらし得る。世界中で干ばつが頻発し、嵐は今よりも強くなるだろう。気温が上がれば水分の蒸発量も増えるから、地面が乾き、砂漠化が進む。竜巻も増え、深刻な熱波の襲来が増えるだろう。
 海面上昇に伴う洪水や、巨大ハリケーンによる水害が増える一方、人口の増加は水の供給不足を、そして水資源をめぐる争いを招く。
 国連が警告しているように、現在の傾向が続けば、30年における水需要は供給可能な量を40%も上回る恐れがある。人類が消費する水の70%は今も農業に使われているが、よほどの技術革新がない限り、水資源は絶対的に足りなくなる。
 深刻な水不足と食糧難の危機
 地下水の枯渇も深刻だ。一部の帯水層は、あと何十年かで空っぽになりそうだが、それを再び満たすには1万年の歳月が必要だ。南アジアで何億もの人に水を供給してきたガンジス川も不滅ではない。その水源であるヒマラヤの氷河は、過去30年で最大5分の1縮小した。30年までには、人類は半数以上が深刻な水不足に悩まされることになるだろう。
 また人口の増加により、世界の食糧需要は30年までに35%も増える見通しだ。20世紀の後半以降、農業の生産性は著しく向上してきた。品種改良や栽培技術の効率化で収量の増加を目指す『緑の革命』のおかげだ。それで需要を満たすことができ、多くの人々の健康状態を有史以来の最高水準にまで改善できた。
 しかし20世紀の後半に年率2%台を維持していた農業生産性の向上率も、今は1.1%程度で頭打ち。産業革命以降、ほぼ一貫して下降傾向にあった食品価格も、今後は世界的に上昇に転じていく可能性が高い。
 豊かになった都市住民は肉食を好むという問題もある。食肉需要の増加は地球の生態系と私たちの社会経済システムに持続不能な負担をもたらす。例えば食肉1キロを生産するには鶏肉でも約4,300リットル、牛肉なら約1万5,400リットルの水が必要とされる。対して水稲1キロの生産に必要な水は約2,500リットル。パン1キロなら1,600リットル、ジャガイモ1キロなら300リットル弱で済む。
 1ポンド(454グラム)のステーキを1枚食べれば約7,000リットルの水を捨てることになるのだが、もちろん私たちはそんなことを考えもせずに肉を食べ、平気で食べ残しを捨てている。どう見ても持続不能だ。増え続ける人類に好きなだけ肉を供給できるほどの水も土地も、この地球上にはない。だから生産と消費の在り方を変えていく必要がある。倫理的な提言ではない、純粋に科学的な推計と分析に基づく見解だ。
 こうした深刻な事態が予測される一方、実は食糧供給は十分持続可能だという見方もある。いま生産されている食糧の半分以上は、人々の腹を満たすことなく(流通過程の非効率などのせいで)廃棄されているからだ。
 この先に必要なのは、水利用の効率を改善し、農業生産や食品流通の技術を大幅に向上されることだ。さもないと(自然災害としての飢饉ではなく)人為的な原因による『食糧不足』が社会不安をあおる恐れがある。
 カギは技術革新と効率改善
 豊かな国の人々は、食品価格の上昇に愚痴をこぼす程度で済むだろう。しかし、こうした社会的ストレスは(毎度のことながら)最も貧しくて負荷に弱い社会を直撃する。温暖化や水不足、農業の危機といった社会的ストレスに耐え切れず、祖国を捨てて豊かな国へ移住する人も増えている。
 一般論として、農業の生産性が向上し、経済全体の生産性も高まるにつれて農業従事者は減り、都市に移り住む人が増える。だから世界中で都市化が進む。1950年に都市部で暮らしていたのは世界の総人口の30%だったが、2050年には68%になる見通しだ。その結果、世界全体の経済成長は続くだろうが、一方でエネルギーの消費と、水や食糧の需要も世界中で一段と増えることになる。
 エネルギー消費量も二酸化炭素排出量も驚異的ペースで増加している。1700年以来、人口1人当たりのエネルギー消費量は一貫して増え続け、総消費量は50年時点で現在より80%ほど多くなると予想されている。
 この事態に対処する技術革新と効率改善しかない。専門家はまだ間に合うというが、需給バランスの調整にはいつも綱渡りのような危うさが伴う。
 都市化が進み、それに伴って中産階級が台頭すると、一般に政府への圧力が強まる(30年には中国の総人口の75%ほどが中流層になる)。そうなると社会は本能的に独裁主義的なポピュリズム大衆迎合主義)に傾く。社会が混乱すればポピュリズムの傾向も強くなる。すると逆説的だが、拡大する新興中間層が高まり、民主化を求める動きが活発になるだろう。歴史的に、革命は社会の発展期に起きることが多い。社会が変化すると、人々が支配層に期待することも変わるからだ。
 総人口の増加は、少なくとも今世紀いっぱいは続くとみられる。当然、少子高齢化も進む。例えば中国では、生産年齢人口が既に11年に9億2,500万人でピークに達したとみられ、50年には7億人と25%近い減少が予測されている。
 これは少子化と平均寿命の伸長による世界的な傾向だ。60歳以上の高齢者は世界で年間3%のペースで増加している。現在60歳以上が総人口に占める割合はヨーロッパで255、北米で22%、アジアでは12%だが、50年にはそれぞれ35%、28%、24%にまで増えると見込まれています。
 こうした世界的な高齢化は大きな影響をもたらすだろう。特に、日本にはどこよりも深刻な影響が出そうだ、現在、高齢者1人に対する現役世代の数はアジア平均で7.4、北米で3.8だが、日本は2.1と世界最低レベルになっている。現在と同じ水準の社会保障を維持しようと思えば、現役世代への増税かサービスの縮小・削減、あるいは大幅な効率化しかない。
 しかし政策をどう組み合わせようと、政治的な影響は避けられない、人々の間で、限られた資源の奪い合いになるからだ。
 一方、中東などの地域では政府が若年層の急増への対応に迫られそうだ。中東では人口の60%が25歳未満だ。若年層の急増と紛争の発生には明らかな相関関係が見られる。世界の紛争の約8割は、人口の中央値が25歳未満の社会で起きている。急増する生産年齢の人々に対する教育と雇用の提供が追い付かないからだ。
 途上国では急激な人口増加が続いている(以前より低下したとはいえ、依然として出生率は高い)。そこで持ち上がるのが食糧や居住、雇用問題だ。人口が減少する先進国と増え続ける途上国の間では人の移動が増える。これにどう対処するかは、人口動態や社会の変化を考える上で非常に重要だ。
 移民受け入れは切り札となるか
 移民は人口増加に関わる巨大潮流の1つであり、今後20〜40年間に世界に大きな変化をもたらすだろう。
 人口増加、環境負荷、経済成長、高齢化、若年層の急増、期待の高まり、グローバリゼーションは全て、向こう数十年にかつてない規模の世界的な人口移動をもたらすだろう。そうして移民は少子高齢化社会保障費の膨張に対する切り札となるかもしれない。
 今後10年で世界の移民が3%増加すると、世界全体のGDPは0.6%増加する。これは現在の貿易障壁を全て撤廃した場合の経済成長率を上回る。
 一方、移民は社会的ストレスの原因になるかもしれない。ヨーロッパの人口に占めるイスラム教徒の割合は現在約4%だが、一般に出生率の高い彼らの移民が増えた場合、8%に拡大するだろう。大きく異なる2つの文化(キリスト教色の強いヨーロッパ文化とイスラム文化)の統合は、時に暴力を伴うような大きな問題を引き起こしてきた。これはヨーロッパ社会を何十年も悩ませてきた問題だ。
 日本も人口動態的、財政的、社会的な問題の解決策として、本格的に移民を受け入れるかもしれない。だが日本にはそうした経験がないし、今までも他民族を歓迎してこなかった。既に問題解決の一助になっているのにもかかわず、こうした風土が社会的な障壁になるかもしれない。
 いずれにせよ、過去300年にわたる人口の急増と経済成長などによって、世界的な人口の大移動は既に始まっていて、今さら止めようがない。今後数十年で、さらに数百万単位の人々が自国の政治的・社会的な混乱を逃れて、あるいはよりよい生活やチャンスを求めて、国境を越えるだろう。
 イースター島は世界一孤立した島だ。ここには、人面を模した巨大な石像彫刻のモアイ像がある。一番多いときで、人口は1万5,000人ほどいたが、1722年には約2,000人、1877年にはわずか111人になっていた。この文明の主な衰退原因は、人口が増加した結果、生態系管理に失敗し環境悪化を招いたことだった。世界規模で人類の歴史を見渡せば、多くの文明が似たような失敗を犯し、同じ轍を踏んできた。
 現在の私たちの文明は、彼らより高度に発達している。だが本当に私たちは『進んでいる』のだろうか。
 5000年近く前の『ギルガメシュ叙事詩』が私たちに訴えている。レバノン杉の森を伐採してしまった彼らと私たちはそれほど変わらないと・・・。材木やエネルギー源として、あるいは土地利用のために、自然の力では再生できないレベルまで、私たちは木々を伐採し、燃やしてしまった。
 世界人口が増え続け、海面が上昇し続けている。飲み水は不足し、気温は上がる。この地球には、アメリカ人並みの生活レベルを人類全員が享受できるほどの資源は存在しない。もちろん、誰しも自分だけ我慢を強いられることには耐えられない。誰だって他人と同じレベルの生活を求める権利があるのだから。
 2050年人口ランキング
 一位 インド       16億5,900万人
 二位 中国        13億6,400万人
 三位 ナイジェリア     4億1,100万人
 四位 アメリカ       3億9,000万人
 五位 インドネシア     3億2,200万人
 六位 パキスタン      3億700万人
 七位 ブラジル       2億3,300万人
 八位 バングラデシュ    2億200万人
 九位 コンゴ(旧ザィール) 1億9,700万人
 十位 エチオピア      1億9,100万人」
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 「日本は洪水が発生するほど降雨量が多く水には困らず、良質の水を輸出をすればいい」は、歴史的事実としてウソである。
 日本は雨が多いのは事実であるが、「裏は山、前は海で」、山に降った雨は急流を下って海に流れ溜まる事ない。
 豪雨となれば、洪水が発生して家や人や家畜をのみ込み押し流し、田畑の作物を濁流が襲い凶作をもたらした。
 つまり、日本の地理的環境は「多雨渇水」で、雨が降らないと水不足となり、農作物に甚大な影響を及ぼし凶作をもたらし、水不足と食糧不足が日本民族日本人を襲い餓死者を出していた。
 日本民族の歴史は、豪雨と干ばつの中で飲料水や農耕水を巡る「水争い」の歴史である。
 水を巡っての殺し合いは、日本全国にあった。
 忌み嫌われるムラの歴史とは、そうした歴史である。
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 日本列島は自然災害多発地帯で、日本民族日本人はそんな無慈悲な自然災害の中で生きてきた。
 現代日本人は歴史が嫌いな為に、そうした日本民族の歴史やムラの歴史を歴史の闇に隠してきた。
 頻発する自然災害で、狼狽し、右往左往するのは現代日本人の馬鹿さ加減、自業自得である。
 特に、ネットの書き込みで犯人探しをし、デマやウソをまき散らして混乱を助長して喜んでいる日本人は幼児以下の「白痴」の為に救いようがない。
 現代日本人から、日本民族日本人の気質が急速に消えつつある。
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 「日本人は言霊信仰を持ち、災害や戦争の事を口にすると実際に起きるから、言葉や文字にしないし、思う事も、想像する事もしない」というのは、愚かな、バカバカしい言説である。
 そうした言霊信仰は、悪意に満ちた偽物で、本体のない、心のない、上っ面の金メッキ的言霊信仰である。
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 江戸時代の日本人は、そんな事は馬鹿げた話など信じていなかったし、災害は笑い飛ばし、生きている事を喜び、花火を豪勢に打ち上げ、賑やかに相撲をとり、豪華絢爛たる歌舞伎などの興行を楽しみ、盛大な祭りを行った。
 日本民族日本人とは、現代日本人とは違って、楽しく明るく笑い騒々しく生きた人々であった。
 町人文化華やかな江戸時代は、都市文化の現代日本とは違って、明るく朗らかで陽気であった。
 御上・幕府や諸大名などの公権力は、浮かれ騒ぐ庶民は社会を混乱させる元凶になるとして危険視し、儒教的質素険約を押し付け、神道的歌舞音曲を厳しく取り締まった。
 だが、幕府や諸大名も、大火や災害の被害者である為に庶民を取り締まるゆとりはなく、庶民の救済は庶民の相互扶助・自助努力・自力救済に丸投げしていた。
 百姓は税として年貢を納めていたが、一般の町人・職人は無税に近かった。
 その点が、日本と西洋や中華と根本的に違うところである。
 大火や災害の被害者を救助・救済・保護するのは、西洋は宗教権威のキリスト教会であり、中華では政治権力の皇帝であり、日本では権力も権威も持たない無位無官の名も無き庶民であった。
 日本民族日本人が、政治や宗教に関心も興味も少ないのはこの為であり、政治的宗教的な煽動に動かされにくいのもこの為である。
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 江戸時代の知的エリートは、西洋の王侯貴族や富裕層ではなく、中華の科挙合格者でもなく、普遍的な身分制度や金持ちとも関係が薄かった。
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 人類の文明、近代文明、現代文明は、略奪・強奪文明であり、人間の進歩・社会の発展・経済の富・生活の楽を得る為には自然を破壊し消費しなければならない。
 自然を破壊し消費できなくなった時、略奪・強奪の文明である、近代文明・現代文明は廃墟の中に残る古代文明と同じ道を辿り、人間の進歩・社会の発展・経済の富・生活の楽は消え失せる。
 「人間の叡智が、その運命を乗り越える」は、あり得ない。
 何故なら、人類の歴史・世界の歴史・大陸の歴史がそれを証明している。
 人類創世記の古代文明は、現代まで生き残ってはいない。
 それは、西洋のヨーロッパであれ東洋のアジアであれ例外はない。
 自然環境を破壊し地球の気候を狂わせる最大の元凶が、農産物、牧畜・畜産などの食糧・食べ物を生産する農業である。
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 人類の歴史は、地球上で居住地域と耕作可能地域が存在する中で人口を増やしてきた。
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 これまでも人類は、人口増加で深刻な食料やエネルギー危機に直面した時、新たな居住空間を求めて地球上に移住し、食料に対しては開墾による耕地の拡張と農業技術の改革で生産量を増やし、エネルギーは木材から石炭・石油の化石燃料そして原子力へと変換して乗り切ってきた。
 今後の人口爆発に対して、人が新たに移り住める環境の土地は少なく、食料生産を行える未開な肥沃な土地も少ない。
 これまでの地球には余裕があったが、これからの地球には余裕がない。
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 人類が今後も生き残る為には、現代の富を生み築き上げてきた成長・成功の発展モデルを棄て、新たな何かを生み出す必要がある。
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 人類の歴史、古代史において、戦争の激化や天候の異常などで将来確実に破滅的状況に襲われるとわかっていても、高度な文明を築いた古代人は食い止める事ができず廃墟を残して絶滅した。
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 自然環境と共生し棲み分けていた理想的な縄文文化はあったが、現代日本にはその生き方は受け継がれることなく消滅している。
 原始的な自然崇拝の縄文文化を破壊したのは、最初は仏教で、次が儒教で、そしてキリスト教で、最後が科学至上で反宗教無神論と人民革命のマルクス主義特に共産主義であった。
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 被害の深刻さを考えて対策を施すが、神経質にならず、クヨクヨ思い煩わず、その日その日を楽しく生きる。
 それは、ある意味、自然災害や大火に襲われるという不運・不幸を笑い飛ばし、命ある事のみを喜び、今この時を楽しく生き抜く江戸時代の江戸っ子気質である。
 つまり、御天道様に恥じない、御天道様に申し訳ない、そんな穢れた生き方をしない、という覚悟であった。
 現代日本人には、江戸っ子気質はもちろん武士道・士道もない。
 特に、リベラル派・革新派・エセ保守派そして一部の保守派そして右翼・右派・ネットウヨクには、微塵も、欠片も、影も形もない。
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 御天道様とは、太陽であり、自然であり、そして天皇であって、御上、幕府、大名、武士・サムライではなかった。
 御天道様は、キリスト教における天地創造の万能な絶対神ではない、日本神道における八百万の神々の上に存在する最高神・天つ神の女性神天照大神天皇家・皇室の祖先神)である。
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 目先の自分だけの問題にしか興味の関心もない日本人に、地球規模・世界的な危機を乗り切り生き残れるのだろうか。
 政治家は当選の事しか考えていないし、官僚は天下り先の事しか考えていないし、企業家・経営者は報酬の事しか考えていない。
 大人は自分の老後の為に如何にして少こくしで多くの金を国から貰う事しか考えていない。
 多分、リベラル派・革新派・エセ保守派そして一部の保守派には対応能力は乏しく、右翼・右派・ネットウヨクには絶望的なほどに能力がない。
 日本国と天皇家・皇室を嫌悪し、日本民族日本人を憎む日本人は、特にその事が言える。
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 人口増加を抑制する最も有効な手段は、女子教育の充実と女性の社会進出を加速させ、夫の束縛と家・家庭の雑事からの開放である。
 女性の夫からの独立と家・家庭からの自立が、人口減少をもたらす。
 つまり、女性の働き方改革が行く先は、女性が子供を生まない人口が増えない・人口が減る社会である。
 労働不足の現在にとって有効な手段だが、人口激減の未来にとってカタストロフィしかももたらさない。
 つまり、労働効率の低い大人と社会保障費で生活する老人の為であり、全ての負担を押し付けられる子供や孫、そしてまだ生まれていない世代の為ではない。


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100億人時代の地球―ゆらぐ水・土・気候・食糧

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