📉15】─1・B─「ほめる・ほめられる」のが苦手な日本人。煽てられるとバカになる日本人。~No.32 

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 2023年5月20日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「「ほめる・ほめられる」のが苦手な日本人…相手と自分の力を伸ばす「ほめ言葉」のススメ
 齋藤 孝
 人との接し方がデリケートになり、人間関係に起因するトラブルが増えた。「人を傷つけない」だけでなく、「人を励ます」言葉が求められる現代において、「ほめる技術」の需要は高まっている。齋藤孝氏の新著『上手にほめる技術』(角川新書)から一部抜粋して、仕事や人間関係をうまく進める、「ほめる」コツを紹介する。
 「ほめる」には二つの意味がある
 漢字で使い分けると、「褒める」と「誉める」。
 褒めるの「褒」は、褒美という語に使われるように、目上の人間が目下の人間の良い行為を称たたえること。
 誉めるの「誉」は、名誉という語に使われるように、非常に高く評価することです。目下の人間が目上の人間に敬意を示す際には、こちらの「誉める」が当てはまります。
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 「褒める」が常用漢字なのに対して、「誉める」は常用漢字音訓表にない読み方なので、表記としては「ほめる」あるいは「褒める」が一般的です。つまり、字の違いそのものは意識しておく必要はありません。覚えておいてほしいのは、誰に対しても同じほめ方をしていいわけではない、ということです。
 「ほめ言葉」のなかには、目上の人間が目下の人間に対して使うには適していても、目下の人間が目上の人間に対して使えば失礼に当たるものもあります。そういう意味では、「褒める」と「誉める」の違いを意識するべきなのです。もっといえば、男性にとってはほめ言葉になるのに、女性に対して使うと失礼に当たる言葉もあります。
 そうした基本を理解しておくことは、社会人としての「マナーの問題」でもあります。
 なぜ相手をほめたいのか?
 その相手は自分にとってどういう存在なのか?
 これらを意識してこそ、ほめ言葉は効果を発揮します。
・会社の中で、上司や部下との人間関係をうまく構築できるか?
・子供のやる気を引き出し、勉強やスポーツに意欲をもたせられるか?
 そうしたことも、言葉ひとつで左右されます。目上の人間が目下の人間にかける言葉にも気をつかわなければ、パワハラとなり得ます。相手との関係性に合わせて最低限の言葉の使い分けができなければ、常識がないと見られてしまいます。
 多くのことが、言葉遣いに左右されるのです。
 しかし、難しく考える必要はありません。
 どんなときにどういう言葉で相手をほめるかを考える「意識」と、実践の「基礎的な知識」「技術」を身につけておけばいいのです。
 ほめる、ほめられることに慣れていない日本人 
 大学の授業では、学生同士で意見交換してもらうことがあります。
 一人の発表に対して誰かが否定的な意見を口にして、場の空気が悪くなることを避けるために、相手を徹底的にほめてもらう場合もあります。教室の空気はもちろん良くなりますが、それでもしばしば、ある種のぎこちなさが生じます。
 どうしてか。ほめようとする側がほめ上手でなく、ほめられる側はほめられるのに慣れていないからです。
 国民性も関係するのかもしれません。家庭でも学校でも、他国に比べ、ほめる/ほめられる機会が少ないようです。日本人は謙虚さや辛抱強さを美徳としがちです。そういう歴史的文化的側面があるとはいえ、欧米文化が浸透し、インターネットを介して世界とつながっている現代、人は以前よりも、他者からの正当且つ良い評価を求めるようになっているのです。
 それはつまり、誰もが「ほめられたい!」と思っている、ということです。
 ですから、私たちは「ほめ言葉」への意識を高め、シチュエーションに応じたベストの言葉を選択できるようにしておくべきです。そうすれば、なんだかうまくいかないなと思っている人間関係も、改善するはずです。
 そのため、私は大学の教職課程の授業でも「ほめる練習」を積極的に導入しています。
 グループをつくって、互いにほめ合うようにするだけでも、実践的なトレーニングになります。「相手のどんなところをどんな言葉でほめるか」を考えることが大切だからです。
 トレーニングの成果はすぐに出ます。授業の雰囲気だけでなく、塾でアルバイトをする学生からは、ほめるうちに生徒が勉強熱心になった、という声も聞かれました。
 誰でもやはり、ほめられると一生懸命になるものです。
 ほめ言葉がうまく使えれば、コミュニケーションは円満になります。職場や学びの場の空気も変わるため、仕事や勉強の効率に影響します。相手をほめるトレーニングを少し取り入れただけでも、顕著にそれがわかります。
 ほめることの「セラピー効果」
 相手をほめようとばかりしていては疲れるのではないか、と思う人もいるかもしれません。それは逆です。
 人をほめれば、相手は嬉しそうな顔になり、場がなごみます。そうなれば、ほめたほうも自然に顔がやわらぎます。人が喜べば自分も嬉しいものです。
 誰かをほめて、その人が気分を良くすれば、自分の気分も良くなる。
 人をほめることは相手への奉仕というだけではなく、自分自身のセラピーにもなるのです。
 無理なく相手を肯定できれば、自分の中の嫉妬の感情をなくすことにもつながります。
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 人間は誰でも、多かれ少なかれ人を妬む部分をもっています。
 自分以外の人間を、簡単には認めたくない人は、気づかない間に、嫉妬にとらわれて、意地悪な行動をとりがちです。それが続くと、意地悪い人格が自分に沁みついてしまいます。虚栄心をなくすためにも、むしろ技術として、積極的に人をほめる姿勢をもっておくのです。
 できるだけ人をほめるようにしていれば、周りの人たちとの関係性が良くなるだけでなく、性格からカドが取れてストレスも緩和され、いいこと尽くめです。
 人を笑顔にして、自分も笑顔になってください。
 小・中学生は、先生にほめられると笑顔になり、「この教科が好きになった」と言うこともあります。私たち教師は、その笑顔を楽しみにして生きているともいえるのです。
 ほめて人を育て、自分も伸びる!
 「ほめられて伸びる人」と「叱られて伸びる人」とタイプは分かれるともいわれますが、ほんとうにほめられて、嫌な気がする人間はいません。
 なんでもかんでも思ってもいないことまでほめれば、相手も素直に受け止められないでしょうが、それはほめ言葉が極端すぎるか、適切ではないかです。
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 一生懸命励んで上に行こうとするだけでも、人の能力は伸びていきます。
 学習でも仕事でも、教育が目指すべきは自発的努力です。新入社員の教育も、「ほめて伸ばす」ことを念頭において指導にあたるのがベストです。
 新入社員がすくすくと伸びるだけではなく、教育係に就いた人間もまた、気持ち良く効率的に仕事をしようと、人間的成長をしますので、一石二鳥の成果が期待できます。
 人が人をほめることで成長できるとすれば、頑なに人をほめないようにしている人はどうでしょうか? 自分で自分の成長を止めることほど、もったいないことはありません。
 「ほめ方」を技化する
 具体的には、どういうほめ方がいいのでしょうか?
 基本と応用があります。
 「できるだけピンポイントで」
 「できるだけ適切な言葉を選ぶ」
 この二つがまずほめ言葉の基本です。
 より相手を喜ばせるための応用は、ほめることの「技化(わざか)」です。
 適切な言葉を選択するだけでなく、巧に相手を喜ばせる技術です。
 私自身、自分がほめられたときに、「この人のほめ方はすごいな」と感心させられることがあります。たとえば、テレビ局内で私に挨拶してきた、あるタレントのマネージャーさんです。
 その人は私に気がつくと、挨拶のあと第一声で「先生、そのネクタイはスタイリストに選んでもらっているんですか?」と尋ねてきたのです。私にはスタイリストがつかないので、「いえ、これは自前です」と答えると、「えっ、すごいですね。素晴らしいです」と驚く顔を見せてくれました。お世辞かもしれませんが、悪い気はしません。
 私のもとを離れていくときも、一緒にいた人に対して「あのネクタイのセンスはいいですね。とても似合っていますよね」と話していたのです。
 私に聞こえることを意識したかはわかりませんが、お世辞ではなく本気で感心してくれているのかな、と感じられました。
 そこまで計算しているとすれば、高等なテクニックです。計算抜きだとすれば、「天性の人たらし力」ともいえそうです。
 どちらにしても、こちらは嬉しくなったのだからいいわけです。
 こういう方法もあると気がつけば、今度は自分で実践です。人を手本にしながら、ほめ方を学ぶ意識をもてば、引き出しは自然に多くなっていきます。
 相手をもちあげるだけではなく、お互いに認められるところを認め合うのが、ほめる技術の理想です。言う自分が気分を害するようなほめ方はしなくてよいのです。
 上手にほめなければならない、ということを難しく考え始めると、立ち止まってしまいますから、まずはワンフレーズでほめる訓練をしましょう。
 他人にストレスを与えず、自分がストレスを溜めないためにも配慮が必要です。場に応じた配慮もあれば、人に対する配慮もあります。
 テレビの世界では、「歯に衣着せぬ物言い」を売りにしているコメンテーターもいますが、実際のところ、そういう人は非常に繊細な衣を着ています。そうでなければ、共演者や関係者の多いテレビの世界でずっと仕事をし続けられるはずがありません。
 歯に衣を着せていないように演じているだけなのです。裸のように見えても、シースルーの衣をまとっているようなものです。
 日常的にも、人に対する配慮は常に必要です。
 人が気にしているだろうことは、思わず言いたくなっても口にしないでおくべきです。
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🍘40〗ー1ー有能な官僚はモラハラ政治家に嫌気をさして早期退職者していく。~No.123No.124No.125 

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 2023年5月20日 YAHOO!JAPANニュース ニューズウィーク日本版「「そして誰もいなくなる」日本の官僚
 <個人的な要求が通らないと予算承認を妨害してくる議員、役人を怒鳴りつけてせいせいしたいだけの人々......社会が変わらなければ官僚の仕事も変わらない>
 中央官庁からの人材流出が懸念されている STANISLAV KOGIKUーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES
 中央官庁の官僚に早期退職者が増えている。自己都合で退職した20代の総合職は2019年度には86人。13年度は21人だった。昨年9月、河野太郎デジタル相は、中央官庁の人材流出に危機感を示し、「霞が関の崩壊が始まっている」と述べた。政治家、マスコミに罵られながらの連日の超過勤務では、やる気も湧かず、家庭も成り立たないというわけだ。
 【動画】巨大ワニが子犬を捕獲...水中に引きずり込む...衝撃の一部始終
 そこで政府は、まず勤務条件の改善に取りかかった。人事院の研究会は、勤務終了後から開始までに原則11時間の間隔を義務付ける案などを提案した。だが、役人OBとして、そのような措置は実現できない、と思う。夜中の3時に退庁して数時間寝た後、9時には登庁することもある職場で、11時間の休息!? それより、勤務時間が長くなる理由を分析して改善する──こういう姿勢でなければ物事は動かない。
 背景には、日本が連絡と調整を重視する社会なので国会議員などに「ご説明」する機会が多いこと、国会では議員が大臣などと大所高所の議論をするのではなく(欧米の議会では大抵そうなっている)、細部を答えさせて揚げ足を取ろうとする場合が多いこと、予算作成時期には財務省主計局の主査クラスから資料の提示を夜中でも至急に求められることなどがある。
 それぞれ必要なことだ。財務省も少人数で予算請求を精査しているので、きれい事は言っていられない。しかし非合理なことも数多い。省庁の課長級を説明に呼び付けたことで得意になる議員、首相や大臣が国会での質疑応答で立ち往生しないよう(一晩での)資料作成、翌朝早くの説明は日常茶飯事。自分の抱える案件に予算が付かないと困るので、夜遅くまで待機し、主査から電話があれば飛んで行く。所定の超過勤務手当は出ない。
■官僚は永遠の存在ではない
 それでも、役に立つこと、面白いことで超過勤務するなら構わない。外務省の場合、交渉事や要人の外国訪問の前は事務が集中するので、課長は椅子の上、課員は事務机の上やソファで仮眠するのはざら。それでも懸案が片付けば達成感があったものだ。
 嫌だったのは、個人的な要求が通らないと外務省予算の国会承認を妨害したり、省庁幹部にねじ込んで担当者の更迭を迫る議員。あるいは、一部で不正を働く役人が発覚すると、省全体で不正をしているかのように決め付けられ、罵られることだ。
 <AIを活用すれば役所の事務は大幅に整理される>
 「役人は偉い」、あるいは「役人は上意下達、命令一下で機械のように動く」と思っている人が多いのも問題だ。多くの省庁では上下の間で議論はあるし、多くの政策は上意下達よりもボトムアップ、つまり事務方で情報を集めて分析し、上司と議論しつつ練り上げていくやり方なのだ。だから、その「偉い」役人を怒鳴りつけてせいせいしたいだけとか、上から圧力をかければ動くだろうと思っている人々には、腹が立つ。
 つまり、社会の在り方が変わらないと、役人の勤務条件は変わらない。一律に休息時間を決めても、それを実行するのは難しい。案件を熟知し、連絡・協議先を把握しているのが1人しかいなければ、3~4時間の睡眠でまた出勤せざるを得ないだろう。
 官僚は永遠の存在ではない。今の国家の在り方も永遠ではない。先進国では人種、民族が混交し、今や多民族を超え「雑民族国家」化している。政府の世話にならずともやっていける個人にとって、国家や役人はもはや旧時代の存在だ。事務に人工知能(AI)を活用すれば、役人の事務は大幅に整理されるだろう。
 今の体制での勤務条件の改善もだが、時代の変化を考慮した議論が必要だ。
 河東哲夫(外交アナリスト)
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 2021年10月19日 日経ビジネス「残業地獄だけでない 「キャリア官僚」が不人気になった理由
 長時間残業のひどさが、「霞が関」不人気の大きな要因に……(写真=PIXTA
 「省庁の残業代 18%増要求 環境省47%増・厚労省34%増 長時間労働浮き彫り 来年度予算」。こういうタイトルの記事が、朝日新聞の10月8日朝刊で1面トップを飾った。
 もう30年以上前のことになるが、筆者は社会人生活のスタートで2年間だけ、霞が関の中央省庁でキャリア官僚として働いた経験がある。当時のことを思い出して感慨深かった。
 記事によると、2022年度予算案の編成に向けた概算要求で、主要な中央省庁の残業代(超過勤務手当)要求額を集計してみたところ、前年度の当初予算に計上された額より18.4%も多い約385億円になったという。
 「首相官邸が残業代を労働実態にあわせて支払うように各省庁に指示したことが背景にある」「実態にあわせた要求の急増は、いわゆる『サービス残業』が横行していた可能性を示している」と、記事の最初の方に書かれていた。
 「……可能性を示している」ではなく、「……ことが強く示唆されている」といった書きぶりの方がぴったりではないかと、すぐに思ってしまった。同じように考える人は、霞が関で働いた経験のある人の間ではかなり多いのではないか。SNSやブログなどで見かける、匿名で発信されている中央省庁の勤務実態は、「国会待機」と呼ばれる非合理的な業務負担の重さを中心に、昔とほとんど変わっていないように見える。
 筆者の昔の経験では、中央省庁のサービス残業は、いわば当たり前だった(むろん、民間企業も含めてそれが暗黙の了解になっている、古い時代だったとも言えそうなのだが)。出勤時間は民間企業に比べるとかなり遅めだが、年末にかけての繁忙期になると、毎日終電で退庁するような日々を過ごしていた。
 残業時間の記録簿は「フィクション」
 そして、残業時間の記録簿は「フィクション」であり、年度の予算上で許容される上限以内に収まるよう、日々の退勤時間を調整して記録していた。その際に上司の1人から言われたことを、今でもはっきりと覚えている。
 「予算を握っている大蔵省(当時はまだ財務省に改称される前だった)は残業代が満額出るけど、他の省庁は予算がある範囲内でしか残業代は出ないんだよ」
 学生時代のアルバイトではむろん、そんなことはあり得なかった。おかしな話だと思ったものの、社会の厳しさとはそういうものなのかと、自分を納得させた瞬間でもあった。
 その頃、ある都市銀行に就職していた高校時代の1年先輩から話を聞く機会があり、勤務実態を尋ねてみた。彼が言うには「勤務先である支店のシャッターが開くより前から仕事をしておかないと回らないから、近所の喫茶店に入って早朝から仕事をするのが普通だよ。ビルの警備員さんがカギを開けてくれたらお店に入り、デスクで仕事を続けるんだ」。
 なるほど、民間会社でもサービス残業はあるのかと、妙に納得して安心した思い出がある。誤解のないようにあらためて確認しておくが、これは30年以上も前の話である。
 そして、朝日新聞が掲載した省庁別の要求額の表を見ると……やはりと言うべきか、1つの明確な特徴が見て取れた。財務省の22年度要求額(本省分)は「24.7億円(21年度当初予算比の増加率はプラス0.3%)」となっている。この「プラス0.3%」という増加率が、他の省庁と比べて、目立って低いのである。霞が関勤務時代に筆者が先輩から聞いた話が、間接的に裏付けられた形である。
 誤解のないように付け加えると、当時の大蔵省はあまりにも過酷すぎる激務で有名だった。特に年末にかけての「予算の季節」には、1週間くらい自宅に帰れない人もいると言われていた。中庭の同じ場所で2年続けて飛び降り自殺者が出たという話もあったくらいである。
 昔はチェックが緩かったのでよく他の省庁の食堂に出入りしていたのだが、大蔵省の地下の食堂は、夜遅くでもいつもにぎわっていた。自宅に帰る前ではなく、これから夜中まで仕事をするためのエネルギー補給で、食事をしていたわけである。
 ちなみに、財務省の次に増加率が小さいのは農林水産省(プラス6.3%)で、その次が法務省(プラス8.5%)である。一方、増加率が大きいのは順に、環境省(プラス47.4%)、厚生労働省(プラス34.6%)、総務省(プラス32.0%)、内閣府(プラス28.0%)、国土交通省(24.8%)、文部科学省(プラス22.9%)などである。
 記事によると、財務省は今回の各省庁からの残業代増額要求について「業務が十分効率化されているかなどを精査した上で、必要な残業代の増額には応じる見通しだ」という。国家公務員の世帯にとっては、とりあえず良い話である。
 しかし、中央省庁の長時間・深夜労働などの厳しい実態までが、今回の動きによって変わってくるわけではない。また、本来もらえるはずのお金が22年度からはしっかりもらえるという話であり、21年度以前に遡及してサービス残業分の賃金を取り戻せるというわけでもない。国家公務員は、労働基準法の適用対象外である。
 なぜ優秀層から人気がなくなったのか
 霞が関の中央省庁に職を求めようとする優秀な学生が目立って減少したと言われ始めて久しい。その間、民間企業では「働き方改革」が着実に進められている。官庁と民間を比べた時に民間を選ぶ人が増え続けると、公務員の「質」の低下が進みかねない。近年、国会に提出される法案などの記載ミスが多発して国会でも一時問題になったが、その原因について考えてしまうこともある。
 上記の記事には、国家公務員の「サービス残業」の解消に政府が動き始めた理由として、「民間企業で働き方改革が進むなか、残業を理由に官僚になるのを避ける人が増え、採用にも支障が出始めているからだ」と書かれていた。もっとも、ある省で働く30代の男性キャリア官僚は、そうした動きについて、「マイナスがようやくゼロになったイメージだ」という、実にドライなコメントをしていた。
 さらに言えば、キャリア官僚を志望する優秀な学生が目立って減少している大きな理由の1つは、渡り鳥的なパターンも含む「天下り」による生涯所得の最終局面での上積みという一発逆転的な人生コースが、世間の批判を浴びてほぼ完全に閉ざされる方向になったからだと、筆者は以前から考えている。
 官僚OBでそうした見方を口にする人は、筆者のほかにもいる。民間の名のある企業に比べると、中央省庁で過酷な勤務実態に耐えている公務員の給与水準は、はっきり言えば一段も二段も低い。
 大手商社に就職した妹の1年目のボーナスの額に、キャリア官僚2年目だった筆者は驚がくしたものである。そして筆者は、金融市場の「魔力」に加え、給与水準の相対的な高さにも引き寄せられて、霞が関に満2年務めた時点で都市銀行へと転職することになった。
 当然とはいえ金銭面の利得に大きな期待ができず、政治主導の世の中になって官僚の持つ力にも陰りが出ているとなると、難しい試験をパスする必要もある中央省庁のキャリア官僚は志望しない、という話にもなりかねない。
 どんなに給与で民間企業より劣位であっても、また勤務実態がより過酷であっても、お金もうけといった私利私欲ではなく公共の利益のために働くことが生きがいだというような高邁(こうまい)な志を持っている人の数がすごく多ければよいのだが、現在の日本では逆に、かなりの少数派だろう。
 高邁な人の数が多ければいいが……
 そんなことを考えている時、公務員志望者が減っている原因を探る調査が実施されるというニュースが飛び込んできた。人事院が、21年の就職活動を終えた大学生らを対象に、国家公務員を志望しなかった理由を尋ねる実態調査を10~11月に実施する。
 21年春に実施された国家公務員採用試験で、幹部候補となる総合職(大学院修了・大卒程度)の申込者数は5年連続で減少しており、今回は過去最少の1万4310人。コロナ禍で地方出身者が地元での就職を望んだという事情や民間企業との人材の奪い合いという事情もあるが、長時間残業など中央省庁の「負のイメージ」も影響しているとみられると、時事通信は報じた。人事院がどのような回答選択肢を設けて、どこまで学生の本音に迫ることができるのか。筆者としては興味津々である。
 いずれにせよ、霞が関が今後どのように変わっていくかは、日本の将来に影響してくる。民間企業ですでに働いている人も含めて、決して人ごとではないように思う。
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📉22】─2・C─現代の日本人男性は自惚れだけ肥大した「世界一の怠け者」である。~No.47 

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 学ばない意欲のない好奇心のない金太郎飴的日本人男性を大量生産したのは、財界界の要請を受けたエセ保守的教育者であったが、それを煽ったのが左派系メディアと学者・教育者であった。
 現代の日本からは、破壊的イノベーションも斬新的リノベーションはもちろん革新的ベンチャーも生まれない。
 現代日本の元凶は、おじさん・おばさん・シニアである。
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 2023年5月17日 MicrosoftStartニュース BOOKウォッチ「日本人男性は「世界一の怠け者」! データで見るジェンダーギャップの真実
 日本人男性は「世界一の怠け者」! データで見るジェンダーギャップの真実
 © BOOKウォッチ
 日本人男性は働き者なのか? それとも怠け者なのか?
 20世紀末、日本人男性は良くも悪くも「働き者」のイメージを持たれていた。「24時間働けますか」や「モーレツ」などの古い流行語の存在がそれを表している。だが、21世紀の今、家事・育児をまったく手伝わない「怠け者」としてのイメージが強くなり、これまでとは違う「イクメン」になることが求められるようになった。
 はたして、日本人男性は働き者なのか? それとも怠け者なのか? 2023年4月17日に発売されたビジュアル書籍『地図は語る データがあぶり出す真実』(日経ナショナル ジオグラフィック)には、その真相を物語るデータマップが掲載されている。
 © BOOKウォッチ
 世界一働かされ、世界一働いていない日本人男性
 データマップにまとめられているのは、OECD経済協力開発機構)が調査した世界各国の1日あたり労働時間の統計だ。この調査では、男女間の労働時間の差や、労働時間に占める「有償労働時間」と家事などを含む「無償労働時間」の割合も明らかになっている。
 まず驚くのは、日本人男性の無償労働時間がOECD加盟国で最も短いという事実だ。その長さは、(休日など含めて)1日あたり平均40分。男性の無償労働時間が最も長いデンマーク(3時間6分)と比べると、わずか5分の1にすぎない。無償労働時間の男女比格差も世界最大という。やはり日本人男性は、家庭内では「世界一の怠け者」なのだ。
 だが同時に、日本人男性が「働き者」であるというイメージも間違っていない。2020年のOECD調査によると、日本人男性の有償労働時間はOECD加盟国で最も長い。その長さは、1日あたり7時間32分。OECD平均が5時間17分だから、日本人男性は世界平均より2時間以上長く働いていることになる。つまり、日本人男性は「世界一の怠け者」であると同時に「世界トップクラスの働き者」でもあるわけだ。
 有償労働時間と無償労働時間を足した「総労働時間」で見ても、日本人男性は世界3位(6時間13分)の働き者。怠けて家事をサボっているというよりは、「仕事をこなすだけでヘトヘトで、とても家事はできないよ...」というのが実感なのかもしれない。
 ところが、そんな働き詰めの日本人男性よりもさらに労働時間が長く、大変に負担がかかっている人々がいる。日本人女性だ。その総労働時間は、驚異の8時間16分。もちろん、世界1位の長さだ。誇れることではないのだが......。
 どこへでも行けるが、どこからでも来られるわけではない日本
 ジェンダーギャップ以外にも、日本について興味深いデータがある。
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 これは、「パスポートの強さ」と「開放度スコア」である国家の総合的な「旅行のしやすさ」を可視化した図だ。日本は左上にいる。パスポートの強さは、その国のパスポートで渡航できる国の多さを、開放度スコアは、その国にパスポートだけで渡航できる国の多さを表している。
 日本のパスポートはとても強い。持っているだけでほぼすべての国へ渡航することができ、韓国やシンガポールと並んで、俗に「世界最強」などと言われるほどだ。だが一方で、「開放度スコア」はかなり低い。シンガポールや韓国よりも遥かに入国のハードルが高いのだ。日本は、どこへでも行けるが、どこからでも来られるわけではない国なのである。
 このほか本書には、捕鯨船の経路や奴隷貿易から、国ごとの幸福度、汚染物質の出所まで、世界のあらゆるデータを地図というビジュアルで可視化している。「この100年、地球はどれくらい暑くなった?」「世界でいちばん不便な場所はどこ?」など、さまざまな好奇心を満たせる1冊だ。
 ※画像提供:日経ナショナル ジオグラフィック
・書名:地図は語る データがあぶり出す真実
・監修・編集・著者名: ジェームズ・チェシャー、オリバー・ウベルティ著 梅田智世、山北めぐみ 訳
・出版社名: 日経ナショナル ジオグラフィック
・出版年月日: 2023年4月17日
・定価: 2,970円(税込)
・判型・ページ数: 216ページ
・ISBN: 9784863135369
(BOOKウォッチ編集部)
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📉15】─2・B─ほめて伸ばす教育は他人を蹴落し国家・社会を敵視する承認要求だけを肥大化させる。~No.33 

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 2023年5月18日 YAHOO!JAPANニュース 講談社with「「ほめて伸ばす」教育では育たない、これからの時代に必須の力とは
 こんにちは。人生や人間関係を上手くいかせたい共働き女性に向けて本質思考をアドバイスする、リアライフカウンセラーの藤本シゲユキです。
 【漫画】子の自立は「朝の起床」で9割決まる!成功の鍵は「遅刻でも起こさぬ」覚悟と4つのコツ
 昔から子育てにおいて、「ほめること」と「理解すること」は非常に大切であると言われています。
 子どもを怒るのではなく、ほめて伸ばす。
 子どもの気持ちを尊重し、ときには寄り添う教育や接し方が必要というわけですね。
 「この人、親からちゃんとしつけられてないのかな?」とか「どんな教育を受けてきたんだろう?」と思っても、揉めるのも逆恨みされるのも嫌だから、ほとんどの人は黙って見過ごすのです。
 友達だと思っていた人も言ってくれなくなることが多いですから、そうすると人任せにできないし、自分で悪い癖に気づくしか方法がなくなるんですよね。
 親の責任の重大さは思っている以上である
 何が言いたいかと言うと、「親の責任はものすごく重大」だということ。
 要するに、親がどこまでしつけて教育したかによって、子どもが大人になったときの周囲のからの評価が変わってくるということです。
 今からお話する内容は、あるクライアントさんたちから聞いたものになります。
 1人目の女性は、彼氏の友達夫婦に会ったときに、すごく雑な対応をされたことに悩んでおられました。
 初対面で挨拶をしたときに、その友達は椅子に座りながら彼女の顔を一瞬だけ見て「あ、どうも」とだけ言って、スマホを触りだしたそうなんです。
 しかも夫婦そろって。
 「きっと私は彼の友達夫婦に嫌われてるから、これから先彼と一緒になったとき、その友達夫婦と上手くやっていけるか自信がありません」という悩みを抱えていらっしゃいました。
 2人目の女性は、友達の中に遅刻してもドタキャンしても絶対に謝らない子がいるしらく、毎回そのことでイライラしてしまうから、「私の心が狭いのでしょうか?」というお悩みでした。
 この謝らない友達の周りの人たちは、「アイツはいつもああだから」と言って笑って済ませてるそうなんですよ。
 なので、自分だけ怒ってるのがおかしいのではないか?と、自分の心が狭さに不安になったと、そのようにお話されていました。
 3人目の女性は、会話中でもお構いなしに恋人がスマホを触るものだから、「もしかすると彼氏は浮気をしてるんじゃないか?」と疑っておられました。
 彼女は、「私の目を見るよりスマホの画面を見る方が長いぐらいで、ちゃんと目を見て話してくれないのがつらいです」と仰ってましたから、その悲しみのせいで浮気を疑ってしまうのも無理はないんですよね。
 親が悪い癖を正さないと、子どもは悪気なくその癖を出す
 彼女たち3人の話をさらに詳しく聞いて思ったのは、友達夫婦に嫌われているわけでも、心が狭いわけでも、浮気をしているわけでもないということ。
 親がちゃんとしつけて教育してないから、そのような振る舞いをするようになった可能性が非常に高いんですね。
 まず1人目の女性が対峙した友達夫婦ですが、おそらくこの2人は、初対面の人に挨拶をするときに立って挨拶することを教わってなかったのでしょう。
 さらに挨拶の仕方も教えてもらってないから、「はじめまして」と自己紹介もしなかったのだと推測します。
 2人目の女性がイライラする友達も同じです。
 時間の大切さや、相手の時間を奪うことの意味をしつけがちゃんと教えていたら、その人は何らかの理由で遅刻やドタキャンをする羽目になったとき、しっかりと謝罪するはずです。
 なんだったら、平謝りレベルで申し訳なく思う人だっているでしょう。
 3人目の女性の彼氏はきっと、「誰かと一緒にいるときに携帯ばかり触るのは失礼なこと」だと、教えてもらってないのかもしれませんね。
 もし、親が教えていたのだとしても、もう一つ肝心なことを教えてなければ、その子は距離が近い人間の前で、会話中でもお構いなしにスマホを触ります。
 その肝心なことが何かと言うと、「親しき仲にも礼儀あり」。
 つまり、相手は自分の時間を使って会いに来てるんだから、どれだけ親しくても、失礼なことはしちゃダメということを教えてないと、子どもは大人になってから、人を選んで悪い癖を出すようになります。
 誰も注意しないことでは困りようがない
 いかがでしょうか?
 親のしつけと教育が行き届いてないと、このように人を不安にさせたり不快にさせたりしてしまうんですよ。
 よく、「親がちゃんとしつけてないと子どもが困ることになる」と言いますが、少なくとも3人のクライアントさんたちが関わった人たちは、困っているようには見えません。
 それもそのはず、誰も注意しないものだから、自分が悪いことをしている自覚もなければ、自分のせいで相手を不安にさせたり不快にさせたりしている自覚もないからです。
 なので、困りようがないんですよね。
 ちなみに、1人目の女性が対峙した友達夫婦は、なぜ2人ともがそのような態度だったのかと言うと、これは単純に「挨拶が適当でも気にならない者同士がくっついた」のだと推測します。
 要するに、夫婦2人とも挨拶に関してしつけられてない可能性があるということです。
そして、カウンセリングに申し込まれた3人の女性がその後どうなったのかと言うと、1人目の女性は彼氏に「あなたの友達のあの態度はどうかと思う」ということを伝えたそうです。
 そしたら、「初対面の人に挨拶してるところを見たことがなかったから、俺もあれはびっくりした」と返ってきたのだとか。
 2人目の女性には、「それは○○さんがまともなだけで、ちゃんとご両親が時間の大切さを教えてくれたのではないでしょうか」とお伝えしたら、ものすごく安心されていました。
 3人目の女性は彼氏に、「いくら付き合ってるからと言っても、スマホばっか触ってるの失礼だよ。あなたいつも他の人の前でもそうやってるの?」とはっきり指摘したら、ものすごく驚かれたそうです。
 この男性は、自分がそこまで酷い状態だったとは気づいてなかったらしく、「今まで誰にも言われたことなかった」と、ちょっと凹んでいたようです。
 子どもにいい顔ばかりしていては、躾と教育ができない
 子どもをしつけて教育するということは、ある意味嫌われ役を引き受けるのと同じだと思うんですよ。
 なぜなら、大人になってから誰も指摘してくれないようなことって、そもそもが「言いづらいこと」なわけです。
 ということは、それを親が子どもに言ったら疎ましがられるし、反感も買うし、面倒くさがられるし、悪態もつかれるしで、言う側にとっては我が子に嫌われて良いことがないんですよね。
 だからと言って、子どもに嫌われないように接していたら、今度はしつけと教育ができません。
 なので、子どものためを本当に思うなら、親が嫌われ役を引き受けないといけないんですよね。
 そして、ちゃんとしつけと教育をしなかったら恥をかくのは子どもだけではありません。
 親が一番恥をかきます。
 なぜなら、悪い癖が直らないまま大人になり、悪気なくその癖を出している人間を見て、周りの人はこう思うからです。
 「あの人の親、何も教えてないんだね」と。
 しかも、大人になってから自分がちゃんとしつけと教育をされてなかったことに気づき、親を恨む子どもも中にはいます。そのような事態になるなら、子どもと生活を共にしている段階で疎ましがられていた方がいいのではないでしょうか。
 この場合、子どもが大人になってから「あのとき親が口うるさく言ってくれたおかげで本当に良かった」と感謝しますからね。
 「子を持つ」のは楽なことではありません。
 現在、お子さんがいらっしゃる方は、今一度、親の責任の重大さについてよく考えてみてはいかがでしょうか。
 それは、人の親である僕も常に心に留めておかなければならないことだと思っています。
【藤本シゲユキ 悲恋改善アドバイザー改め、リアライフカウンセラー】京都府出身。17歳から29歳までギタリストとして、バンド漬けの日々を送るが、30歳を迎える前に以前から興味があったホスト業界に転身する。入店2ヶ月目でNo.1の座を獲得し半年後に退店、独立。その後、5年間にわたりホストクラブの経営者として奮闘するかたわら、現場で知り合った累計1,000人以上のお客様の恋愛相談をこなす。その時に培ったノウハウを更に改良し研究を重ね、現在はリアライフカウンセラーとして活動中。「日本中の女性を恋愛だけではなく人生単位で一生しあわせになれるよう導く」を天命とし、カウンセリングのみならず、書籍出版はじめ幅広く執筆。座右の名は「勤勉は幸運の母である」。
   ・   ・   ・   
 褒める教育は、リベラル・革新・エセ保守によるゆとり教育同様に失敗する。
 ゆとり教育の結果、学ぶ意欲を剥奪され、学ばない事が正しい生き方とされ、日本は学力が低下し世界第二位の経済大国から転落して、社会全体が衰退していった。
 褒める教育の結果、他人を蹴落とす承認要求だけが肥大化し、他人や社会・世間を無視し否定する傲慢無礼なクレーマー、キレる、暴走する若者や老人が急増した。それが同調圧力や自称正義の味方である。
 戦後民主主義教育の延長にある現代の学校教育は、「道理を弁える、分別を付ける、筋を通す」などの民族的伝統的文化的宗教的な公徳心を無意味・無価値として否定し切り捨て、ひたすら個人の「私利私欲」を追い求める事こそが人間として正しと教えてきた。
 戦後の日本人は、リベラル・革新・エセ保守らのアナリストや左派のメディアと教育に騙され煽てられて思慮分別を失いバカになってきた。
   ・   ・   ・   

⚡23】─1─火山・地震災害列島日本は世界3位の地熱資源国。日本で地熱発電が普及しない本当の理由。~No.108No.109 ⑫ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2023年5月16日11:30 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポン「日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?
 温泉の街・別府の観光名所「血の池地獄」 Photo by Chang W. Lee / The New York Times
 日本には膨大な地熱エネルギーが眠っているが、不可解なことに、その豊富な資源はまったく生かされていない。なぜ安価でクリーンな純国産エネルギーを開発しないのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が答えを探ってみると、日本ならではの葛藤が見えてきた。
 【画像】日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」
 総発電量のわずか0.3%
 日本を旅する人々に愛される保養地といえば、山あいや風光明媚な沿岸部に位置する温泉リゾートだ。国内に何千ヵ所もある温泉地のなかには、何世紀にもわたって観光客でにぎわってきたところもある。
 そうした温泉地のすべてを支えているのが、日本の豊富な地熱エネルギーだ。実際、日本の地下には膨大な地熱エネルギーが眠っており、発電に利用されれば、国内の石炭・ガス火力発電や原子力発電に代わる重要な役割を果たす可能性がある。
 だが、地熱エネルギーの普及を目指す日本の野望は何十年もの間、驚くほど強力な温泉地の抵抗に阻まれている。
 福島県の山中にたたずむ隠れ家的旅館「二岐温泉大丸あすなろ荘」の佐藤好億社長は、「地熱開発が乱立すれば、私たちの文化が脅かされる」と話す。二岐温泉は開湯1300年の歴史があるとされる。「万が一にでも私たちの温泉に何かあったら、誰が代償を払うのでしょうか」
 日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる。新しくクリーンな発電方法を切望している資源の乏しい国にとって、せっかくの機会が生かされていないとアナリストらは指摘する。
 この謎に対する答えの一つは、佐藤が経営する旅館のような由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。
 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている。
 政府官僚や日本の電力大手、さらには製造業大手でさえ太刀打ちできない。東京に本社を置く電源開発(Jパワー)の阿島秀司は「開発を無理やり進めるわけにはいかない」と話す。地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった。
 「地熱発電所は決してゲームチェンジャーにはなれませんが、(二酸化炭素を排出しない)カーボンフリーエネルギーの一翼を担うことはできると考えています」と阿島は言う。
 「日本に必要なものはそろっている」
 温泉は、岩石に浸透した雨水が地熱で温められ、数年から数十年の歳月をかけて地表に湧き出してくる自然界の小さな奇跡だ。
 日本全国に点在する温泉旅館や立ち寄り湯は1万3000ヵ所を超える。入浴には厳しいルールがあり、壁の張り紙にはさまざまな言語で注意事項が書かれている。水着の着用禁止、せっけんのついた体での入湯禁止……。
 一方、地熱発電所は、地下深く掘った井戸から高温の蒸気・熱水をくみ上げ、巨大なタービンを回して発電する。開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。
 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い。
 京都大学名誉教授で、地熱科学の専門家である由佐悠紀は、地熱開発がもたらす影響の全容はまだ充分に理解されていないと語る。
 世界5位の温暖化ガス排出国である日本は、気候関連目標を達成し、化石燃料の輸入依存を低減するため、よりクリーンなエネルギーを必要としている。2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故以降、国内の原発は多くが稼働を停止したままだ。
 そうしたなか、環境に配慮した地熱発電は比較的安価であるうえ、24時間安定的に電力を供給できることから、再生可能エネルギー源として有望視されている。
 2030年までに国内の地熱発電容量を3倍にすることを目指す日本政府は、国立・国定公園内の地熱開発にかかる規制を緩和し、環境アセスメント(影響評価)を迅速化することで、より多くのプロジェクトに道を開こうとしている。
 NPO法人「環境エネルギー政策研究所」によると、日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る。
 地熱エネルギーは「国産であり、再生可能」だと語るのは、南カリフォルニア大学のエネルギー専門家ジャック・ハイマンスだ。「日本に必要なものはすべてそろっているのです」
 Hiroko Tabuchi
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 5月16日 YAHOO!JAPANニュース「なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?
 日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」 世界3位の地熱資源大国なのに…
 温泉の街・別府の観光名所「血の池地獄」 Photo by Chang W. Lee / The New York Times
 ニューヨーク・タイムズ(米国)
 Text by Hiroko Tabuchi
 日本には膨大な地熱エネルギーが眠っているが、不可解なことに、その豊富な資源はまったく生かされていない。なぜ安価でクリーンな純国産エネルギーを開発しないのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が答えを探ってみると、日本ならではの葛藤が見えてきた。
 総発電量のわずか0.3%
 日本を旅する人々に愛される保養地といえば、山あいや風光明媚な沿岸部に位置する温泉リゾートだ。国内に何千ヵ所もある温泉地のなかには、何世紀にもわたって観光客でにぎわってきたところもある。
 そうした温泉地のすべてを支えているのが、日本の豊富な地熱エネルギーだ。実際、日本の地下には膨大な地熱エネルギーが眠っており、発電に利用されれば、国内の石炭・ガス火力発電や原子力発電に代わる重要な役割を果たす可能性がある。
 だが、地熱エネルギーの普及を目指す日本の野望は何十年もの間、驚くほど強力な温泉地の抵抗に阻まれている。
 福島県の山中にたたずむ隠れ家的旅館「二岐温泉大丸あすなろ荘」の佐藤好億社長は、「地熱開発が乱立すれば、私たちの文化が脅かされる」と話す。二岐温泉は開湯1300年の歴史があるとされる。「万が一にでも私たちの温泉に何かあったら、誰が代償を払うのでしょうか」
 日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる。新しくクリーンな発電方法を切望している資源の乏しい国にとって、せっかくの機会が生かされていないとアナリストらは指摘する。
 この謎に対する答えの一つは、佐藤が経営する旅館のような由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。
 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている。
 政府官僚や日本の電力大手、さらには製造業大手でさえ太刀打ちできない。東京に本社を置く電源開発(Jパワー)の阿島秀司は「開発を無理やり進めるわけにはいかない」と話す。地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった。
 「地熱発電所は決してゲームチェンジャーにはなれませんが、(二酸化炭素を排出しない)カーボンフリーエネルギーの一翼を担うことはできると考えています」と阿島は言う。
 アイスランドが「再生可能エネルギー」100%で電力をまかなえている理由
 「日本に必要なものはそろっている」
 温泉は、岩石に浸透した雨水が地熱で温められ、数年から数十年の歳月をかけて地表に湧き出してくる自然界の小さな奇跡だ。
 日本全国に点在する温泉旅館や立ち寄り湯は1万3000ヵ所を超える。入浴には厳しいルールがあり、壁の張り紙にはさまざまな言語で注意事項が書かれている。水着の着用禁止、せっけんのついた体での入湯禁止……。
 一方、地熱発電所は、地下深く掘った井戸から高温の蒸気・熱水をくみ上げ、巨大なタービンを回して発電する。開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。
 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い。
 京都大学名誉教授で、地熱科学の専門家である由佐悠紀は、地熱開発がもたらす影響の全容はまだ充分に理解されていないと語る。
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 4月5日 YAHOO!JAPANニュース「おかしいほど安い光熱費とねたましいほどの生活の質
 アイスランドが「再生可能エネルギー」100%で電力をまかなえている理由
 地熱資源の有効活用により、アイスランドはこの1世紀で貧困国から世界15位の富裕国へと生まれ変わった Photo: Arnaldur Halldorsson / Bloomberg
 ブルームバーグ(米国)
 Text by Danielle Bochove
 日本と同じく火山国のアイスランドは、その豊富な地熱資源を最大限に活用しているという。エネルギー問題に悩む世界の国々はいま、この「再生可能エネルギー立国」から何を学べるのか。米経済メディア「ブルームバーグ」記者が現地を取材した。
 ここはアイスランド南西部のヘトリスヘイジ地方にある雪化粧した山の中だ。道路の下には、熱湯の川が穴だらけの火山岩の中を流れている。道路の上には、太いスチールパイプが何本も走っており、複数のジオデシックドームにつながっている。各ドームは、地熱井(ちねつせい)を囲っている。
 国有企業「アイスランド・ジオサーベイ」の地質学者ステインソウル・ニーエルソンは、その丸い形をした小屋のそばに車を駐める。
 ニーエルソンと彼のチームは、掘削孔から採取した岩のサンプルを分析してベストな掘削方法を見極めてから、熱湯の供給がその蒸気を利用することでどのような影響を受けるのか追跡する。その蒸気は、この地域と首都レイキャビクの電力をまかなう発電に使われている。
 6000万年前にできたアイスランドは、地質的には地球上で最も若い国であり、いまなお成長している。
 アイスランドは、北米プレートとユーラシアプレートが接する太い“縫い目”の真上にある。その縫い目は両側から引っ張られており、“ひと縫い”がほどけるごとに新しいマグマが放出される。
 その影響は甚大で、火山噴火や地震、そしてアイスランドをこの1世紀で貧困国から世界15位の富裕国へと変えた、大量の地熱資源を発生させるのだ。
 原油価格が高騰すればグリーンエネルギーへの移行は加速するのか?
 電力の10割が再生可能
 他のヨーロッパ諸国が暖房を弱めるか、さもなくば石炭火力発電に戻るかと懸念するなか、アイスランドはおかしいほど安い光熱費とねたましいほどの生活の質を享受している。それもこれも豊富な水、というよりも、やけどするほど熱いお湯のおかげだ。
 いまや、アイスランドの全家庭は再生可能エネルギーで暖められている。そのうちの9割が、熱湯を地下から直に汲み上げて利用する地域の暖房システムによるもので、残りの1割が、その熱湯の蒸気を使った発電か水力発電によるものだ。アイスランドの電力も、10割が再生可能エネルギーでまかなわれている。
 アイスランドの全家庭は再生可能エネルギーで暖められている Photo: Arnaldur Halldorsson / Bloomberg
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🦋5〗─2─失われた30年の原因は「コストカット」と「海外投資」だった。平成元(1989)年~No.12 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 収益悪化に苦しむ日本企業は、グローバル・アナリストの発言やメディアの起死回生報道を信じて、未来の為のイノベーションと現状のリノベーションを放棄し、日本人従業員を経営を悪化させるリスク要因としてリストラし、国際競争力強化の名目で国内工場を海外に移転させ安価な現地労働者を雇い国内産業の空洞化を悪化させた。
 団塊世代の経営者は、日本を衰退させ崩壊させようとするアナリストやメディアの狂言鵜呑みにして、民族の歴史的伝統的文化的宗教的家族的「忠誠心・愛社精神・滅私奉公」の忠臣蔵社会体質を日本から消し去り、社員を助ける運命共同体会社を社員を助けないブラック会社へと改悪して行った。
 そうした彼らこそが、超エリート層と言われる高学歴の政治的エリートと進歩的インテリ達である。
   ・   ・   ・   
 2023年5月15日 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「なぜ「失われた30年」を止められなかったのか…経産省が「結果を出せなかった」と反省するバブル崩壊後の誤算
 1990年代以降、日本は成長できない国になった。世界1位だった国際競争力は34位に転落し、日本人の給料は30年も横ばいの状態が続いている。「失われた30年」はどこかで止められなかったのか。経済産業省で産業政策を取り仕切る飯田祐二・経済産業政策局長に聞いた――。
 【図表】IMD世界競争力ランキングの推移(1989-2022)
■「失われた30年」の原因はどこにあるのか
 ――なぜ日本は成長できない国になってしまったのでしょうか。
 過去30年間、日本経済の成長は低迷しています。潜在成長率は3%台から1%未満になり、かつて世界1位だったIMD世界競争ランキングは34位(2022年)になり、国際競争力も低下しています。
 私は入省して34年目ですので、よく言われる「失われた30年」は自分のせいじゃないかと思う部分もあります。いろいろ手を打ってきたのですが。
 90年代以降、様々な制約を取り払い企業間の競争が活発になれば経済が活性化すると考え、規制緩和などの構造改革を実施してきました。それまでの特定産業の育成を目的とする政策から、規制緩和や減税など市場環境を整えることを目的とする新自由主義的な政策へと転換していったわけです。
 ところが、そうした政策は結果として期待通りにはいきませんでした。経済成長は停滞し、給料の上がらない国になってしまいました。規制を取り払えば企業は元気になり、うまくいく――。そういうわれわれの考え方、環境づくりが結果につながらなかったのだと思います。
■「コストカット」と「海外投資」で活力を失った
 ――新自由主義的な産業政策で日本はどうなったのでしょうか。
 実はここ10年ほど、日本の資本金10億円以上の企業は売上額がほとんど変わっていません。内訳を見ると売上原価が下がって利益が増えている。つまりコストカット型になっているんです。
 本来なら、経済回復に向けて新しいことに挑戦していかなければいけなかった時期に、日本全体が、特に国内においてコストカットの方向に進んでしまったのです。
 その一方、日本企業は海外にどんどん投資をしていきました。96年末に31兆円だった対外直接投資残高は、2021年末時点で229兆円に拡大しています。
 なぜ日本企業の投資先は国内ではなく海外だったのか。それは収益率が高かったからです。国内企業のROA(総資産利益率)は3~4%程度でしたが、対外直接投資の収益率は6~8%程度。企業にとっては海外に投資することが合理的な選択だったのです。
 日本は人口減少だけでなく、円高や電力不足といった「6重苦」に直面していました。企業には、今後も高い成長が見込める海外のほうが魅力的だったのです。投資減税や立地補助金を設けて国内投資を呼びかけてきたのですが、思うように効果を上げられませんでした。
 問題は、海外投資の収益が現地で再投資されることが多く、国内の賃金上昇や労働生産性の向上に結び付かなかったことです。これが失われた30年の大きな要因となりました。
 こうした日本経済の悪循環に大きな危機感を抱いてきました。だからこそこれまでの新自由主義的な政策に代わる新機軸が必要となったのです。
新自由主義の失敗から生まれた「新機軸」
 ――「新機軸」とは何でしょうか。
 これまでの産業政策は、市場機能が重視され、官は民の邪魔をしないことに徹していました。官の役割は企業が活動しやすい市場環境を整えることだったのです。
 こうした考えを改め、社会・経済の課題解決に向けて、官も一歩前に出て大胆な国内投資を呼び込もうとするのが「新機軸」です。
 すでに米国・欧州連合(EU)を含む世界各国ではグリーン・デジタル分野などを中心にこれまでにない産業政策で国内・域内投資の喚起策を次々と打ち出しています。
 例えばアメリカのインフレ削減法です。予算規模は4330億ドル(約58兆円)、名前はインフレ対策ですが中身は大半が国内投資の喚起策です。例えば、EVの組立工場を国内に誘致するため、EV税額控除の対象を「北米で組み立てられたもの」に限る立地要件を設けています。
 欧州連合(EU)は、脱炭素政策やデジタルへの移行を進めるため1.8兆ユーロ(約256兆円)の大型予算を組み、電池や半導体などのサプライチェーンの欧州回帰を進めています。気候変動問題を主導しつつ、製造業の中国依存・デジタルの米国依存を低減させようとしています。
 人口減少が続く日本でも、挑戦しがいのある分野があります。①炭素中立型社会、②デジタル社会、③経済安全保障、④新しい健康社会、⑤災害に対するレジリエンス社会、⑥バイオモノづくり革命の実現という課題は、今後の成長市場と言えるでしょう。
 世界的な社会課題を起点に、企業の投資先として日本が積極的に選ばれるような、長期持続的な成長が見込める魅力的な市場環境をつくり、将来期待を高め、国内投資やイノベーション、国民の所得向上につなげる――。これが新機軸の大きな考え方です。
■企業の「国内回帰」の動きが始まっている
 ――経済安全保障も「新機軸」の一つなんですね。
 そうです。私たちは昨年、台湾のTSMC熊本県に建設する新工場の整備費用として、最大4760億円の補助金支給を決めました。日本国内に半導体の生産場所を確保できたことは、経済安全保障上とても大きな意義があると思っています。
 工場建設だけではありません。これが地域活性化や人材育成、経済全体の底上げにもつながっています。すでに九州エリアには約1000社が集まり、半導体を核にした広範囲なサプライチェーンができています。関連の製造品出荷額は約1.5兆円。全国シェアの4割を占めるようになりました。
 地域に雇用を生み出し、賃金アップを牽引する役割も果たしています。半導体生産のためのデジタル人材を育成しようと、地元に専門の学科や学校を作ろうとする動きも出てきています。国内投資によって経済の好循環が生まれる「新機軸」の成功事例になっています。
 今後は、日本の「Rapidus」(ラピダス)のほか、蓄電池分野にも支援を行う予定です。九州だけでなく、このモデルを全国に広げていくことで日本を再び成長できる国にしていきたいと考えています。
■「安い日本」は最大のチャンス
 ――30年間も低迷した国内投資がそう簡単に増えるでしょうか。
 これまで投資減税や立地補助金など、企業の国内投資を増やそうと一生懸命手は打ってきました。何もしてこなかったわけではありません。でもそれだけでは足りなかった。
 少子高齢化が進む日本より、経済成長率は海外の方が高いわけです。中国だけでなく、米国やEUが大きな予算を組んで国内に工場を作れば有利になる仕組みを作っています。そこで「補助金を準備したのでどんどん日本に投資してください」と呼び掛けるだけでは、企業が日本に戻ってくるメリットは薄いのだと思います。
 しかし近年、多くの日本企業が国内投資に意欲的になっています。続々と国内生産を強化する方針が公表されているんです。
 2023年3月の企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、2022年度の設備投資計画実績見込みは前年度比+11.4%と同時期としては過去4番目の高水準の伸び率となっており、2023年度の見通しは同+3.9%と同時期としては過去最高となっております。国内回帰が進む理由は4つあると思います。
■国内回帰が始まった4つの理由
 第一に、日本人の人件費が相対的に安くなってしまったということ。日本企業の部長級の平均年収はタイと比較して約120万円少ないというデータもあり、優秀な人材に適切な報酬が支払われていない状況です。日本の大卒者平均初任給(ボーナス込み、年収)は351万円で、米ニューヨーク州最低賃金でフルタイム労働をした場合の年収397万円を下回るほどです。
 第二に、コロナ禍やウクライナ戦争に端を発した供給制約の拡大です。以前は安い場所でモノを作ることが企業にとって一番でしたが、不確実性が高まったことで海外進出のコストが大きくなりました。経済安全保障の観点からも、安定した日本国内に生産拠点を移そうという動きにつながっているんです。
 第三に、洋上風力やバイオテクノロジーといった国内の新しい成長分野に投資する企業が増えたこと。そして第四の理由は、この30年で日本が「安い国」にかわったこと。1990年代の日本は物価高・円高で、国内外の価格差は大きくなるばかりでした。しかし20年以上デフレが続き、賃金や物価が上がらない状況が続きました。足元では急激に円安が進み、海外から見ればすべてが安くなってしまったのです。
 国内投資(名目設備投資額)が100兆円を超えたのは、バブル経済だった1991年度の1回だけ。ところが2027年度に再び115兆円を超えることを目標とする民間の動きが出ています。投資環境がそろっているという意味では、まさに今がチャンスなんです。
■日本が出遅れたら、見捨てられる可能性がある
 国内回帰が進みつつあるとはいえ、企業が活動しやすい環境だけでなく、魅力的な市場がなければ企業は海外に行ってしまいます。日本が他国に比べて魅力的な投資先であることが必要です。
 日本も米国やEUのような大規模な国内投資喚起策を打たないと、特にグローバル化できる力を持っている企業には見捨てられてしまいます。
 日本が安くなっている、諸条件がそろっている今こそが最大のチャンスであり、同時に最後のチャンスでもあると、そう思っているんです。ここで企業にしっかり国内投資や賃上げをしてもらう、国はそれに必要な環境や原資を確保できるよう対策を打つ、これが不可欠だと考えています。
■日本には大きなポテンシャルがある
 ――今後の日本の成長エンジンはどの分野でしょうか。
 半導体や蓄電池といった分野に加えて、脱炭素社会と経済成長の両立をめざす「グリーントランスフォーメーション」(GX)が成長エンジンのひとつになると思っています。今後10年間官民あわせて総額150兆円を超える投資を実現することを目指し、自動車や鉄鋼、化学、再生可能エネルギーなど22の分野で工程表をまとめています。
 気候変動対策として米国ではインフレ削減法において10年間で約3690億ドル(約50兆円)の国による投資支援を、EUは10年間で官民あわせて1兆ユーロ(約142兆円)の投資実現を表明しています。日本は両者に比べて遜色のない規模になっています。
 GX実現に必要な技術は日本にたくさん眠っています。特に化学や機械、自動車などのメーカーには大きなポテンシャルがあると期待しています。GXはコストも時間もかかりますし、すぐに結果が出るわけではありません。民間企業だけでは難しいこの分野に市場をつくり、投資を活性化させるのが私たちの役割です。企業に任せきりにするのではなく政策を通して後押ししていく考えです。
 また、経産省では「サステナビリティトランスフォーメーション」(SX)を進めています。長期的かつ持続的な企業価値の創造に取り組んでいる企業を選定する「SX銘柄」というものもつくります。投資家にこの部分に目を向けてもらって、市場のプレッシャーをもって多くの企業にSX経営を取り入れてもらおうということですね。
■スタートアップが日本を復活に導く
 ――新機軸ではスタートアップを重視しています。その理由を教えてください。
 私は以前から、スタートアップは日本経済にとって非常に大事であり、国として応援しなければいけないと思っていました。昨年「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、スタートアップへの投資額を2027年度に現在の10倍以上の10兆円規模にする目標を定めました。
 挑戦する企業がどんどん出てこないと、日本に新しいものは生まれません。ですから彼らが目の前にある課題に対して自由な発想で取り組めるような環境をつくることが大事です。
 そのためにも、人材も資金力も豊富な大企業がスタートアップと積極的にコラボレーションしていくべきだと思います。日本企業では研究開発を自社内で行う「自前主義」の文化が根強くあります。日本経済の復活には、社外組織と連携して、外から良い技術やアイデアを取り入れる「オープンイノベーション」が不可欠です。
 製薬業界など一部では大企業とスタートアップの連携が進んでいますが、もっと多くの業界に広がってほしい。われわれもオープンイノベーション促進税制などでこれを推し進めていきます。
 日本企業の中でイノベーションが生まれにくくなってしまったのには、90年代の新自由主義的な政策の影響もあるかもしれません。バブル崩壊で、企業は一気に保守化していった。リストラの嵐が吹き荒れる中で国が「自由に挑戦してください」と言っても、状況として難しかったんだと思います。このときにしっかり手を打つべきだったという思いがあります。
 だからこそ国が前に出て、民と一緒に社会課題の解決に向かって一緒になってやっていく新機軸に大きな意味があるのだと思います。
■「最大で最後のチャンス」を逃してはいけない
 ――新機軸の今後の展望について教えてください。
 新機軸のもう一つの柱は、日本の社会経済システムの基盤、つまりOSを組み替えることです。これは私たち経済産業省自身も同様です。
 「100点を取るまでやらない」という役所的な考え方のままでは、世界との差が開いていくばかりです。大事なことは走りながら考えること。新機軸ではEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング:証拠に基づく政策立案)の重要性を強調しています。失敗を恐れず、データを活用し政策効果を適宜検証しながら政策を進めていく必要があります。
 挑戦にはリスクが伴いますが、海外の国々はすでに企業に任せきりにせず、官民が一緒になって挑戦する新しい産業政策を進めています。日本が失われた30年を取り戻すには今が正念場。最大で最後のチャンスです。私たちはこの「新機軸」をもとに、国内投資の拡大、イノベーションの加速、国民所得の向上の3つの好循環を実現させ、日本を再び成長できる国にしたいと思っています。
 経済産業政策局長 飯田 祐二 構成=辻村洋子
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💫4}─1・③─人類・人間の身体は「星の爆発」から生まれた。〜No.25No.26No.27 

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 2023年5月14日 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「人間の身体は「星の爆発」から生まれた? 宇宙望遠鏡が教えてくれた「私たちはどこから来たのか」
 ESA欧州宇宙機関)が1999年に打ち上げたX線観測衛星「XMMニュートン」 (c)ESA - A. Van der Geest
 1960年代以降、人類は100機以上の宇宙望遠鏡を打ち上げてきた。そしていま現在も20機以上の観測機が軌道上にあり、宇宙の謎を解き明かすデータを日々大量に送り続けている。
 【図】星が発する電磁波の「波長の長さ」の違いとは?
 そもそも、なぜ望遠鏡を宇宙に打ち上げなければならないのか? それによって私たちは何を知ろうとしているのか? 国立天文台の縣秀彦氏に監修をいただいた拙著『宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙』から、そのヒントを紹介したい。
 私たちが星を観ようとするとき、それは夜に限られる。夜であっても天候が悪く、雲があれば見ることができない。また、揺らぐ大気によって星は瞬くため、望遠鏡を使用しても星の姿を鮮明に観測することは難しい。こうした制約から逃れる唯一の方法が、宇宙に望遠鏡を設置することだ。宇宙空間であればつねに星が観測でき、同じ光度で輝き続けるため、精度の高い観測が可能になる。
 宇宙から天体を観測するもうひとつの理由として挙げられるのは、「電磁波の性質」の活用だ。
 電磁波とは、医療機器にも使用される「ガンマ線」や「X線」、私たちの肌を痛める「紫外線」、ヒトが目で見ることができる「可視光線」、テレビのリモコンにも使用される「赤外線」、テレビやラジオに使用される「電波」に大別される。そして星々は、私たちが目視できる可視光線だけでなく、じつにさまざまな「光」や「電波」を発していて、これらを幅広く観測することで、その星の実体をより正確に知ることができるのだ。
 では、それぞれの電磁波は何が違うのか。「波長の長さ」だ。
 上のイラストを見ると、波長の短いガンマ線がいちばん左に描かれ、右にいくほど波長が長くなる。そして、宇宙から降り注ぐこれらの電磁波のうち、地上に到達しているのは主に「可視光線」と「電波」だけだ(マイクロ波は電波の一種)。つまり、それ以外のガンマ線X線、紫外線、赤外線の大部分は、大気に吸収されて地上に届かず、地上からは十分に観測できない。
 地上にも大型望遠鏡は数多くあるが、それらは「可視光線」を観測するための望遠鏡、または「電波望遠鏡」がほとんどだ。例外は、「近赤外線」。可視光線に近接する波長を持つ「近赤外線」は、可視光線に対して開かれた「大気の窓」をギリギリにかすめて地上に届く。そのため近赤外線を観測する望遠鏡も地上に建設されている。
 天文観測において、もうひとつ面白い法則がある。星が放つ光や電波などの電磁波を観測すれば、その星がどんな成分で出来ているのかがわかるのだ。
 ヒトの目に見える可視光線は、プリズムを通すと7色に分解できる。これを「分光」という。また、分光された光が虹のようにズラリと並んだものを「スペクトル」という。スペクトルが並ぶ順番はつねに決まっていて、その色の違いは、すなわち波長の違いを意味する。
 ここで重要なのは、可視光線が虹のように分光できるのと同じように、ガンマ線X線、紫外線、赤外線、電波もスペクトルに分解できるという点だ。
 宇宙望遠鏡に搭載された主鏡は、星が発する光(電磁波)をレンズで集める。その光を「分光器」(スペクトロメータ)で波長ごとに分解し、そのデータを地上局に送る。こうした一連の作業が、宇宙望遠鏡に課せられた主な役割だ。望遠鏡や分光器の仕組みは電磁波の種類によって異なるため、多くの機体においては「X線観測機」や「赤外線宇宙望遠鏡」など、特定の光を観測する専用機として開発されることが多い。
 天文観測においてこの分光が重要なのは、何万光年も離れた星が発した電磁波を分光することにより、その天体を形成する物質の種類、量、比率のほか、天体の表面温度などが把握できる点にある。また、地球から遠ざかる星は赤く、近づく星は青く見えるため、その光の波長を調べることで、星の運動さえ分析することができる。
 前述の国立天文台・縣氏監修の『宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙』では、これらを詳細に解説しているが、ここでは簡単に、星の成分について紹介したい。
 上のイラストは、ハッブルがとらえた「イータカリーナ星雲」のスペクトルを表したものだ。タテに白く見える線は「輝線」(きせん)と呼ばれ、とくに強い波長を示している。この輝線は、特定の物質によって生まれる。つまり、何万光年も離れた星が放った光を、分光器を通してスペクトルに分解し、どの波長が強く、どんな組み合わせで表れるかを調べれば、その星の構成元素を知ることができるのだ。このイータカリーナ星雲のスペクトルからは、Fe(鉄)やNi(ニッケル)が検出されていることがわかる。
 138億年前にビッグバンが発生したが、その際に生まれた元素は、水素(H)とヘリウム(He)と、ほんのわずかなリチウム(Li)とベリリウム(Be)などだけ。つまり、「水兵リーベ」の冒頭に並ぶ軽い元素だけだ。しかし、私たちの身体は、主に酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、カルシウム(Ca)などからなり、微量元素としては鉄(Fe)、フッ素(F)、ケイ素(Si)なども含まれる。こうした多様な元素は、どこで生まれたのか?
 ビッグバンで生まれた水素やヘリウムは、ガスやチリとなって宇宙を漂っていた。やがてそれらは重力によって集積し、その結果、星が生まれた。その内部では核融合反応がはじまり、水素からヘリウムが合成され、ヘリウムからは炭素が合成され、さらに炭素は酸素、そしてケイ素などへと変容し、最後は鉄(Fe)が生成されていった。
 その星が寿命を迎えて爆発すると、それら元素は拡散して宇宙を漂い、やがてその元素を材料にして、また新たな星が生まれる。こうした宇宙の営みが繰り返される間に、やがて生命が誕生した。つまり、私たちの身体は、かつてどこかに存在した恒星の内部で生成された元素でできているといえる。
 宇宙望遠鏡がはじめて打ち上げられた1960年代以降、新たな星や天文現象が、急速な勢いで次々と発見されてきた。しかし、それは単なる天体の発見に留まらない。歴代の宇宙望遠鏡の観測から得られたデータを詳細に分析することによって、私たちはいま、「地球はどのように生まれたのか」「宇宙はなぜ誕生したのか」「私たちはどこから来たのか」ということさえ、知ろうとしているのだ。
 (ライター 鈴木喜生/生活・文化編集部)
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