🌌20}─1─南極の異常。海洋生態系の異常。各国の沿岸部の大都市が水没の危機。~No.88No.89No.90 @ 

海から見た地球温暖化

海から見た地球温暖化

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2100年。地球温暖化で海が破壊され、海の生態系は崩壊し、多くの魚介類が死滅すると、人類はクラゲ、プランクトン、藻類を食べる事になる。
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 人間の利益・金儲けという自己満足だけの活動が、地球環境を悪化させていた。
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 地球上の生物は全て「死滅する運命」を背負わされ、絶滅を免れる生物はいない。
 当然、人類とて何時かは死に絶える定めである。
 人類とて、絶滅するという自然の法則から逃れられない。
 人類の絶滅を、分別なく自分で招くのか、自然の流れとして受け入れるのか、何れかである。
 現代の人間は、愚かにも前者の選択を選んでいる。
 その結果は、早くて50年後か、遅くて100年後に分かる。
 その頃には、今生きている人間は誰も存在せず、その結果を知ることも見る事もない。
 痛みも苦しみも、身に受けないのだから心配する事はない。
 全ての事は、見る事も会う事もない子孫が引き受けてくれるのだから、安心して今を楽しく愉快に面白く生活すれば良い。
 特に。食い逃げできる40代以上の大人は、全てを金で買う消費者に徹底し、無責任になり切れば何不自由なく人生を全うできる。
 子供達が肝に銘ずべきは、今の大人達が必ずしも子供や孫の事を考えて行動していないと言う事である。
 大人達が考えているのは、自分の利益や金儲けが大半で、子供達の事では決してない。
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 15、6歳以下の子供は、50年後、自分の金儲けや裕福な生活を追い求める今の大人に対して怒り、仏壇から位牌を取り出してゴミと一緒に燃やし、遺骨や遺灰を墓場か取り出して捨てる権利がある。
 50年後に怒る権利があるのは、一番被害を受ける今の10代の子供だけである。
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 2010年 海洋研究開発機構の分析で、1930年以降の日本海における底層水の酸素濃度が減少している事が判明した。
 原因は地球温暖化で、海水温は過去100年間で1.3〜1.7度上昇し、60年代から50年間で酸素濃度が15%減少していた。
 酸素を含んだ冷たい表層水の沈み込みが足りないと、底層水は低酸素状態となり、約100年後には無酸素状態の「死の海」となる恐れがある。
 低酸素・無酸素状態の危機は、日本海だけではなく、琵琶湖など日本国内の湖や沼の底でも起き始めたいる。
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 人類が産業革命から今日までに大気中に排出した二酸化炭素量を、自然に元の値に戻すには数千年から数万年はかかると言われている。
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 Newsweek 2014年8・26
 「地球を壊す海の病。水産資源や生態系を脅かす温暖化の真の破壊力
 今世紀末には魚類は激減し、金持ちしか買えない希少な食材になるかもしれない。
 静かに広がる海の『死の領域』
 環境 『海の生物が減る原因は乱獲だけではない、深刻なのは温室効果ガスによる化学変化だ』アレックス・レントン
 バルセロナ中央市場『ラ・ボケリア』は、まさに食の聖地。毎日、新鮮な食材を求めてシェフや美食家、観光客が巡礼のようにやって来る。圧巻は魚売り場だ。数え切れないほどの魚介類が氷の上でウロコや殻を輝かせている。
 しかし今どきの海洋学者の目には、この光景も博物館の標本陳列室のように映るかもしれない。なぜなら今世紀末までには、こうした魚の多くが姿を消す可能性があるからだ。
 母なる地球を虐待する私たちのせいで、人間が温室効果ガスを排出し続けるから、海はそれを吸収して酸性化し、魚がすめなくなる。
 ボケリアにはアジア産のクルマエビや小エビ、スコットランド産のカニ、青みがかった金色の見事なロブスターなども並んでいる。これら甲殻類は幸運にも、殻(キチンという動物性の食物繊維が主成分)のおかげで急速に酸性化する海水にも強い。しかし二枚貝の貝殻は溶けてしまう。
 ただし甲殻類も、発達初期の『幼生』と呼ばれる段階のエラは酸性に弱いという。いずれにせよ現在の酸性化の進行は、過去3億年の化学変化として最も急速なものと考えられる。
 海の科学的組成の変化が生物の健康や寿命、繁殖にどう影響するかはまだ明確になっていない。しかし今でさえ、ボケリアに並ぶ多くの魚類はヨーロッパで『絶滅の危機である種』に分類されている。
 資源の減少は、乱獲や食物連鎖の乱れが原因かもしれない。海洋における自然環境の複雑な関係を研究する学問を『海洋生物地球化学』と呼ぶが、酸性化の影響の深刻さについてはほとんど分かっていない。
 例えば、海のあちこちで広大な酸欠海域『デッドゾーン』が増えている。酸素が少ないので魚や海洋生物がすめず、バクテリアなどの単細胞生物しか見当たらない海域だ。バルト海では微小な藻類が酸性度の高い環境で汚水を栄養にして大量発生しているため、既に海洋生物の3分の1が死滅している。
 『海の生物界では状況が一変するような現象が起きている』と言うのは、海の環境保護に詳しい英ヨーク大学のカラム・ロバーツ教授だ。『アルカリ度の下がった海の生物の力関係が大きく変わり、食物連鎖にも繁殖にも打撃を与えている。大事故になるのを承知で車を走らせているようなものだ』
 こうしたリスクをもたらしているのは、人為的な原因による気候変動だ。大気中に放出・蓄積された温室効果ガスは気温を上昇させ、極地の氷を解かし、海面を上昇させ、さまざまな環境変化を招いている。
 堆積物が白から赤に変化
 海の化学的環境も急速に変わりつつある。温室効果ガスの主成分である二酸化炭素は海水に吸収され、海面近くで化学反応を起こし、PH値を低くする(つまりアルカリ性だった海水が酸性に近づく)。
 人間が大気中に放出する二酸化炭素の約3分の1は海に吸収される。バルセロナの海洋科学研究所(ICM)のカルレス・ペレジェロは、気温上昇と海の化学反応の二つを指して『気候変動の邪悪な双子』と呼ぶ。
 ペレジェロがこのメカニズムを子供に教えるときは、コップの水にストローで息を吹き込ませる。息によって二酸化炭素が溶け込んだ水は、PH値が低くなる。つまり普通は弱アルカリ性の水が酸性になる。これが地球レベルで起きている現象だ。 『産業革命以前の時代、海水のPH値は8.2だった。今では8.1まで下がっている』とペレジェロは言う。『私たちの対応次第では、今世紀末には平均7.8か7.7になる。5500万年前以前の低さだ』
 ペレジェロの専門は『過去の海洋環境の復元』だ。これは海底の考古学といえるもので、ドリルを使って海底の堆積物を掘り、サンプルを採取する。そのサンプルから、海洋生物が何千年にもわたってどう変化してきたかを探るのだ。
 98年、アメリカ人のサンゴ礁研究者ジョーニー・クレイパスは、あるシンポジウムに出席していたとき、大変な事実に気付いた。このまま海のアルカリ度が下がっていけば、サンゴ礁の材料である炭酸カルシウムを海水が腐食し、サンゴは死滅しかねないということだ。
 サンゴ礁は、4000種の魚類を含海洋生物の25%の生存に不可欠なものと推測されている。つまり海の熱帯雨林だ。この脅威に関するクレイパスの論文は99年に科学誌サイエンスに掲載され、世間への警告となった。ここから『海の酸性化』という言葉が生まれた。
 ほぼ同時期、ペレジェロの研究仲間は、海が酸性度を強めていた太古における海洋生物の生態研究を行った。その結果、恐ろしいことが分かった。
 約5550万年前の暁新世と初新世と呼ばれる地質年代の間に、極端な温暖化が10万年ほど続いた時期(PETM)がある。この時期に入ると『それまでは貝殻の化石で真っ白だった堆積物が、急に赤に変わる』とペレジェロは言う。『貝が消えた証拠だ。再び白くなるには10万年以上かかっている』
 気温上昇で海水のPH値が変わり、急に貝類が消滅し、長い時間をかけて再生した──大昔のそんな異変が、今世紀末にも繰り返されるかもしれない。
 上昇した地中海の海水位
 PH値の変化が引き起こす問題はそれだけではない。海底の堆積物に混ざっている安定したメタン化合物が、海水の化学的性質と温度の変化で分解され、大量のメタンガスが大気中に放出される可能性がある。
 メタンガスの温室効果二酸化炭素の何倍も大きく、過去にも地球温暖化を加速させたことが知られている。海底堆積物のサンプルからすると、大量の海洋生物が消滅し、海の表面温度が4〜6度も上昇したPETMの時期にもメタンの放出が起きていた可能性がある。
 当時の海面は今よりも最高で100メートルも高かった。現在のヨーロッパの大部分、北米の北東沿岸部、南米のアルゼンチンが水没するレベルだ。
 ペレジェロが憂慮するのは変化の速さだ。『PETMの時期には今よりも海水のPH値が低かったと考えられるが、今回は変化が10倍も速い。これでは生物が進化や適応を通じて生き延びる時間が足りない』と、ペレジェロは言う。
 既に影響が出ている。一部の生物の殻は300年前よりも薄くなった。今年2月にはカナダの太平洋岸で海水の酸性度が急上昇し、ホタテ貝1000万個が死滅している。
 ヨーロッパ、北米のサケやタラ類など冷水魚の主な餌になるクリオネのような小さな翼足類は、アルカリ度の低い(酸性化の進んだ)水に入れると溶けてしまう。酸性化が最も速く進む北極圏では、翼足類は絶滅しかかっている。
 ボリケア市場を訪問した翌日、筆者はカタルーニャの海でICMが毎月実施している海水のサンプル調査に同行した。船を操るのは63歳のジョセップ・パスクアル。ここコスタブラバ海岸辺りでは伝説的な存在だ。
 彼は60年代半ばから自分で道具を作り、スペインの漁港レスタルティット沖の水温を、深さを変えながら毎日記録している。
 彼の記録は、過去24年間に地中海の平均的な海面水位が約9センチ上がったことを示している。この数字は、氷の融解による海面上昇を地球規模で計算した結果とほぼ一致する。
 『一番のショックは海水位の上昇だ。原因は気候変動であり、人類に責任があると私は確信している』と、パスクアルは言う。
 昨年の冬には、筆者もオマーン沖の海で大きなショックを受けた。私たちは家族でゴムボートに乗り、シュノーケリングのスポットを目指していた。すると水面の白い波頭が、急に毒々しい緑色に変わったのだ。アンモニア臭のする青い波は1.5キロ以上先まで広がっていた。
 『おそらく季節的な植物性プランクトンの大発生だ』と、ICMのエスター・ガルセスは言う。彼女はフランス西部からスペイン北部に面したビスケー湾衛星写真を見せてくれたが、そこでは青緑色の渦巻きが湾の大部分を覆っていた。
 こうした藻類の大発生は増加しているが、その原因の大半は陸に暮らす人間の活動だ。汚水や大気中の二酸化炭素、流出した化学肥料がプランクトンの栄養となり、大発生を引き起こす。人間が海岸の形状に手を加えて波を穏やかな広大な海域をつくったことも、結果的に藻類の繁殖を助けている。
 増加するデッドゾーン
 藻類の悪影響は、海水の色や悪臭にとどまらない。最大の問題はプランクトンが死んだときに生じる。『そのときに放出される有毒物質で、魚や他の海洋生物が死ぬ』と、ガルセスは言う。『さらに低酸素化とデッドゾーンの問題がやって来る』
 大発生した藻類の死骸は海底に沈み、腐敗の過程で酸素を消費する。その一帯は低酸素ないし無酸素状態となり、酸素を必要とする生物が死滅する。
 デッドゾーンは移動し、範囲を変えるため測定が困難だ。その数は60年代から飛躍的に増え、今では全世界に400ヵ所もあると考えられている。
 ミシシッピ川河口のデルタ地帯は世界最大級のデッドゾーンだ。流域で使う過剰な化学肥料の流入で栄養を得た藻類の増殖が原因だ。年によって違いはあるが、その広さは最大2万平方キロにもなり、世界で二番目に大きい低酸素の水域だ。
 デッドゾーンの発生原因はさまざまだ。例えば、海水が深層から表層に湧き上がる『湧昇流(ゆうしょうりゅう)』は潮の流れや海底地震による自然現象だが、定期的に養分や、植物性プランクトンを海面近くに運ぶ役目を果たす。植物性プランクトンは日光で栄養を作るため、海面近くで日光を浴びて増殖。その死骸を分解するバクテリアが繁殖し、酸素を消費してしまう。
 黒海の場合、水深150メートル地点で水がよどみ、デッドゾーンになっている。地形の制約と潮の流れがほとんどないという自然の条件が重なって、酸素たっぷりの水面の水と、暗く酸性化の進んだ海底の水が攪拌(かくはん)されないためだ。
 一方、人間の食料の重要な供給場であるバルト海が死んだのは、排水が原因だ。
 藻類の大発生による海面の変色は19世紀以来、バルト海の名物となっている。工業化と都市建設で天然林の伐採が進み、栄養豊富な土壌が流れ込んだことが最初の原因だった。
 バルト海沿岸にはサンクトペテルブルグコペンハーゲンストックホルム、リガ、ヘルシンキの大都市があり、公害でプランクトンの餌はさらに増えた。ドイツやデンマークの大規模養豚場からスラリー(懸濁液)も流れ込んだ。
 今では海底の多くの部分が海藻類で覆われている。このような低酸素環境では、タラなどの魚類は生き延びられない。
 『北欧各国は養分の流入を抑制するために多くの努力をしてきた』と、ICMのガルセスは言う。『だが遅すぎた。流れ込んだ養分は除去できない。死んだ藻は海底に沈み、さらに酸素が減る。生物の種の多様性を辞書に例えるなら、バルト海の辞書から言葉が次々に失われている。もう元には戻せない』 
 ボケリアの市場にクラゲは並ばない。しかし中国の市場では乾燥クラゲを売っている。一説によれば、今世紀末の庶民が口にできる海産物はプランクトンとクラゲだけで、たまにしか市場に出ない魚類を食べられるのは金持ちだけという。
 クラゲが海を支配する
 なぜか。複雑に絡み合った食物連鎖が崩壊すれば、複雑な生物から絶滅していき、最も単純な生物しか残らないからだ。『海は多細胞生物の最も初期の状態に戻ってしまうだろう』と英ヨーク大学のロバーツは言う。酸性化を喜ぶクラゲが今に世界の海を征服するという説もある。
 先行きの見通しは不透明だ。人工的に日光を遮断するといった先端的な『地球工学』による温暖化対策も、多分海洋には役立たない。
 海を守るには、海洋の酸性化を遅らせるだけでは不十分で、既に大気中に放出されている二酸化炭素を除去する必要もあるからだ。だが、広大な面積に植林し直すのは現実的には不可能だ。化石燃料を燃やすこともやめられないだろう。
 明るい兆しも少しはある。各国の指導者はこの問題を以前より真剣に考えている。米オバマ政権は6月、人類の主要な食料供給源である海洋を保護する施策を発表した。海洋資源の乱獲を防ぐために保護海域を増やす、酸性化の研究などの海洋生物化学の研究に新しい資金を出すなど。
 ロバーツは、サンゴ礁が予想以上の適応力を見せている。酸性化やオゾン層消滅によるダメージから、科学者の予想よりも早く回復しているのだ。21世紀の後半にはさらに酸性化が進むと予想されているが、最近の研究結果を見る限りでは、サンゴ礁はクレイパスらが予想したより長く生き延びるかもしれない。
 『だが、これは幸運な例だ』とロバーツは言う。『環境の変化に適応できる生物もいるが、実際には耐えられずに消えていく種のほうが多い。海の死は既に始まっているのだ』」
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 甘藻(アマモ)は、世界各地の浅瀬の砂地に育成している被子植物で、水質浄化に大いいに貢献し、群生する事で魚類の産卵場所であり、幼稚魚や小動物の大切な生息場所で、枯れたら貝類や甲殻類の餌となる。
 人間が食糧とする魚介類にとって、甘藻の群生は海中のマングローブの森であった。
 だが、甘藻にとって酸化物は有毒であった。
 海水か酸性化して、世界中の甘藻が枯れて激減している。
 甘藻の激減は、海の環境破壊の警告である。
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 地球は水の惑星であるが、魚介類が生息できるのは大陸に近い海域に限られ、それ以外は生物がいない不毛な海域である。
 そして、地球の酸素を生産し供給しているのは海である。
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 2013年12月16日 msn産経ニュース「日本は50位で「落第」 温暖化対策の通信簿、原発ゼロ響く? 中国にも抜かれ [原発
 世界の主要58の国と地域で、地球温暖化対策が最も進んでいるのはデンマークで日本は50位で「落第」とする温暖化対策ランキングをドイツの環境シンクタンク「ジャーマンウオッチ」などがまとめた。温室効果ガスの排出量が増加傾向にあるため2013年の日本の順位は前年の44位から後退。48位から46位にランクを上げた中国に抜かれた。中国は再生可能エネルギーが大幅に拡大していることなどが評価された。
 温室効果ガスの排出量や再生可能エネルギーの比率、エネルギーの利用効率に関するデータに、政策分析の結果を加えた指標を作り、採点した。
 産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑える国際目標の達成に向け十分な対策を取っている国がないことから前年同様、1〜3位は「対象国なし」で、トップは4位のデンマーク。日本はエネルギーの利用効率でやや成績がよかったものの47・21点で、「落第」とされた15の国と地域の中の一つに。大排出国の米国は43位、インドは30位だった。」
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 2014年5月13日 msn産経ニュース 「南極の氷床融解「限界点、越えてしまった」 NASA、支え失った氷が浮いた状態[温暖化]
 南極西側の海に浮かぶスウェイツ氷河の一部(NASA提供)
 南極大陸の一部で、温暖化する海の影響により氷床の融解に歯止めがきかなくなり、将来の大幅な海面上昇が避けられそうにないとする研究結果を米航空宇宙局(NASA)などの研究チームが12日、発表した。
 NASAの研究者は「南極の氷が将来崩壊せずにすむ限界点を越えてしまった」と警告。国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC)が昨年、世界の平均海面が今世紀末に最大82センチ上昇するとの報告書をまとめたが「上方修正が必要」と指摘している。
 NASAのチームはレーダー衛星の観測データを使い南極大陸の西側に位置する氷床の構造変化を分析。その結果、温かい海水が氷床の下に入り込んで氷が解ける現象が加速しており、下の支えを失った氷が海に浮いた状態になって、さらに融解が進む悪循環が起き始めていると指摘した。
 米ワシントン大などのチームは同日、少なくとも200〜千年後に巨大氷床が崩壊し大規模な海面上昇が起きるとする予測を、米科学誌サイエンス電子版に発表した。(共同)」
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2015年4月2日 産経ニュース「南極で17・5度! 過去最高気温観測か
 南極半島付近の流氷の上で休むヒョウアザラシ=1月22日(AP=共同)
 南極大陸の半島部分で、南極としては過去最高の可能性がある気温17・5度が観測されていたことが分かった。英紙ガーディアン(電子版)などが2日までに報じた。これまでの最高気温は1961年に同じ地点で観測された17・1度とされており、今回の観測気温が正式に確認されれば、地球温暖化の影響を示すとの見方が出そうだ。
 観測地点は南極半島エスペランサ基地(アルゼンチン)で、3月24日に記録。同紙によると、前日にも近くのマランビオ基地(同)で17・4度が観測された。
 今回の気温について観測の妥当性を判断する世界気象機関(WMO)が観測機器の状態や観測の手法、周辺の気温との整合性などを検証している。(共同)」
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 11月5日 産経ニュース「「南極の氷は増加中」NASA、定説覆す調査結果発表
 南極大陸人工衛星画像。左側が南極半島などがある西部(NASA提供・共同)
 NASA南極大陸で失われる氷よりも増える氷の量が多いとの研究結果を発表した。事実ならば南極の氷の融解が海面上昇につながるという従来の説が覆されることになる。
 NASAのホームページによると、NASAのチームは南極氷床の高さを人工衛星から計測したデータを調べ、その変化の様子から結論を導き出したという。
 氷が増加しているのは1万年前から続く降雪の増加により、年月を経て積み重なった雪が圧縮されたためとみられる。
 氷の増減は大陸全体で一律に起きているわけではなく、南極半島など西南極の一部で氷床の融解が進む一方で東部や内陸部の一部では増加傾向にあるという。今回の調査では増加分が減少分を上回ることが明らかになった。
 過去の研究では南極大陸グリーンランドなどから溶け出した氷が海面上昇を引き起こすとされてきたが、最新の調査結果では南極大陸は差し引きすると氷の量が増えていることになり、海面上昇の原因ではないことになる。
 この結果は、南極大陸以外の地域で起きている氷の融解などの影響が、従来の推定よりも大きい可能性を示唆しているともいえる。」
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 2016年8月16日&23日号 Newsweek「南極海メチル水銀が環境と健康を脅かす
 地球温暖化にもかかわらず、南極の海氷は増えている。ただ、オーストラリアの研究者によると、南極の海氷には神経毒性を持つメチル水銀が多く含まれている。
 メルボルン大学のケイトリン・ジオンフリドーらの論文によると、研究チームは砕氷船に乗り、2ヶ月かけて海氷を採取した。南極の海洋生態系に含まれる水銀量を調べるためだ。さらに海水中の微生物のDNAとタンパク質の分析も行った。
 『南極大陸の東部沖で海氷と海水のサンプルを採取し、水銀とメチル水銀の総量を調べた。微生物を調査するためのサンプルも採取した』と、ジオンフリドーは地元ラジオ局に語った。
 その結果、汚染物質として排出された水銀(無機水銀)を、さらに毒性の強いメチル水銀有機水銀)に変える『遺伝的能力』を持つ細菌が海氷内で見つかった。メチル水銀は海の生態系を汚染するだけでなく、人間の体内に摂取されると、幼児や胎児の神経発達に悪影響を及ぼす恐れがある。
 水銀は火山噴火や山火事などの自然現象、あるいは化石燃料の燃焼や金の製錬といった人間の活動によって大気中に放出される。海水に溶けた無機水銀が海氷の内部で『メチル化』能力を持つ細菌と接触すると、メチル水銀に変化する。
 メチル水銀食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積される。『小さな魚を大きな魚が食べることで、メチル水銀の濃度が上がり、人間に有害なレベルになる』とジオンフリドーは言う。
 この研究は、水銀汚染を食い止めることの重要性を浮き彫りにするものだ。『人間は海洋の水銀汚染について、もっとよく知る必要がある』と、別の研究者は言う。『漁業資源の枯渇のため、南の海に目を向ける漁業関係者が増えている』(サスミタ・バラル)」
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 11月5日 産経ニュース「ケリー米国務長官が南極を初訪問へ 気候変動対策をアピール
 国務省で会見するケリー米国務長官=4日、ワシントン(AP)
 米国務省は4日、ケリー国務長官(72)が10〜12日の日程で南極を訪問すると発表した。米国務長官の南極訪問は初めてで、米当局者としては最高位になる。国連の気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)に出席するため15、16両日にモロッコを訪問するのを前に、気候変動対策への熱意をアピールする。
 米国の観測基地であるロス島マクマード基地や南極点近くのアムンゼン・スコット基地を訪れ、地球温暖化による氷河の融解や海面上昇などについて研究者から説明を受ける。また、南極海ロス海に設けることが決まった世界最大の海洋保護区を視察する。
 パリ協定締結に取り組んだケリー氏は協定発効を受け、南極での実体験を国民への啓発活動などに生かす考えだ。
 米国を7日に出発し、ニュージーランド経由で南極入りする。8日が投票日の米大統領選の期日前投票は済ませているという。(共同)」
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 2017年8月25日 産経ニュース「【クローズアップ科学】南極の氷床が大崩壊の危機? 深層の暖水が上昇し下部を融解 オゾンホール拡大が影響か
 南極海の海氷(海洋研究開発機構提供)
 今年3月に海氷面積が史上最小を記録するなど、地球温暖化の影響が懸念されている南極。最近の研究では、夏も溶けないはずの氷床や棚氷が薄くなっている可能性が高いことが判明し、専門家は氷床の大崩壊が起きるのではないかと警戒を強めている。
 海氷面積が過去最小に
 南極の海氷面積は今年3月1日、過去最小の214・7万平方キロを記録した。宇宙航空研究開発機構JAXA)の観測衛星「しずく」のデータを国立極地研究所が分析して判明した。1978年の観測開始以来、これまでの年最小面積だった97年2月の225・1万平方キロを下回り、2000年代の年最小面積の平均に比べて3割も少ないという。
 南極には、夏になると一部が溶ける海氷のほかに、夏でも溶けない氷床や棚氷がある。氷床は南極大陸全体を覆って発達している氷河で、沿岸部で棚のように海上に張り出して浮いている部分が棚氷だ。だが、今年7月に「ラーセンC」という棚氷から三重県の面積とほぼ同じ大きさで重さが1兆トンを超える氷塊が分離し、観測史上、最大級の氷山になったことが確認されている。
 海洋研究開発機構によると、レーザー高度計や重力場測定装置などを搭載した人工衛星からの観測で、最近は氷床や棚氷が溶けて薄くなっている可能性が高いことが分かってきた。
 西南極の融解が顕著
 なぜ融解が進んでいるのか。シミュレーション解析から推定されている仕組みはこうだ。
 南極を取り囲む南緯30〜60度付近の海域では、ジェット気流による強い西風が吹いている。この風の力と地球の自転がもたらす影響によって、表層の海水が北へ運ばれる。すると、その空いた場所へ吸い上げられるように、深層から上部周極深層水という暖かい海水が上昇。張り出した大陸棚の上面に沿って流れ込み、これに触れて氷床や棚氷の下部が急速に溶けていく。
 これまでの観測で、西風は1960年代から強くなっていることが判明している。これに伴って、暖かい海水の上昇量が増え、氷床などを下から融解させているということだ。
 特に融解が顕著なのは、南太平洋に面する西南極地域とみられている。他地域よりも大陸棚の張り出しが大きいため、暖かい海水が大量に氷床の下部に流入して融解が急速に進む可能性が高い。
 西南極の海底には海山のような突起があり、そこに引っ掛かるようにして氷床がせき止められているという。そのため、海洋機構の勝又勝郎グループリーダー代理は「臨界点を超えて氷が溶けると、せき止められた氷床が一気に動いて大崩壊が起きる恐れがある」と指摘している。
 各国の大都市が水没か
 南極の氷床が大規模に崩壊したらどうなるか。国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC)による温暖化が最も進む予測シナリオは、氷床崩壊を想定していないが、2081〜2100年における世界平均海面水位が1986〜2005年の基準から45〜82センチ上昇する。これに南極氷床の大崩壊が加われば、海面水位がさらに上昇し、世界各国の沿岸部の大都市が水没する恐れも出てくる。
 また、海洋が持つ「物理ポンプ」という機能への悪影響も懸念される。表層の海水は大気中の二酸化炭素を限界まで吸収して重くなり沈降、まだ二酸化炭素を吸収できる新たな海水が浮上して入れ替わり、ポンプのように二酸化炭素を深層へ運搬する仕組みだ。
 氷床が溶けて淡水が流れ込めば、塩分濃度が下がって表層海水の比重が軽くなり、物理ポンプの働きが弱まってしまう。その結果、温暖化を加速することにもなりかねない。
 西風が強まっている理由については、まだ解明されていない。だが、成層圏のオゾンホール拡大に伴う二酸化炭素など温室効果ガスの増加で、大気に蓄積される太陽熱の分布が変わり、大気の圧力差が拡大してバランスが崩れたためだとの分析が最近発表された。成層圏の変化が風を介して海の深層に影響を与えた格好だ。
 これらの分析の多くはコンピューターのシミュレーションに依存しているが、実は氷床や海氷の融解を再現するには、気象条件や海流の変化など、多様な要素を考慮する必要があり、高精度な結果を出すのは非常に困難なのだという。
 そのため海洋機構は「現地での詳細なデータ収集を今後も継続していく必要がある」としている。(科学部 伊藤壽一郎)」
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 2018年6月14日 msnニュース「南極の氷消失、1992年以降3兆トン
 【AFP=時事】南極では1992年以降、3兆トンに及ぶ膨大な量の氷が消失したとする画期的な研究結果が13日、発表された。地球温暖化の進行に歯止めがかからなければ、南極大陸の氷によって地球の海岸線が一変する可能性があることを、今回の結果は示唆しているという。
 科学者84人からなる国際研究チームが英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した論文によると、氷の消失の5分の2は最近5年間に発生したもので、厚さ数キロの南極氷床の消失速度がこの間に3倍に加速したという。
 今回の研究結果により、南極大陸の氷塊が減少傾向にあることへの根強い疑念が完全に払拭(ふっしょく)されるはずだと、論文の執筆者らは主張している。
 さらに、数億人が暮らす沿岸地域の低地に位置する都市や町が、地域の存亡に関わる脅威に直面していることが、今回の結果で浮き彫りになった。
 論文の主執筆者の一人で、米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)の科学者のエリック・リグノット(Eric Rignot)氏は「今回の研究により、南極で現在起きていることの明確な状況を把握できた」と語る。同氏は地球の氷床の追跡調査を20年にわたり続けてきた。
 科学者らはこれまで、降雪によって蓄積される氷の量が、融解水や氷河流動の海への流出による氷の消失量を上回るかどうかの判定に取り組んできたが、明確な答えは得られていなかった。
 だが、今回の最新研究では、独立した24の宇宙ベースの調査から収集した衛星データ20年以上分を用いることで、より詳細な全体像を把握することについに成功した。
 米国本土の約2倍の面積を持つ南極大陸は、世界の海を60メートル近く上昇させるのに十分な量の氷に覆われている。
 南極の氷の90%以上は、東南極地域にある。気候変動によって地球の平均表面温度が1度上昇した中でも、東南極の氷はほぼ安定した状態を保ってきた。
 ■「段階的増加」
 最近の数十年間では氷量の増加分が減少分を上回っていることが、一部の研究で示唆されていた。
 一方で西南極、特に南極半島(Antarctic Peninsula)は、地球温暖化の影響をはるかに受けやすいことが判明している。この地域では、1995年以降に6500平方キロ以上に及ぶ棚氷が分離して海に流出した。
 今回の研究では、過去25年間に南極大陸から消失した氷の大半は西南極に由来するものであることが明らかになった。
 1992年以降に消失した氷2.7兆トンは、海水面を約8ミリ上昇させた。
 現在の傾向が続くと、デンマークグリーンランド(Greenland)の氷床や山岳氷河からの流出水や温暖化に伴う海水の膨張などを抑えて、南極が海面上昇の単一の最大要因となる可能性があることが、今回の研究で分かった。
 最新の研究結果によると、南極の氷の消失速度は、2012年までの20年間は年間約760億トンだったが、2012年以降は平均して年間2190億トンにまで急上昇したという。
 研究チームを率いた英リーズ大学(University of Leeds)のアンドリュー・シェパード(Andrew Shepherd)教授は「この10年の間に、南極からの氷の消失量に段階的増加が生じた」と指摘する。
 「南極大陸は現在、過去25年間で最も速いペースで海面上昇を引き起こしている」
   【翻訳編集】AFPBB News
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 2019年1月15日 gooニュースYOMIURI ONLINE「南極で消失の氷、80年代の6倍超…衛星で推定
 【ワシントン=船越翔】2010年代に入ってから南極大陸から失われる1年当たりの氷の量は、1980年代の6倍超になっているとの研究結果を、米カリフォルニア大などの研究チームがまとめた。進行する地球温暖化の影響とみられるという。論文が米科学アカデミー紀要に掲載された。
 研究チームは人工衛星の観測データなどを使い、1979年?2017年に南極大陸を覆う氷がどれだけ失われたかを推定。その結果、1979?90年は平均で年間400億トンのペースだったが、2009?17年は、水量に換算すると琵琶湖9個分にあたる年間2520億トンに増加していた。
 特に西部地域で氷が解ける量が多く、研究チームは「温暖化によって偏西風が強まり、温かい深層水が南極の西側に流れ込みやすくなったことが原因だ」と分析している。
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地球温暖化と海―炭素の循環から探る

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