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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
消費者にとって、店頭で売られる農産物は生産地・生産農家が異なろうとも同じ農産物で、問題は値段である。
商品価格は、人口爆発時代では生産者が決めていたが、人口激減時代では消費者が決める。
消費者に嫌われたら、生産者は生きていけない。
安価な輸入農産物には、国内生産者は勝てない。
日本農業の実態は、将来性のない衰退産業である。
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消費者の更なる値下げ要求で、収入減となって疲弊する日本農家・日本農業、衰退する地方の農産物生産地帯。
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人口爆発時代の日本は、消費者より生産者が優位にあり、高値で販売して生産者は利益を得ていた。
人口激減時代を迎えようとしている日本では、消費者が生産者よりも優位にあり、低価格の商品しか買わない。
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小売店が、日本国内食糧生産者の収入を考えて10円でも値上げして売ろうとすると、ライバル他社は中国などから安い価格の食品を輸入して店頭で特売セールを行う。
生産者は価格を下げる努力として従業員の給与を下げたいが、国の命令で最低賃金を上げなくてはならず、会社経営は苦しくなり赤字となって、最悪、倒産するしかない。
生産者は倒産すれすれの赤字経営で安値生産を続けても、消費者はより安い中国などの外国産を好んで購入する。
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日本人農家は、生産費用高騰で経営が苦しく、高齢化と後継者不足で減少が止まらない。
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日本食料品市場は、中国などから輸入される安値の食品に占領されていく。
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安値特売を好む消費者は、生産者や生産会社の事などは気にはしない。
賃金が上がって家計にゆとりが出ても、将来の老後資金にする為に貯金に回しても、目の前の高値の国産食品を買う事はない。
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日本民族日本人にはモノを大事にする粗末にしない節約・倹約志向があったが、人口爆発で消費者が多ければ問題なかったが、人口激減で消費者が少ないと問題となる。
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人口激減における深刻な問題は、労働者不足ではなく消費者減少である。
つまり、内需の喪失である。
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金持ちは高価で良質の国産食材を食べ、貧乏人は安価で粗悪な外国産食材を食べるという、食の格差が顕在化する。
富裕層は美味しい本物を食べ、貧困層は不味い偽物を食べる。
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生産者は、生きる為に差別化を図り、高品質の食品を高額で富裕層に売り、低品質の食品を貧困層に売る。
高品質の食品を低価格で売る事は、生産者を苦しめるどころか「死」をもたらす。
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2017年4月6日 週刊文春「『俺たちだって値上げしたい』もやし業者最安ブルース
『もう限界です。なぜ、もやしだけがこのような扱いを受けるのか。他の野菜は生産コストが上がれば値段も上がる、もやしだけが「安いもの」というイメージが先行し、価格破壊に歯止めがかからないのです。このままでは食卓からもやしが消える日が来るかもしれない』(もやし生産者) 安価で栄養価が高く、節約食材の代表格として知られるもやしの生産者が悲鳴を上げている。
今月9日、工業組合もやし生産者協会は、適正価格での取引を求める異例の声明を発表し、生産者の窮状を訴えた、同協会の林正二理事長が語る。
『10年ほど前に比べ、原料種子の仕入れ値がおよそ3倍、人件費が約20%上昇し、運搬などの生産コストも高騰し続けています。その一方で、もやしの販売価格は約10%も下落しており、40年前と比較しても安くなっているのです。生産業者は消耗しきっており、もはや健全な経営が維持できない状況に陥っています。小売店の皆さんに、なんとか適正価格での取引をお願いしたいと考えています』
一袋約30円で販売されるもやしが、栄養価はすこぶる高い。
『良質なタンパク質、ビタミンB1などを多く含んでいます。疲労回復をはじめ、コレステロールの低下や動脈硬化の予防にも効果があると見られています』(医療ジャーナリスト)
だがもやしはスーパーなどの『目玉商品』として、卸値より安い10円程度で売られることも珍しくない。
『もやしの値段は小売店の「安さ」のパロメーターとなっています。もちろん「仕入れたもやしをいくらで売ろうが勝手」という小売店の論理も否定できません。ただ売値に合わせて仕入れ値を下げさせられ、結局、しわ寄せは生産者に来ます。利益が出ず、廃業する生産者は後を絶ちません』(業界関係者)
09年には全国に230社あった生産業者は、10年足らずで130社にまで激減。さの数はさらに減少傾向にあるという。
『取引先の仕入れ担当者は、もやしを買い叩いているという自覚があります。彼らは「申し訳ない」と口にするのですが、いざ買い取り価格の見直しを頼むと、「上が取り合ってくれない」と繰り返すばかり。「もやしは安い」という固定観念が染みついてしまい、交渉の余地がないのです』(前出・もやし生産者)
数年前に大手スーパーの取引を打ち切られた別の生産者が語る。
『納品先のスーパーに値下げを迫られ、その要求に応えられずにいたところ、突如、取引を打ち切られました。大口の顧客を失い、大打撃なのは言うまでもありません。しかし、そのスーパーで、「生産者の都合で販売を停止します」という紙が貼られていたことを知り、呆れてモノが言えませんでした』
同協会は、もやしの店頭での適正な販売価格を一袋40円前後としている。もやし生産者たちの悲痛なブルースは小売店に届くか」
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6月30日号 週刊朝日「『食』の大異変
もやし1袋9円、納豆3パック45円、豆腐1丁20円が消える!?
安売り競争で生産者が悲鳴
8年間でもやし生産会社4割減
スーパーとの値下げ交渉難航
低価格志向の行き着く先は
もやし、納豆、豆腐といえば、日本人の食生活で当たり前になるもの。だが、このままでは将来に食卓から消えるかもしれない。デフレの長期化でスーパーが採算割れの生産を続けているからだ。激安食品のウラにある現実とは。
『1袋100円にしてほしいと言っているわけではないのです。せめて、あと10円値上げして40円になれば、みんなが助かるんです』
1日20万袋を生産する旭物産(水戸市)の林正二社長は、もやし業界の窮状をこう訴える。
林社長によると、スーパーなど小売店への納品価格は、一袋(200グラム)20円台前半。しかし、原料の緑豆の価格は2005年と比べると約3倍に高騰、最低賃金は2割上昇した。生産費は上がる一方で、もやしの店頭販売価格は下がり、現在は約30円だ。
旭物産でも、もやし生産だけでみると赤字。カット野菜などで利益を確保し、経営を成り立たせている。
『もし、1袋40円で小売店がもやしを販売すれば、20円台後半で納品できます。そうすれば赤字を回避でき、もやしメーカーも小売店も、お互いに利益を出せる。外国では、もやしが1袋100円前後の国もあり、外国の生産者からは「どうしてそんなに安いんだ」と不思議がられます。それほど、日本のもやしは安いんです』(林社長)
林社長が理事長を務める『工業組合もやし生産者協会』によると、09年に230社以上あった生産者のうち、4割の100社以上が廃業した。現在も、廃業を検討している業者があるという。
なぜ、ここまでもやし業者が追い込まれたのか。日本人全体の生活が景気低迷で苦しくなり、そのしわ寄せがきていることも背景にある。
安い食材の代表のもやしは、特売日になれば1袋20円を切り、10円以下で販売する店もある。価格競争が激しいスーパー業界では、客寄せのために赤字覚悟の値段設定も目立つ。スーパー業界の関係者は『1袋5円値下げして300袋売っても、店の負担は1,500円。広告費と考えれば安い』と話す。
苦しい状態にあるのは、もやし業界だけではない。流通業界でも、賞味期限が短く、日々仕入れ品を『日配食品』という。豆腐、納豆、牛乳などがその代表格だ。
その豆腐の業界でも廃業する生産者が増えている。厚生労働省によると、豆腐を製造する事業者数は、7,525社(15年度)。10年間で4割以上減った。豆腐業界の関係者は言う。
『消費量は横ばいなのに、業界は疲弊している。輸入大豆の価格が高騰し、大豆の使用量を減らした質の悪い豆腐が増えている』
日配食品は、買い手のバイイングパワー(購買力)が強いほど、食品メーカーが買いたたきにあって泣くケースが多い。
納豆業者は言う。
『日配食品は、品不足になると消費者が困るので、多めの数量を生産するんです。納豆も同じで、商品が余ると、処分目的で安く納入する業者もいる。それを基準に小売店が「別の業者はもっと安いよ」と言ってくることもある』
小売店が契約打ち切りをほのめかしながら値下げを要求したり、人員の派遣や販売品の購入を迫ったりすることもある。
フード連合とUAゼンセンが実施した実態調査によると、買い手の優先的地位の乱用を受けた食品メーカーの担当者は6割もいた。
〝イジメ〟と思えるほどの悪質な事例もあった。フード連合の栗田博・政策局長は『人員の派遣は深夜や休日に関係なく求められ、おせち料理などの押しつけ販売もある。ホテル業界からディナー券などのクーポン券を50万円も購入させられたケースもありました』と言う。
14年には、九州や関東地方のディスカウントストアを展開する企業が、店舗火災で売れなくなった商品の一部を納入業者に買わせていたことが発覚。公正取引委員会から約12億7,400万円の課徴金納付を命じられた。この会社は火災保険に加入していなかった。
生産者の苦境を多くの消費者に知ってもらおうと、日配食品メーカーの業界側も動き始めている。
安売りが続けば本物の味が打撃
もやし生産者協会は3月、『もやし生産者の窮状にご理解を!』と題した声明を発表した。適正価格での販売を求めて小売業界や消費者に発信し、『このままでは日本の食卓からもやしが消えてしまう』と訴えたところ、インターネットで共感を集めた。協会には『実態を初めて知った』『たしかに安すぎる』などの意見が寄せられ、『8〜9割が好意的だった』(林社長)という。
2人以上の世帯が年間に消費するもやしの量は、約35袋。林社長が訴える1袋10円の値上げをしても、年間350円の負担。高いと思うか安いと思うかはその人次第だが、『値上げ支持』の機運が出始めているのは間違いない。
豆腐業界は、品質の違いを消費者にわかりやすく伝えるため、品質を定義づけする試みを始めている。
現在は、大豆の利用割合が多い『こだわり商品』と、安値になりやすい『汎用品』が、同じ種類の豆腐として棚に並ぶ。それを、豆腐に含まれる大豆の固形分の割合を基準に、10%以上を『調整とうふ』、6%以上を『加工とうふ』と表示する。製法によって『木綿』『絹ごし』といった種類分けも明確にする。
業界全体で取り組みを始めた背景には、『このままでは安い商品ばかりが生き残り、おいしい豆腐が日本から消えてしまう』(全国豆腐連合会関係者)という危機感もあった。同じ悩みを抱える納豆業界も、製品を区別や定義づけをする動きを初めている。
前出の栗田氏は言う。
『実は、苦しんでいるのは小売店も一緒。利益率1%以下で経営している店も多く、給料も安い。しかし、価格競争の激化で安価で品質の悪い食品ばかり食べていたら、最終的に損をするのは消費者。だからこそ、食べ物には最低限のコストがかかることを理解して、その価格を正しく評価できる社会にする必要がある』
消費者が安くて安全な食べ物を望むのは当然のこと。しかし、安い食べ物にはウラがあるはず。激安商品には『なぜ?』という視線をぶつけることも大切ではないだろうか。(本誌・西岡千史)」
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