🐙13〗─2─工場生産の加工食品・人工肉・ニセ肉、遺伝子組換えの農作物及び家畜、昆虫食などが、地球規模の食糧危機の救世主となる。2014年~No.47 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 ニセモノ食品を安く売って暴利を稼ぐ悪徳食品業者。
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 工場生産の加工食品・人工肉・ニセ肉、遺伝子組換えの農作物及び家畜、昆虫食などが、地球規模の食糧危機の救世主となる。
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 食糧不足の日本は、外国から安全性に疑いのある安い農作物や加工食品を輸入しなければ確実に飢餓に陥る。
 乱暴に言えば。日本国土で生産する農産物で養える総人口は、飢えに耐えて最大限で8,000万人で、安定的に養うのであれば7,000万人で、地球の温暖化・異常気象による凶作を考慮すれば5,000万人である。
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 2014年3月8日号 週刊現代「あなたは何も知らずに食べますか
 微生物で作られる『かつおだし』
 黒い着色料で色づけする『醤油』
 半分は水でできている『ハム』」
 スーパーにはいっぱい並んでいた見た目は『本物』、中身は『別物』が
 スーパーで買い物をするとき、『値段』を基準に選んでいる人に要注意。その食べ物、『ニセモノ食品』かもしれません。見ただけでは絶対にわからない、……
 安さを追求しすぎた
 ……
 この表示偽装騒動、『どのように表示するか』だけが問題なのだろうか。生物学者青山学院大学教授の福岡伸一氏は、こんな指摘をする。
 『(エビチリなどに使う)バナネイエビを芝エビと表示していたのは、どうせわからないだろうと消費者を軽視して騙していたのでしょう。不都合なことは表示せず、売りになることはウソでもアピールする、こうした風潮は問題です。
 「安さ」が食品の価値基準となった現代では、食を作り出すプロセスに見えない部分が多くなるすぎた。だからこそ、それをいいことに偽装問題が起きたのです。この点もきちんと考えるべきではないでしょうか』
 そもそも私たちは、自分たちが口にしている食品に何が材料として使われ、どのように作られているのか、知らなすぎる。
 たとえば、あなたが牛肉だと思って食べているものが、じつはまったく違う別物だったということも、あり得るのだ。
 昨年8月、ロンドンで開かれたハンバーガーの試食会には、200人以上もの報道陣が押しかけていた。
 注目された理由は、パテに使われた牛肉が世界初の『人口肉』だったから。
 ……
 いまや人類の技術を駆使すれば、農場ではなく実験室で食肉を製作することが可能になっている。
 日常的に食卓に並んでいる
 試験管の中で培養されたというこの肉、一体どうやって作られるのか。開発者のオランダ・マーストリヒト大学教授のマーク・ポスト氏に聞いた。
 『肉の筋肉から幹細胞を採取し、培養ケースに入れると、48時間以内に増殖が始まります。そのうち、筋肉と筋肉を結びつける腱も作られ、筋肉が収縮するようにもある。数週間すると、ハンバーグを一つ作れるほどの肉に成長するんです。もっと味をよくするためには、脂肪細胞も同様に培養して筋肉と混ぜればいい。
 40年後には、世界の人口は90億人を超えます。肉の需要は増加し、大量の食肉不足が発生します。この技術は、それを解決する手段になり得るのです』
 ……我々の食卓に人口肉が並ぶ日がやってくるのは、もはや時間の問題だ。
 食糧危機に備えるため、より美味しくするため─人間は自分たちのニーズに合わせて、あらゆる食品加工技術を『進化』させてきた。そうして作られた食品のなかには、福岡氏が言うように作るプロセスを見る機会はないものの、それを見れば眉をひそめたくんばるようなものも少なくない。
 そして、見た目は『本物』だが中身は『別物』という食品は、すでに日常的に食卓に並んでいる。たとえば、和食に欠かせない醤油。小麦と大豆を原料とする麹に塩水を加え、発酵させて作る日本人にも馴染みの深い調味料だが、じつはこの醤油、ニセモノが多数で回っているという。
 『醤油の味がするだけで、醤油もどきの調味料は本当に多い。増量のため醤油にアミノ酸液を加えて着色料で黒い色をつけ、化学調味料や糖類などを足して作ります。スーパーなどで1㍑拍数十円という安い価格で売られている商品は、こうして作られているものが大半です。原材料名に「アミノ酸液」と書かれていたら、醤油もどきです』(『食品の裏側』著者・安部司氏)
 アミノ酸液とは、大豆の搾りカス(脱脂加工大豆)を塩酸で分解し、苛性ソーダで中和するとできる液体調味料のこと。これを利用すれば、時間をかけて発酵する手間もなく、あっという間に醤油もどきが完成する。弁当などについている醤油はほぼ例外なくこれだ。
 体に良さそうなものが危ない
 もう一つ、和食を作るのに欠かせないものに、だしがある。手軽に使えるインスタントの和風だしを活用している人も多いだろう。この原料となっているのは、昆布やかつお節などではなく、『微生物』 の産物だ。『グルタミン酸ナトリウム核酸などのうま味調味料は、じつは微生物が作り出しているんです。糖蜜の中で、うま味を作り出す微生物を培養し、その産物に科学反応を起こしてナトリウム化する。この微生物は、遺伝子組み換えでつくられたものです。
 さらに複雑な味を出すために、アミノ酸液を粉末にしたタンパク加水分解物も混ぜられる。かつおや昆布のエキスは、風味づけとして使われる程度です』(前出・安部氏)
 私たちが魚介のだしだと思っていたものは、じつは『微生物だし』だったわけである。
 また、本来ハムといえば、豚のもも肉を塩漬けにしたあと燻製にしたもの。原料の豚肉に手が加えられているのだから、豚肉そのものよりハムのほうが値段は高くて当たり前だろう。
 だが、スーパーで値段を比べてみてほしい。たとえば都内のあるスーパーでは、ある日、国産の豚もも肉が1㌘あたり約1.9円(100㌘188円)、ハムが1㌘あたり約1.4円(140㌘198円)で売られていた。
 手が込んでいるはずのハムのほうが、なぜ安いのか。
 ……
 スーパーなどで売られている牛乳は、農場で搾取されたものが殺菌処理されてパック詰めされている。それが常識と思ったら大間違い。とくに、安値な牛乳は注意したほうがよさそうだ。
 『表示に「加工乳」または「乳飲料」と書かれているものは、純粋な牛乳とは別物です。本物の牛乳も50%以上は含まれていますが、還元乳と呼ばれる脱脂粉乳と無塩バターを水に溶かしたものを加え、調整されています。原材料名にはこれが「乳製品」と表示される。低脂肪乳やカルシウムなどがプラスされているような商品はこうして作られているのです。
 脱脂粉乳の代わりに、より安い輸入ホエー(チーズを作る際に分解される水溶液)を使ってさらにコストを下げているものもあります』(食品ジャーナリスト・郡司和夫氏)
 『低脂肪』などと聞くと、さも体によさそうなイメージがあるが、じつはコストを下げるための製法だったのだ。生乳100%の牛乳だけが『牛乳』と表示できるため、それが『本物』の牛乳かどうかを見分けるには、パッケージを確認すればいい。
 ちなみに、産地が記載されていないものは、さまざまな産地で取れた牛乳がブレンドされているものがほとんどだという。
 ところで、この『牛乳もどき』に限らず、体にいいと思ってあえて選んでいる食品ほど、じつは『本物』ではない商品が多いというのが食品業界の常識でもある。典型的なのは、カロリーハーフのマヨネーズ。
 『マヨネーズは、酢と卵黄、油、塩だけで作られたものですが、「カロリーハーフ」「カロリー1/2」などの商品は、油を半分にしてゼラチンや加工でんぷんでカサ増しされています。マヨネーズとは謳えないため、原材料名表示には「サラダクリーミードレッシング」とわけのわからない名前が書いてある。
 コンビニや外食産業では、卵を一切使わず、代わりに乳化剤を使った半固体状ドレッシングが使われている』(前出・安部氏)
 乳化剤は、水と油を混ぜる界面活性剤、つまり洗剤のようなもの。
 また加工でんぷんとは、イモなどのでんぷんを色々な化学薬品を使って処理した合成添加物のことだ。リン酸化でんぷんなど11種類が食品添加物として認められているが、『発がん性の疑いがある物質が残存する可能性があり、欧米では使用制限があるのですが、日本では規制されていない』(消費者問題研究所代表・垣田達哉氏)という。安価に食品のカサ増しができるため、日本ではさまざまな食品に利用されている。
 とくに含有量が多いのが、かまぼこだ。……
 安価に食品を作れるために、添加物を利用してカサを増す手法は他にもある。醤油もどきの調味料にも含まれていた脱脂加工大豆だ。『大豆たんぱく』『脱脂大豆』などと表示される。
 『ほとんどの加工食品の主原料になっているといっても過言ではありません。これは要するに、大豆カスです。サラダ油などに使われる油を搾り取ったあとの大豆のカスが、アメリカやカナダから輸入されています。
 ハムやハンバーグ、ミートボールなど安い加工肉では、カサ増しするためにこれが使われることが多い。中には、豆腐や納豆に使われていることもある。脱脂加工大豆を固めて作るんです。見た目にはわからないでしょうね』(前出・郡司氏)
 『家畜の飼料』まで使われる
 この脱脂加工大豆を使って、こんなニセモノ食品も作られているという。
 『脱脂加工大豆を粒状に加工して、茶色く染色したものがミンチ肉として使われています。09年に日本の規制が改定されて、植物性たんぱくを着色してもいいことになったんです。
 これは、見た目も食感も本来のミンチ肉とほとんどかわらない。業務用では、着色した〝ミンチ肉〟に牛脂、牛肉エキスなどを加えたものが牛肉コロッケとしてかなり流通しています』(前出・中村氏)
 なお、脱脂加工大豆には安全性についてこんな懸念がある。
 『この脱脂加工大豆、日本に輸入される際は、食用ではなく家畜の飼料用として入ってきているんです。それを、悪質な食品業者は、飼料を扱っている業者から買っています。
 食用として輸入するよりも10分の1以下の関税で済んでいるので、とても安く手に入れられる。問題は、飼料用としての輸入だと、残留農薬などのチェックが非常に甘いということ。さらに、その99.9%が遺伝子組み換え大豆です』(前出・郡司氏)
 実際に人体にどれほどの影響が出るのかといったデータはないが、こうした行程を経て、我々の口に入っているということは知っておくべきだろう。
 ……これは、消費者の『安く美味しいものが食べたい』というニーズに応えるために磨き上げられてきた技術の賜物とも言える。
 ……前出の福岡氏が語る。
 『消費者は、価格だけで商品を選びすぎではないでしょうか。安全や手間ひま、生産工程の可視化のためには、それなりのコストがかかることを自覚するべきです。同じ商品でも、なぜ価格差があるのか、考えなくてはならない。そして、できれば安全のためのコストがかかった50円でも高いほうを選ぶべき。その50円が暴利なのか、合理なのかを見極める眼が必要な時代になっていると思います。
 本来、食は、長い歴史や文化、風土によって選び取られてきました。それを生物と環境の相互作用、つまり動的平衡のバランスの上に成り立っていた。それを崩すような食品が増えすぎているのではないか』
 高度な技術によって作られた『本物ではない食べ物』が、私たちの体にどんな作用を及ぼすかは未知数だ。一度、自分の食を見直してみてはどうか」
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 3月15日 週刊現代「あなたは何も知らずに食べますか
 2倍の速度で成長させる『フランケン・フィッシュ』と、毛だけ生えない『ヌード・チキン』
 『人口食品』の技術はここまで進んでいた!
 食品を作る技術は、すさまじい進歩を遂げている。もはや『工業製品』とでも言うべき食べものが次々と登場しているのだ。美味しくて安いならい良いと思うか、気持ち悪いと思うかは、あなた次第。
 食べても違いはわからない
 『フランケン・フィッシュ』──人間の手によって、こんな新種が生み出された。 
 これは、遺伝子操作によって通常の2倍の速度で成長するように仕組まれた魚のこと。24年前から続けられてきた研究成果が実り、ついに、アメリカのアクアバウンティ・テクノロジー社(以下、アクア社)が開発に成功した。
 ……
 出荷するまでに3年かかっていたものが、半分の1年半に短縮でき、その分、エサ代も減らされる。養殖業界にとっては、安く、効率的に育てられる夢の食糧が実現したわけだ。大豆やトウモロコシなど、農産物の遺伝子組み換えはかなり普及しているが、魚や肉など動物の遺伝子組み換え食品としては世界初となる。それゆえ、人体に危険は及ぼさないのか、生態系への影響はどうなのかなど、さまざまな不安から反対運動も起こっていたが、アクア社の広報担当ディブ・コンレイ氏は、こう断言する。
 『海から離れ閉鎖された場所で養殖されているので、魚が逃げるということはありません。から生態系に影響を与える心配は無用。そして、我が社の社員は、実際にこのサーモンを食べています。私が「美味しい」と言うと客観性に欠けた意見に聞こえてしまうかもしれませんが、いい商品ですよ。健康にいいし、安全です』
 ……
 遺伝子組み換え生物を作ることに反対している米国の作家、ポール・グリーンバーグ氏はこんな点に不安を抱いているという。
 『ここでアメリカが認可してしまうと、中国などがさまざまな動物で技術を応用し始めるでしょう。それに、遺伝子組み換え食品は、現状アメリカでは表示義務がない。私たちは、知らない間に、フランケン・フィッシュを口にしてしまうことになるのです』
 サーモンだけでなく、2倍のスピードで成長するマグロや鯛、牛や豚・・・そんな本物とは似て非なる人口的な魚介や肉が、近い将来、知らないうちに食卓に並ぶようになるのは、もはや止められない。安さを求める消費者がいる限り、より安く食品を作るために、こうした技術も日々開発されていく。
 深海魚の遺伝子をトマトに
 ……
 植物と動物の遺伝子を掛け合わせた人口食品もある。
 『アメリカで開発された、寒さに強く冬でも枯れないトマトです。これは、南極の氷の下でも血が凍らない、オヒョウというカレイ科の遺伝子に目をつけたのです。この魚には血液を凍らせない酵素を作り出す遺伝子があって、それをトマトに組み込むと、寒さに強い新種ができる。本来、夏に実をつけたら冬には枯れてしまうのが、冬にも収穫できるようになるのです。
 技術的には、このような「人口食品」を作ることも可能になっているんです』(『食政策センター・ビジョン21』主宰・安田節子氏)
 前回、本誌では、見た目は『本物』だが中身が『別物』という食品の数々をレポートした。普段、当たり前のように口にしている食品がどのように作られているのか、その実態を知って驚く人も多いのではないか。
 ……
 遺伝子を操作することで生産効率を上げる技術は、すでに日本ではこんなところに使われている。
 『醤油や味噌、納豆、日本酒、かつお節など、日本の文化である発酵食品には、麹菌、納豆菌、酵母菌などの菌が欠かせません。ですが、これらの食品で、天然菌が使われていることはほとんどない。その多くは種菌メーカーが製造した「人口培養菌」で作られています。
 たしかに味にムラが出ず、生産のスピードを上げるのには適しているのかもしれませんが、化学物質過敏症の人の中には、これらの菌で作られた発酵食品で頭痛やめまいなどを起こす人もいます。また、目的にあった菌を作りだすために、菌を放射能や化学物質などで遺伝子操作し、薬剤などを使った培養液で作られた「遺伝子操作菌」を使っているところもあります』(ナチュラル・ハーモニー代表の河名秀郎氏)
 『コク』や『深み』も自由自在
……
 種の品種改良も進み、形や色が整って、長距離の輸送にも耐えられる強度を持った野菜が容易く作れるようになっいる。こうして作られた野菜は、もはや『農産物』と言うより、一種の工業製品のようだ。
 添加物が進化したことによって、『人口食品』は飛躍的に幅が広がっている。たとえば食べものの『コク』。シチューやカレーなどは、火を通して寝かせるほど、食材からうま味が染み出して複雑な味に仕上がるものだが、時間をかけてしか出せなかったこの『コク』も、あるクスリを入れることで一瞬にして演出できるようになっているという。
 『ピラジンという合成化合物です。本来は煮込むことで自然に生成されるものですが、これも人工的に作れるようになっています。あっという間に味にコクと深みが出ますし、素材が煮崩れすることないので仕上がりも美しい。光熱費や人件費の削減にもなります。
 煮込み料理だけでなく、天ぷらの衣に入れれば、味に深みが出たように感じる。加工食品や外食産業では非常によく使われています』(元食品メーカー研究室室長・小薮二郎氏)
……
 『本物を超える味』を作る
 甘味料や酸味料、乳酸剤、防腐剤、着色料・・・日本で使われている数々の食品添加物の中で、もっとも高度な技術を持っているものといえば、香料であろう。
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 香料一つで、食べ物でないものまで美味しいと感じさせることができるのだ。
 逆に言えば、人間の味覚なんてそれほどいい加減ということ。本来の自然の味ではもの足りないと思う消費者がいるからこそ、『本物の味』よりハッキリした『本物を超える味』を作り出してきた。
 『フランケン・フィッシュ』のように、遺伝子組み換えでできた『本物』とは違う生物の肉を、『本物を超える』調味料で味付けして食べる。こうした技術を人間が求め続けていれば、いずれ、『本物』の食べものが消えていってしまうかもしれない」
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 3月22日 週刊現代「美味すぎる食い物には『ウラ』がある
 果実にホルモン剤投与で甘みを倍増、切り身魚には旨み調味料を注入
 『甘い!』『脂肪がのっている』『濃厚』『口の中でとろける』・・・グルメ番組で連発される表現の数々。美味しいものを食べるとつい手放しで賞讃してしまうが、その『美味しさ』には、理由があるのをご存じか。
 品種改良では出せない甘さ
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 より甘い果物を求めるあまり、品種改良だけでは補えない部分を薬品に頼るようになっているのだ。
 現代の加工食品の多くは、消費者が求める『安さ』を追求するために作り出されてきた。
 しかし、消費者は『安さ』だけでは満足しない。『安さ』と同時に『美味しさ』を求める。人の味覚はそれぞれだが、より多くの人が『美味しい』と感じるような味を作り出せないか。もっと言えば、その食品本来の味よりも、わかりやすく、はっきりと感じられる味を作り出すため、あらゆる技術が開発されてきた。
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 どんな味も科学的に創れる
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 本来、人間は自然に育ったものを美味しいと感じていたはずだが、本物を超える味を求めた結果、日本人の味覚そのものも大きく変化してきている。
 『今の日本人は、よりはっきりした味を好むようになったと言われています。甘みやしょっぱさ、脂っこさというのは人間がもともと好きな味ですが、その味に慣れてしまうと繊細な味が物足りなく感じられ、より濃厚なものを求めていく。
 最近は、化学調味料などの食品添加物が多く使われている影響で、味覚が劣化してきたと言えます』(味覚分析などを行うAISSY株式会社社長・鈴木隆一氏)
 玄米などに代表される古来の日本食は、じっくりと噛むことで甘みや旨みが出てくる繊細な味わいの食べ物が多かった。ところが、添加物で味が演出されるようになると、口に入れた瞬間に食材の味が広がるような、より『わかりやすい味』を『美味しい』と感じるようになってきたのだ。
 味覚は簡単に騙される
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 技術はどんどん『進化』する
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 味、香り、見た目。本来、自然な製法で作られる食べ物は、ばらつきがあって当たり前だった。これが、今ではばらつきがある方が不自然に感じてしまうようになっている。今日の魚はちょっと脂のノリが悪い、この肉は少し硬い、という違いを感じてこそ、本当に美味しい食材に出会った時の喜びも大きい。
 しかし、我々はそうした喜びを放棄してまで、『安さ』や『品質の安定』を求めてきた。その結果、『工業製品みたいな食べ物』が食卓に溢れ返る事態を招いたのである。安すぎて美味しすぎる食べ物には何か『ウラ』がある、と疑ってみたほうがいい」
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 2011年6月11日 信濃毎日新聞「『霜降り肉』の牛 盲目になることも 味と飼い方 揺れる農家
 その牛は、額の先で手を振っても反応がなかった。黒目は焦点が定まっていない。ほかの牛と体がぶつかることが多い。
 『盲目の牛です』。ステークなどの高級食材になる和牛を飼う県中部の50代の男性農家が打ち明けた。『おいしい肉にしようとすれば、こうした牛が出てしまう』と男性。
 飼育中の約130頭のうち、1頭が完全に目が見えず、10頭弱は視力低下が進んでいる。……盲目になるのは、肉に『サシ』と呼ばれる白い脂肪分を入れようとして、牛の栄養が偏ってしまうことが原因だ。和牛の価格は、サシの入り具合できまる。……そのため、農家は生後約1年半から数ヶ月間、ビタミンを多く含む牧草などの餌を抑え、穀物が中心の飼料で太らせる。……和牛を百数十頭飼育する県北部の40代の男性農家は『消費者が生産現場の現状を知れば、肉を買ってくれるか分からない』と不安を打ち明ける」
 日本人は、意味もなく「霜降り牛肉」神話を信奉し、自然に逆らって作られた人工的な霜降り肉こそ高級で美味しいと信じ込んでいる。
 悪徳業者は、売り上げ至上主義から、安い普通の赤身に脂や水を注入して高級な霜降りに見せかけ、消費者を騙して儲けている。
 国産和牛は、柔らかくとろける食感があるが、年々その味がおちてきていると言われている。
 農業生産者は、本物の味覚を失い見た目でしか買わない都市の消費者の購買行動で、否応なく自分で自分の首を絞めている。
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 12月25日号 サンデー毎日「ムシが世界を救う日が来るか?
 『昆虫食』ベンチャー企業が続々
 栄養満点、低カロリー、低価格。驚くなかれ、三拍子揃った『夢の食材』と注目されているのがムシだ。『昆虫は人口増加時代の貴重なタンパク源になる』として国連食糧農業機関(FAO)の2013年のリポートを契機に、昆虫食の事業化に向けた取り組みが世界で進んでいる。
 大手広告代理店の電通が米国の昆虫食ベンチャーに出資するほか、国内外で昆虫食のベンチャー企業が登場するなど、次世代の食品ビジネスとして期待されているのだ。
 昆虫食ベンチャーが扱うのは、コオロギや幼虫を粉末にしてパスタやお菓子に練りこんだ加工食品が主流だ。タイ産のコオロギ粉入りパスタの取り扱いを始めた昆虫食品のネット通販会社、TAKEOの斎藤健正代表は『コシのあるパスタで、しょうゆ味にあう』と太鼓判を押す。
 イナゴをはじめとした昆虫の郷土料理の伝統がある日本は、言うなれば昆虫食の〝先進国〟。一部地域に限定されいるとはいえ、昆虫料理は今も健在だ。長野県伊那市天竜川では12月1日から水生昆虫『ざざ虫』の漁が始まったばかり(漁期は2月末まで)。ざざ虫の佃煮は40グラム2,000円前後で販売される高級食品。ほんのりとした磯の香りが食欲を刺激し、シャリシャリとした食感もまたいい。酒の肴(さかな)にもってこいの料理だ。
 ただし、昆虫食には思わぬ危険が潜んでいる。昆虫を食べると、その虫にうた寄生虫が人間に寄生する健康リスクが指摘だれているのだ。
  それでも、インターネットの動画投稿サイトには、生きた昆虫を食べる『生食動画』が多数掲載されており、〝危険行為〟が後を絶たないようだ。若手の学者などが立ち上げたNPO法人食用昆虫化学研究会は『加熱して食べてほしい』と呼びかけているが、その効果は思わしくない。
 『蓼(たで)食う虫も好き好き』では済まされない生食問題。昆虫食に注目する人たちにとって、まずはテーブルマナーの啓発が最優先課題かもしれない。(花谷美枝)」



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