🐪79}80}─1─海水温上昇と「千年猛暑」の日本列島。50年後を生きる「酷暑世代」。~No.170No.171No.172No.173@ 

旧題名。ユダヤ系国際穀物商社・抗日中国人連合と資源輸入国家日本との食糧戦争。
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 プロフィールに、6つのブログを立ち上げる。↗
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 温暖化による海水温上昇で起きる日本の災害。
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 地球の温暖化はもはや止められない、常態化する異常気象に適応するしかない。
 大気汚染による温室効果ガスの増加で、旱魃と大洪水の多発と環境汚染による疫病の蔓延。
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 ブラジルのアマゾンなど原始林が不法に伐採され、材木は紙の原料となり、切り開かれた土地は田畑に転用されている。
 金儲けの為の無計画な開発は、自然環境を破壊し、回復不能な状態となりつつある。
 地球上から、貴重な森林が急速に失われ、不毛な大地が拡大している。
 自然破壊は、異常気象をもたらし、全ての生命を危険に晒し始めている。
 人間もその脅威によって重大な危機を迎えようとしているのに、誰も危機を食い止めるような行動を起こそうとはしない。
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 大陸の世界文明は、滅びの文明である。
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 地球温暖化と異常気象によって世界の食糧生産量が減少する。深刻化する食料不足問題
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 2013年3月8日「最近の世界気温、過去1万年で最高 人為的温暖化を裏付け
 最近10年間の世界の平均気温は、氷河期が終わってから1万年余りで最も高いレベルにあるとする研究結果を、米オレゴン州立大などのチームが米科学誌サイエンスに7日発表した。
 特に過去100年ほどの気温上昇幅が大きく、産業革命以降の大気中の二酸化炭素(CO2)の増加傾向と一致した。現在の地球温暖化が人間活動によって引き起こされたことを裏付ける結果で、チームは「このままでは今世紀末にかけてさらに気温が上昇する」と警告している。
 チームは世界の73カ所で海底や氷床のサンプルを採取。化石に含まれる同位体元素などを分析し、氷河期が終わった1万1300年前からの気温変動を調べた。」
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 2013年5月3日 「昨年の地球、過去9番目に暑かった 温暖化で異常気象誘発
 世界気象機関(WMO)は2日、2012年の世界の平均気温が、記録のある1850年以降9番目に高かったと発表した。平均気温を下げるラニーニャ現象があったにもかかわらず暑かったことになり、世界各地で干ばつや台風、洪水など異常気象による災害を誘発した。
 過去最も高温だったのは2010年、2番目は05年だった。
 12年は南米ペルー沖の海面水温が下がるラニーニャ現象で3月までは低温傾向だったが、4月に終息した後は上昇。1961〜90年の平均14度に比べ0・45度高かった。
 8〜9月には、北極の海氷面積が過去最小を記録。1880年時点より海水面は約20センチ上昇しており、WMOのジャロー事務局長は「米国のハリケーン『サンディ』などによる海岸沿いの影響がより深刻化している」と指摘した。(共同)」
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 6月10日 msn産経ニュース[環境・エコ]  「CO₂増加以外に急激な変化を説明できる要因は見当たらず、チームは人為的なCO2排出が最近の温暖化を引き起こしたと結論付けた。(共同)
 温暖化、アジア、アフリカで洪水激増の恐れ 最大で14倍に
 地球温暖化が進んだ場合の洪水の頻度予測。アジアやアフリカなど青い地域は、洪水の回数が増えることを示す(東大の平林研究室提供)
地球温暖化が進んだ場合の洪水の頻度予測。アジアやアフリカなど青い地域は、洪水の回数が増えることを示す(東大の平林研究室提供)
 地球温暖化が進むと21世紀末にはアジアやアフリカを中心に陸上の42%で洪水になる回数が増えるとの予測を、平林由希子・東大准教授(河川工学)らのチームがまとめ9日、英科学誌に発表した。大洪水被害に遭う恐れのある人は、20世紀末に比べて最大14倍になるという。チームは「流域の人口が増えれば、洪水の被害を受ける人はさらに多くなる。洪水が増える前に適切な対策を取ってほしい」としている。
 抜本的な対策が取られずに温暖化が進んだ場合、豪雨や長雨などにより、日本や中国を含むアジアやアフリカ、南米で洪水が増えるとの結果になった。世界にある29の主な河川のうち、黄河メコン川など多くの河川で、現在は100年に1回の割合で起こる大洪水が、21世紀末には10〜50年に1回に高まるという。
 大洪水の被害に遭う恐れがある人は約560万人とされるが、温暖化対策が取られず気温が3・5度上がった場合は約8000万人と14倍に増えるという。」
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 6月中頃 インド北部ヒマラヤ地方ウッタラカント州で、地球温暖化による天気変動が原因と思われる大雨が降り、「ヒマラヤ津波」と呼ばれる氷河湖決壊洪水が発生して約6,000人が犠牲となった。
 家は流され、田畑は水没し、穀物の収穫が出来なくなった。
 気候学者は、温暖化の影響で氷河の縮小が進み、氷河湖は2万以上が出現し、大雨が降ればヒマラヤ津波は今後も起き、さらに下流流域まで広範囲に甚大なる被害が発生すると報告した。
 別の科学者は、洪水の被害によって、下流域に当たるインド、パキスタンバングラデシュなどで深刻な水不足が起き、食糧生産も被害がでると警告した。
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 8月2日 「マヤ文明クメール王朝も…異常気象で紛争、崩壊 米チームが温暖化に警鐘[温暖化]
温暖化の影響で深刻な干ばつの影響に見舞われたメキシコのマヤ文明遺跡(AP)
 地球温暖化が進んで猛暑や干ばつなどの異常気象が増えると個人レベルの暴力行為から内戦などのグループ間対立、文明崩壊に至る紛争が起きやすくなるとの研究結果を、米カリフォルニア大バークリー校のチームが1日、米科学誌サイエンスに発表した。過去1万年の人類史と気候変動の関係を調べた。チームは「紛争の発端は多様だが、環境が悪化し食料や財産が脅かされると、人の行動が暴力性を帯びやすくなる」と指摘。温暖化に伴って今後さらに世界が不安定になる恐れがあると警告している。
 チームは殺人や暴行、内戦や民族紛争、政治権力の交代や文明崩壊などと気候変動の関係を調べた文献60件を分析。統計的手法でデータを再評価、自然環境が変動すると社会的な不安定さが増すことを確かめた。
 具体的には中米のマヤ文明や東南アジアのクメール王朝は、崩壊や滅亡に先立って深刻な干ばつに見舞われた。アフリカや熱帯地方での内戦や民族紛争、米国での殺人や暴行など犯罪件数の増加も気温上昇と関係していた。(共同)」
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 ワック出版。『歴史通』9月号「千年猛暑」
 「対談。森田正光安倍昭恵」からの抜粋。
 森田正光「東北地方がすごく天気が悪くて雨がいっぱい降ったんですが、関東から西は、むしろ旱魃気味でしたね。
 天気には〝補償性〟があるんです。どこかで雨が降らないと、必ずどこかで大雨が降らせる。
 ……
 1980年代から温度が急激に上がっているのは事実ですが、2000年代になってから、上昇率が鈍っているので『単なる周期なのではないか』という温暖化懐疑論もあります。
 ところが、最近『海の深層700メートルくらいの温度が上がっている。つまり、海が温まった温度を吸収してくれているから上昇率が鈍っている』という理論を東京大学の渡部雅浩准教授のチームが発表したんですよ。
 ……
 海が引受けてくれたために、一見温度上昇が横ばいに見えているだけで、このあと何かのきっかけで再び上昇しはじめると、気候がもっともおかしくなるということは十分に考えられます。
 ……
 重要なことは、気候の問題は『覆水盆に返らず』で、元に戻らないのが怖い。生態系が変わる前兆現象として、大雨が増えたり、旱魃が起こったりすることが増えるということを肝に銘じておいたほうがいいと思います。
 IPCC気候変動に関する政府間パネル)という、世界中から学者が集まって研究成果を発表する国連の下部組織がありまして、今年の秋に温暖化しているかどうかの正式な報告書がでます。事前に発表している方の論文を見ても、多くの方が温暖化していると考えていますので、正式発表されたら危機感も高まるのではないでしょうか。
 ……
 地球ってものすごくよくできていて、温暖化すると、同時にどこかで寒冷化して帳尻を合わせるんですよ。
 ……
 一本の紐でたとえるならば、暖気が突っ込んでくるとその部分が持ち上がり、反対側は下がりますよね。下がったところが寒気なんです。それで偏西風がグニャグニャし、上がったところはものすごく猛暑になって、その隣りでは大寒波になったりするんです。
 ……太陽の活動は11年周期で強弱を繰り返しています。2年ぐらい前に、太陽黒点がまったく観察されないときがありまして、太陽活動がおかしくなったのではないかという意見がありました。でも、昨年くらいから平常に戻ってきた。今後も注意してチェックしていかなければならないと思いますよ。
 ……
 太陽黒点というのは、増えているときの方が太陽活動は活発なんです。黒点そのものは温度の低いところですが、先程お話したように、どこかが熱くなればどこかが寒くなる。つまり、活動していないところが黒く見えるということは、まわりの活動が活発になっているということです。太陽フレアが多いときも太陽活動が活発なときです。
 ……
 地球の気候を決めている一番大きな要因は太陽活動です。あとは火山の噴火ですね。噴火すると温室効果の半面、パラレル効果で太陽の光をさえぎってしまい、冷夏になる。
 1991年にフィリピンのピナツボ山が20世紀最大規模の爆発をしたんですが、その後、93年は大冷夏で平成の〝コメ騒動〟が起こったんです。
 ……
 温度の周期は高低を繰り返していて、1980年代から温度の高い時期に入っています。これから7、80年で3℃ほど気温が上がるんです。分かりやすく言うと、東京の気温が鹿児島の気温になる。
 よく、『温暖化したって、温かいからいいじゃないか』という人がいますが、そこはすこし違って、温度が上がるということは、生態系が変わるということです。一番最初にダメになるのは植物です。今で20℃のところにあった木が、23℃になると枯れますよね。生物は500万〜3,000万種類くらいいるといわれているんですが、その生物のほとんどは、木の根っこや海の中にいるバクテリアなんです。それらは木が枯れれば一緒に滅びます。それを餌にしている微生物や昆虫、さらにその上の爬虫類や鳥類、そして哺乳類。どんどん食物連鎖で滅びていって、取り返しのつかないことになります。
 安倍昭恵 でも、長い地球の歴史の中で、そういう時代を経てきているわけですよね。
 森田 問題はその〝変化率〟なんです。たとえば1000年単位だと考えると、10世代分ですから、徐々に対応していけいける。
 ところが、我々がいま起こしていることを地球全体で見ると、産業革命以降は100年単位で変わっているし、特にここ最近は30年位で一気に気温が変わっている。つまり、一世代で対応しなければいけないのですが、それは不可能です。
 ……
 人間は生きるために環境を変えなければならないと思っています。、効率の悪いことをやっているとダメ。
 簡単にいうと、〝イースター島の悲劇〟なんです。イースター島は南太平洋に浮かぶ絶海の孤島で、今から1500年位前、ポリネシアの人たちが50人くらいで移住しました。その頃は亜熱帯でジャングルでした。上陸した人たちは、まず木を切って畑をつくった。どんどん畑を作っていくうちに森林が無くなっていき、その代わりにどんどん人口が増え、最大で2万人になったそうです。
 それだけ人口が増えると部族ができ、部族間の争いが生まれてくる。それでアモイ像を作って自分達の守護神にして、作物の取り合いをする『モアイ倒し戦争』が起こったんです。そして飢餓から相手の部族を殺してその肉を食べていたことも調査でわかっています。『モアイ倒し戦争』によって森林が全部無くなってしまって、人口は約100人にまで減ってしまったそうです。
 これはよくよく考えると、地球全体にも当てはまりますよね。イースター島は絶海の孤島でしたが、地球という星だって、宇宙という大海原の中に浮かぶ絶海の孤島ということができます。人間は環境を変えて生きざるを得ないですけれど、ある程度のところで止めておかないと、危険ですよ。もっと効率よくエネルギーを使うことが大切だと思いますよ」
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 週刊現代 8月31日号
 森田正光「最近、私は『千年猛暑』という言葉をよく使っているのですが、1000年前より今の方が間違いなく暑い。有史以来というか、私たちは日本に人間が棲みついてから、一番暑い時期に生きているんじゃないかと思います」
 「いま、学問の世界では、地球温暖化説と寒冷化説、両方が議論されています。
 先月、東京大学大気海洋研究の渡部雅浩准教授が、00年から地球の温暖化が止まったように見えるのは深海の水が熱を吸収したからだと発表して、温暖化説が優位になってきました。
 温暖化で台風は増えるという説と減るという説があるのですが、何れの場合も『今後は台風が巨大化するだろう』という予測されています。これはもう避けられない運命だろうと、私は思っています」
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 12月9日号 アエラ「温暖化と災害
 ただちに排出止めても影響は何世紀も続く
 『異常気象』が当たり前になるのは、東京では早ければ28年後の2041年らしい。そんな研究結果が、英科学雑誌ネイチャーに掲載されて海外のメディアで話題になった。
 米ハワイ大学の研究グループは、地球温暖化によって、世界各地の年平均気温が過去150年で最も暑かった年よりも高くなるタイミングを調べ、『慣れ親しんだ気候は私たちが生きているうちに過去のものとなる』と断言した。
 温暖化を止められるなんて甘い考えは捨て去った方がいいのかもしれない。
 ……
 二酸化炭素の削減は、化石燃料の売り上げに響く。一部の産油国は、科学的にまだ不確かな部分を明示すべきだと繰り返し主張した。一部の途上国からは異常気象や降水量の変化など自国への影響をより詳しく書き込むように求める意見が出されたという。
 今後は適応と呼ばれる被害の軽減策が重要視される。ただし、高温に強い作物を作る品種改良や、海面上昇に備えたインフラ整備など時間がかかるものが多い。削減策あその時間稼ぎという意味を持ち始めている。
 冒頭紹介したハワイ大学の研究でも削減をそこそこでも頑張れば、東京の異常気象が当たり前になるのは2067年。26年の猶予が生まれる、としている。
 ……
 報告書を前に人類の賢さが問われることになる。
 朝日新聞科学医療部 須藤大輔
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 水不足は、人だけを襲うわけではない。
 農作物を含む全ての植物と家畜を含む全ての動物にも被害を与え、自然にも回復不能なほどの甚大な災害をもたらす。
 人類は、水不足と共に食糧不足に襲われる。
 だが、それは50年以上先の話で、今生きている人間には被害が少ない。
 その頃には死んでいるだろう、30代以上の働き盛りは心配する必要ははない。
 それ以下の年齢層は、水と食糧を得られなくなった時代になった時、自分だけ贅沢三昧して死んで行った世代を呪うしかない。
 廃墟の中に捨てられた古代文明を見れば、50年後の人類の逃れられない運命がわかる。
 現代まで残っている古代文明は存在しないし、古代文明の生活を続けている古代人も生存していない。
 古代文明は滅び、古代人は死滅したのである。
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 12月30日 朝日新聞「天変地異 地球規模
 身動きがとれなくなる大雪が北日本で降ったかと思うと、夏には全土で猛暑。秋、過去最大級の台風がフィリピンを襲い多くの命が失われた。2013年、数々の異常気象が日本を含む世界を襲った。
 専門家は、地球温暖化対策を急ぐ必要があると警告している。
 気候異変
 日本〜中国中部 3月、7〜8月に異常高温。高知県四万十市で日本で過去最高の41.0度。
 ヨーロッパ 1〜3月、5〜6月に異常多雨。
 トルコ・エジプト北東部 12月、異常低温になり、降雪も。
 インド北部 6月、大雨に伴う洪水などで多数の死者。
 フィリピン 11月、台風30号で死者6千人以上。
 オーストラリア ほぼ1年を通じて高温。1、9月は月平均気温が過去最高。
 米国 東部で1月、4〜6月、10月に異常多雨。9月には中西部のコロラド州でも記録的豪雨。
 夏の猛暑豪雨、冬の大雪
 日本、西太平洋の高温影響
 ……
 気象庁によると、海面水温が高いと活発な上昇気流が生まれる。夏はインドネシア・フィリピン周辺の海面水温が高かった影響で太平洋高気圧とチベット高気圧が重なり、日本付近が高温になるとともに、大量の水蒸気を含んだ大気が東北にまで流れ込んだ。
 冬もインドネシア周辺で積乱雲が生まれやすい状況が続く。これが偏西風を蛇行させて日本付近では南に下げ、北方から寒気を呼び込むメカニズムになっているという。
 ……
 止まらぬ温暖化 影響広がる恐れ
 もともと自然界には、年によって気温が高かったり低かったり、雨が多かったり少なかったりする『ゆらぎ』がある。世界中で異常気象が相次ぐ背景に地球温暖化の存在が指摘されるが、個別の現象との直接の因果関係は分からない。温暖効果ガスによる温暖化は、数十年規模の傾向として観測・予想されている。
 しかし『温暖化によって気温がかさ上げされれば、今年の猛暑のように経験のない現象を頻繁に経験するよになる』と東京大学大気海洋研究所の木本昌秀教授(気象学)は話す。
 9月に公表された国連気候変動に関する政府間パネルIPCC)の最新の報告書は、このまま温室ガスの排出が増えると世界の平均気温は今世紀末に産業革命前と比べて最大4.8度上昇すると予測する。国際社会は上昇を2度以内に抑えることを目標にしているが、それがいかに難しいことかを示した。
 日本の今夏と比べて1.1度ほど高かったにすぎない。木本教授『上昇が2度に抑えられても、大きな変化をもたらすという想像力を働かせてほしい。事態は切迫している』と指摘する。
 今月来日したIPCC作業部会のトーマス・ストッカー共同議長は講演で、上昇を2度以内に抑えるために許された温暖効果ガスの排出量は790ギガトン(炭素換算)と説明した。すでに515ギガトンを排出しており、現在のペースが続けばあと30年ほどで許容量を超えるという」



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 2015年 今幸せに死んで行ける大人達は、50年後を生きる「酷暑世代」の子や孫に何を残すのか?
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 ニューズウィーク誌日本語版 2015年5月19日号 「もう手遅れ?地球温暖化
 マーク・ハーツガード
 50年後を生きる『酷暑の世代』に居住可能な地球を残すため、今は可能性を信じて気候変動との闘いを続けるしかない。
 ……
 大半の研究者は、気候変動がもたらす最悪の影響を回避するための時間はまだ残されていると指摘する。今年末には、パリで国連気候変動枠組み条約第21回締結会議(COP21)が開かれる。もし世界中の指導者や企業、個人が力を合わせ、実効性の伴うGO₂の即時削減を打ち出せば、地球の平均気温を産業革命以前より2度高いレベルに抑えることは不可能ではない。
 ……
 専門家によれば、平均気温の2度上昇でも『危険』と『極めて危険』の境界線あたりだ。しかしこのまま手をこまねい、今世紀後半までに4度上昇に突入するよりはるかにましだ。
 一方、もう間に合わない問題もある。人類社会の対応が遅れたため、一定規模の異常気象はもはや回避できない。例えば私と娘が暮らすカリフォルニア州のケース。米地質調査所(USGS)の予測によれば、サンフランシスコ湾の海面は50年までに約40センチ上昇する。そうすれば、州内の2つの主要空港の滑走路は水没してしまう。ニューヨークや上海など、空港が沿岸部にある他の都市も同様だ。
 従って『もう手遅れなのか』という問いには、『何がもう手遅れなのか』と言い換えたほうが適切だろう。重要なのは、タイムリミットの存在を意識することだ。人類は温室効果ガスの排出削減を先延ばしにすればするほど、気候変動の影響は大きくなる。
 ならば、『時間を稼ぐ』というやり方も考えられる。温暖化の元凶は、温室効果ガスの年間排出量ではない。大気中に存在するガスの総量だ。現在の大気中のCO₂濃度は約400ppm(ppmは体積比で100万分の1を表す)とされている。
 もし大気中から相当量のCO₂を除去する方法が見つかれば、気候変動の時間の針を逆回転させるのと同じ効果が期待できる。そのための技術を総称してジオエンジニアリング(地球工学)と呼ぶ。ただし、環境保護派はこの用語を毛嫌いしている。多くの研究者も、一部のジオエンジニアリングは危険性が高過ぎるとして反対している。
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 『何がもう手遅れなのか』という問いに関連して言えば、地球の平均気温が1度上昇するのを防ぐことはもはや不可能だ。気温の1度上昇は既に起きている現象であり、さまざまな形で厄介な気候変動をもたらしている。
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 ヨーロッパでは03年、1度の気温上昇を主因とする記録的熱波のために少なくとも7万1,449人が死亡した。これはベトナム戦争の米兵死者数よりも多い。国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC)などの研究リポートには、気温上昇が原因とみなされる異常気象の例がいくつも報告されている。
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 ローラ・ウェルズリー
 肉食中心の食生活が 温暖化に拍車を掛けている
 フード 気候変動を促進させる意外な『犯人』は肉食を重んじる欧米型の食のスタイル
 温室効果ガスが地球をどんどん温めている。気候変動の専門家は、地球全体の気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えることが急務だと言うが、現実は簡単ではない。ガスの発生源としてすぐ思い浮かぶのは工場や自動車などだが、私たちの生活の思わぬ部分が拍車を掛けている。肉食だ。
 英王立国際問題研究所の最近のリポートによれば、排出される温室効果ガスの15%近くを畜産業が占めている。畜産業関連の排出ガスの量は、自動車によるものに匹敵する。ところが肉を食べることと環境の関係は、これまでほとんど注目されてこなかった。
 英エネルギー・気候変動省は最近、さまざまなライフスタイルと気温上昇の因果関係が一目で分かるウェブツール『グローバル・カルキューター』を公開した。このツールが示すのは、50年までにエネルギーのクリーン化に成功した場合、気温上昇を抑えられるかどうかは、私たちの食生活に懸かっているという驚くべき事実だ。
 50年までに途上国での肉食化が欧米諸国のレベルまで進めば『2度未満』どころか、世界銀行が『大異変』と表現する『4度』の上昇に向かっていく。
 現在は、中国やブラジル、インドなど、発展の目覚ましい大国で肉の消費量が急増している。たとえクリーンエネルギーが普及し、他の分野で積極的な措置が取られたとしても、その流れは避けられそうにない。言うなれば、欧米型の食生活は『4度上昇』に向かうライフスタイルなのだ。
 この背筋が寒くなるような予測にも、救いがないわけではない。肉食が環境に優しくないことは分かった。それならば食生活の見直しという費用の掛からない方法で、地球温暖化を少し抑えられるのではないか。
 つまり、グローバル・カルキュレーターが教えてくれるのは、エネルギーのクリーン化と肉を食べないようにする努力を並行して進めれば、気温上昇を1.5度に抑えられる可能性があるということだ。
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 食生活を変えるのは簡単ではない。しかし英王立国際問題研究所のリポートは、肉の消費と気温上昇の関係が広く知られていないことを示し、ライフスタイルを見直すべきだと指摘した。私たちがこの重要な一歩を踏み出せば、いずれは国家が、あるいは国際社会が手を組んで問題に取り組むようになるだろう。
 グローバル・カルキュレーターは、あまり知られていない情報を伝える貴重な手段かもしれない。こんな事実を突き付けられれば、誰でも今夜の食事のメニューを考え直したくなる
 ……」
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 2016年12月28日 産経ニュース「利根川中流部のサケ遡上が激減、昨年の3分の1に… 海洋環境影響?
 利根川を遡上するサケ=11月12日、行田市の大堰自然の観察室
 利根川中流部にある利根大堰(埼玉県行田市群馬県千代田町)で今シーズンに計測されたサケの遡上数は4038匹で、昨年のほぼ3分の1に大幅減少したことが水資源機構利根導水総合事業所の調査で分かった。
 調査は利根大堰に設置された3カ所の魚道で、10月1日から今月25日までセンサーによる自動観測でカウント。昨年は1万2338匹、最も多かった25年には1万8696匹を数えており、同様の調査方法を採用した平成22年度以降では最少だった。
 同事業所は「遡上調査は魚道の機能を確認する目的で、最近はサケがよく上っていたので安心していたのだが…」と突然の減少に困惑気味。遡上したサケは上流部の群馬県内の河川で自然産卵しているが、同県水産試験場は減少原因について「海水温などの海洋環境が影響していると考えられるが、はっきりした理由は分からない」としている。
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 2018年8月20日 産経ニュース「今年の猛暑、海水温の異変が原因 海洋機構が分析 「エルニーニョモドキ」で拍車
 今夏の記録的な猛暑は、インド洋と太平洋の一部で水温の異変が同時に発生したことが原因とみられることが、海洋研究開発機構の分析で分かった。太平洋の異変は「エルニーニョモドキ」と呼ばれ、これから本格化する恐れがあり、残暑が厳しくなる可能性があるという。
 エルニーニョモドキは、太平洋の熱帯域の水温が中央部のポリネシア付近で高くなり、東部の南米沖と西部のニューギニア付近で低くなる現象。中央部と東部が高く、西部だけ低くなるエルニーニョ現象に似ているため、平成19年にこう命名された。
 詳しい仕組みは未解明だが、本格化すると日本が猛暑になることが多く、今年は7月に起き始めていた。
 一方、インド洋の熱帯域では西側の水温が高く、東側が低くなる「ダイポールモード」という現象が7月から本格化。これも日本に猛暑をもたらすことが知られており、エルニーニョモドキと重なったことで猛暑に拍車を掛けた。
 ダイポールモードは3、4年周期で発生するが、日本に猛暑をもたらす頻度は低い。冷夏をもたらすエルニーニョが同時に発生し、影響が打ち消されることが多いからだが、今年はエルニーニョモドキが発生したため打ち消されなかった。
 エルニーニョモドキはまだ微弱な段階で、今後、本格化が懸念されている。ダイポールモードも10月ごろまで続く見通しだ。全国各地で最高気温が更新され、記録的な暑さとなった6年も、2つの現象が同時に発生していた。
 海洋機構の土井威志研究員は「今は6年と似た状況だ。エルニーニョモドキが完全に発達すれば、残暑も非常に厳しくなる可能性がある」と話している。」
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