- 作者:大木 裕子
- 発売日: 2015/01/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2018年4月号 WiLL「反撃の経済学 三橋貴明
国土経済学
驚くべきデータを紹介しよう。日本のGDPは、世界の6%程度であるのに対し、世界の災害被害総額17.5%が我が国なのだ(平成26年版防災白書)。日本列島は、GDPという経済規模に比して、諸外国の3倍の災害被害を受け入れなければならない国土なのである。
ちなみに、1980年から2013年までの世界の災害による被害総額を見ると、東日本大震災(約2,000億ドル)が首位となっている。三位は、約1,000億ドルの阪神・淡路大震災。
自然災害大国である以上、日本政府が技術投資、公共投資により『国民を地震から守る』支出を継続すれば、我が国が『需要不足』に陥ることなどあり得ない。公共投資は『公的固定資本形成』というGDP(=需要)の一部なのだ。我が国が真面目に防災を始めると、むしろ供給不足によりインフレの可能性が高まるだろう。
逆に、緊縮財政とは、まさしく政府の責任放棄そのものなのだ。
国民を自然災害から守るための投資も、立派な需要である。この事実を認識すれば、
『我が国は少子化で(あるいは「人口減少で」「成熟化で」)需要は増えない』
などといった言説が、まさに『世迷言』であることが理解できるはずだ。
自然災害大国とは、確かに厳しい国土だ。もっとも、自然災害大国は『国民がお互いに助け合う』という意味のナショナリズムを醸成しやすい。あるいは、政府が国民の防災を真剣に考えたとき、『需要が尽きることがない』といった面もあるのである。
日本は今、自然災害大国という厳しい国土環境を『活かして』経済成長し、繁栄する道を模索するべきだ。そのためにも、単純な机上の経済学ではなく、国土的条件を加味した『国土経済学』が我が国には必要なのである」
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