🐡9〗─1─中国人移民は水危機と食料不足の難民であった。自然破壊の気象兵器。〜No.35No.36No.37 

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 2022年9月5日 MicrosoftNews ダイヤモンド・オンライン「「中国の水問題」が危機的状況、世界的な食糧不足や移民増加の可能性も
 © ダイヤモンド・オンライン 提供 中国・重慶市で水不足の村人に水を届ける人たち Photo:Future Publishing/gettyimages
 水量低下と水質汚染
 深刻化する中国北部
 中国を代表する大河である長江の沿岸地域の住民と農作物・家畜が大干ばつによる影響を受けている。長江沿岸は中国では水の豊かな地域であるが、例年にない熱波もあいまって中下流地域の大部分で水不足が発生しており、本来は雨の多い9月に入っても安徽省湖北省湖南省江西省などで干ばつが進む見通しだという。
 『環境白書』(環境省)によれば、世界の年間水使用量は1950年から2000年の50年間で2.9倍に増えている。人口増加は25億人から60億人と2.4倍なので、水使用量の増加のほうが大きい。先進国では節水の工夫がなされるようになったが、今後新興国がさらに経済発展していけば、水使用量の増加ペースは増えることはあっても、大きく減ることはないだろう。
 ところが、生態系から水源として使える淡水の量は着実に減っている。そのため、私たちは水確保の問題とともに、生態系の維持という別問題にも対処しなければならなくなっている。
 この点で、最も深刻なのが中国だ。中国では淡水の減少幅が大きい上に水質汚濁が年々深刻化しており、生活用水として利用できる水の量が着実に減っている。向こう10年で中国の主立った地域で飲用水として使える水がなくなると主張する専門家もおり、中国の水問題は国家運営を揺さぶりかねないほど大きな問題になりつつある。
 現時点で、国民1人当たりが利用できる淡水の量は、中国は世界平均の4分の1にすぎないと考えられている。ただし、中国では南北格差が大きい。北部の1人当たりの量は世界平均の10分の1程度だと見られており、北部では水不足が常態化している(日本も世界平均の半分以下で、一般的に考えられているほど、水に恵まれているわけではない。日本においても水不足への備えは重要課題だ)。
 このことは、中国共産党においても克服すべき課題として毛沢東時代から意識されており、南部から北部に水を送る「南水北調プロジェクト」が長年進められてきた。生活用水や農工業用水の確保のために、中国ではわずか50年のあいだに8万5000という想像を絶する数のダムが建設された。そのおかげで長年中国を悩ませてきた慢性的な水不足が解消されて、農業灌漑はもちろんのこと、工業用水が確保できるようになり、「世界の工場」として世界第2位の経済力を手に入れることになった。
 だが、この急激な工業化が中国の水不足に拍車をかけることとなった。工場に必要な水だけではなく、資源開発にも大量の水が必要であり、発電においても石炭火力であろうと原子力であろうと大量の水が必要になる(ただし、多くの原発が海岸付近に作られて、海水を冷却水として利用している)。また、環境基準が甘いままに工業化を進めたために水質汚濁も急激に進み、飲用水にできる淡水もどんどん減っていった。
 ダム建設のために強制移住させられた住民は公式発表で3000万人にも上っている(実際はその倍はいるのではないかと主張する専門家もいる)。人民の生活向上のためとはいえ、伝統文化を抹殺された地域はかなりの数に上ると考えられる。
 さらに、ダム建設は新たな問題を生み出した。たとえば、中国北部を代表する大河である黄河はダム建設以降、水量が激減して、「中国北部の食糧庫」ともいうべき華北平原では農産物の育成期に水が手に入らない事態に見舞われた。
 農家は地下水のくみ上げでこれに対応した。地下水には、雨が流れ込む浅い帯水帯と、流れ込まない深い帯水帯の大きく二つがある。当初は浅い帯水帯からくみ上げていたが、それが足りなくなると深い帯水帯からもくみ上げるようになって地盤沈下が起こり、華北平原の「砂漠化」が進んでいる。
 水量低下とともに工業化による水質汚濁が進んだことで、住人の飲用水の地下水からのくみ上げが年々難しくなっている。それにもかかわらず、北京など大都市の人口は増加し続けているのである。
 活断層地帯にある
 三峡ダムのリスク
 常に渇水に悩んでいる北部と比べると、南部は水に恵まれている。黄河とともに中国を代表する大河である長江(揚子江)の流域は降雨量が比較的多く、人々は渇水より洪水に悩まされてきた。その長年の悩みを解消すべく建設されたのが三峡ダムである。
 長江の河北省流域にある三峡ダムは、世界一の規模を誇ると同時に、世界一の水力発電所を備えている。三峡ダムの建設は中国建国からの夢でもあったが、あまりの難事業であることと地盤の弱さなどのリスクの高さから何度も計画が頓挫した。結局、1993年に着工し、完成したのは、2009年のことだった。
 だが、水質汚濁や地盤の崩落、ダム湖への土砂の堆積などいくつもの課題を解決しないまま、1989年の天安門事件のあと、国家の威信をかけて建設が強行された。
 やがて反対派が懸念したとおり、土砂崩れや上流域の水質汚濁、下流域の海水の逆流による水質低下など、問題が多発した。特に水質低下は大都市の集まる下流域を直撃して、水が豊富な南部で皮肉なことに飲料水不足を起こす結果となった。しかも、2020年の中国大洪水では、三峡ダムが洪水の抑制にさほど役に立たなかった。
 三峡ダムの最大の懸念は、この地域が活断層地帯にあるということだ。もし大地震が直撃して三峡ダムが崩壊すると、その被害は人口が密集する下流域を直撃する。もし事が起これば、数億人に大きな被害を与えることは必至だ。
 北部と南部だけでなく、「西部」にあたるチベット地域についても問題がある。チベット高原は標高7000メートル級の山脈に囲まれた4000メートル前後の高原であるが、山脈からの雪解け水が黄河や長江をはじめ、南アジアや東南アジアへ流れる大河の水源にもなっている。また、地下資源にも恵まれており、中国政府は西部開発を国内開発の大きな柱に据えていた。
 2000年頃に始まる西部開発では、西部から沿岸部に電力を送る「西電東送」や、新疆ウイグル自治区東トルキスタン)の天然ガスを上海までパイプラインで送る「西気東輸」、青海省チベットを鉄道で結ぶ「青蔵鉄道」などの建設が進んだ。また先述の「北水南調」も西部に関わるプロジェクトである。
 開発が進むごとに、高層マンション建設などの宅地化や工業化が進み、チベット高原に住んでいたいくつもの少数民族が離散した。また、水がきれいだったチベット高原でも工場排水や生活排水によって水質汚濁が深刻化する一方で、温暖化によって水量低下が起きている。このままだと黄河や長江にも影響が出る可能性が高い。
 「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」の2007年の報告書では、ヒマラヤの氷河は早ければ2035年までに消滅する可能性があると指摘されている。
 この指摘には異論もあるが、いずれにせよ氷河が縮小しているのは間違いなく、これまで中国やインドを潤してきた大河の水量や水質に大きな影響を与える可能性がある。2030年までにチベット高原を基点とした深刻な水危機が起こる可能性は高まっていると見るしかない。
 中国の水危機が引き起こす
 世界的食糧不足と移民激増
 環境悪化と水使用量の激増によってひそかに水危機が進行していることを、中国政府は長年隠蔽(いんぺい)してきた(あるいは見えないふりをしてきた)。それどころか、中国政府は食糧自給率を上げるために農地を拡大し、かたや世界中から工場を誘致して水使用を激増させ、水質汚濁を進めて、使える水を積極的に減らしてきた。
 その結果、華北平原を含む長江以北の水不足が深刻さを増している。この地域には10億人が暮らしており、水不足がこれ以上深刻化すると、人民の生活に支障を来すのみならず、電力不足で産業の生産性が低下し、水を巡る抗議運動や争いが頻発する可能性がある。
 また、中国の農産物などの生産量が激減すれば、中国国内にとどまらず、世界的な食糧不足に発展しかねない。たとえば、世界一の小麦生産量を誇る中国で水危機が起こって小麦生産が激減すれば、世界で小麦の争奪戦が起こり、途上国で飢饉が起こる可能性がある。
 また、中国の電力の65%以上を工業施設が使用していることを考えると、電力不足によって世界のサプライチェーンが混乱することはもちろん、工場の操業を進めるために中国各地で計画停電が実施される可能性もある。そうなれば、住人の生活に支障を来し、コロナ禍の行動制限以上の悪影響を半永久的に与えかねない。
 そのような条件下で、中国共産党がこれまでどおり人民を支配することが可能なのだろうか。人民がこれまで水危機を隠蔽してきた当局に対して反発心と不信感を強めるのは間違いなく、それが「中国共産党への抗議活動」に発展する可能性は決して小さくはないだろう。
 さらに懸念されるのが、水不足が解消不可能と悟った人民が「水難民」として国外脱出をはかることだ。10億人が水危機で生活困難になり、大量の移民が出るとすれば、日米には中国から莫大な数の移民希望者が押し寄せる可能性がある。
 とくに中国資本に買われている北海道は、中国人が住みたいと思っている地域だといわれており、最初に狙われることになるだろう。そもそも、中国資本による北海道の土地買収、とくに水源を含む土地の買収は、中国の水危機と無関係なものなのだろうか。
 中国の水危機は「対岸の火事」ではなく、日本を含む世界の危機でもある。これから備えておくに越したことはない。
 日本政府は中国からの移民や難民をどれくらい受け入れるつもりなのか。あるいはきっぱりと拒否するつもりなのか。まずはその点を明確にして、対策を考えるべきである。
 (評論家・翻訳家 白川 司)」
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 9月4日 MicrosoftNews 現代ビジネス「習近平が、ついに「禁じ手」…! 中国の「人工雨」と「地球環境破壊」の“ヤバすぎる真実”
 藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェロー
 プロフィール
 世界で同時多発的に厳しい干ばつ被害が起きている中で、いま中国が観測史上最悪の熱波に見舞われている。そんな中国で最も深刻な打撃を受けているのは中部と南部を流れる長江流域で、約4億5000万人が生活している長江流域では、今夏に70日以上にわたって異常な高温と雨不足に襲われた。
 中国の農業生産の3分の1を支える長江流域の不調は中国全体の食糧危機に直結すると言っても過言ではない事態にあって、ここへきて中国がとんでもない「対策」に出始めた。それはなんと「人工降雨」を降らせるというもの――。
 当然、気候を人工的に操作するために計り知れないリスクや影響が出る可能性もある。いまいったい、何が起きているのか。そしてリスクは……? その最前線をレポートしよう。
 「人工降雨」を降らせる photo/gettyimages
 中国で、まさか「人工降雨」で連日の豪雨…!
 危機感を高める長江流域の地方政府は、長引く干ばつの影響を緩和するため、人工的に雨を降らせる取り組みを開始した。
 その先鞭を切ったのは例年に比べ50%以上も降水量が減った四川省だ。
 四川省は8月25日から29日にかけて人工降雨の取り組みに着手したのだ。
 6000平方キロメートルに及ぶ範囲で大型ドローン2機がヨウ化銀を雨雲の中に散布した結果、「恵みの雨」が降ったが、皮肉なことに今度は連日の豪雨で洪水の発生が警戒されている。
 「ヨウ化銀」をばらまく…
 雲の中にヨウ化銀を散布し人工的に雨を降らせる技術は、クラウドシーデイング(雲の種まき)と呼ばれている。雲の中に雨粒の種となるヨウ化銀をばらまき、周囲の小さな水の粒を集めて大きな雨粒に成長させ、雨を降らせるというものだ。
 ヨウ化銀を使って雨を降らせる技術は、1960年代に米国のゼネラル・エレクトリックの化学者によって発明された。
 対空砲を使用する中国の「人工降雨」 Photo/gettyimages
 中国は早くからこの技術に注目し、その習得に熱心に取り組んできた。北西部の広大な乾燥地帯にこの技術で雨を降らせ、耕作地を拡大することが狙いだった(2001年から実施された「西部大開発」の原動力となった)。
 2008年の北京五輪で開会式の降雨を回避するために、中国政府がヨウ化銀を積んだ多数の砲弾を発射して周辺地域に人工的に雨を降らせたことでその存在は一躍有名となった。
 世界規模での気候危機が今後も多発することが予想される中で、大規模な工学的手法で猛暑や干ばつに対処する必要性が生じているが、クラウドシーデイングを始め気候改変技術の利用に伴うリスクを十分に考慮しなければならないのは言うまでもない。
「人工降雨」、本当に大丈夫なのか?
 まず、第一に挙げられるのは人体や環境への悪影響だ。
 ヨウ化銀から発生する有毒な銀イオンが生態系を汚染し、人体を脅かす懸念がある。中国政府は「使用されるヨウ化銀の量はわずかであり、人体などに害はない」としているが、1回に散布されるヨウ化銀はわずかでも、特定の地域で繰り返しこの技術が使用すれば、安全な基準値を超える可能性は十分にある。
 この技術はトータルの降水量を変えることはできないことから、ある地域に人工的に雨を降らせると、それによって周辺地域で降水量が減るという問題もある。
 異常気象は「気候改変技術」が影響しているのか Photo/gettyimages
 中国政府は「天候に影響を与えるのは短時間で非常に限定的である」と説明しているが、ここ数年、夏の豪雨災害に悩まされてきた中国が、今年は一変して極端な雨不足となっている。筆者は気象学の専門家ではないが、気候改変技術の濫用が大本の原因なのではないかと思えてならない。
 「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきが米テキサス州で竜巻を引き起こす」というバタフライ効果が指摘される気象の世界では、わずかな人為的介入によって状態が激変することがありうるからだ。
 「偏西風の蛇行」に影響か…?
 21世紀に入り、世界で異常気象が多発しているが、その共通の原因は偏西風(北半球の上空を西から東へ吹くジェット気流)の蛇行だ。高気圧や低気圧の移動に大きな影響を与える偏西風が大きく蛇行することで世界各地に異常気象が発生している。
 偏西風の蛇行の原因は解明されていないが、中国の気候改変技術が影響しているのかもしれない。その導入の規模があまりにも巨大だからだ。
 中国政府は2012年から大量の資金を投入して気候改変プログラムの開発に取り組み、「2025年までに気候改変プログラムの対象地域を550万平方キロメートルに拡大する」との方針を明らかにしている。550万平方キメートルという規模は中国の国土面積の5割以上であり、日本の国土面積の10倍以上に相当する。
 中国南昌市の贛江の水も干上がった… Photo/gettyimages
 米軍がベトナム戦争で人工的に雨を降らせる作戦を展開したことが問題となり、1978年に「軍事的又はその他の敵対的な気候改変技術の使用禁止に関する国際条約」が発効した。
 中国もこの条約を2005年に批准したが、軍事目的ではない同国内の気候改変技術の利用にはまったく歯止めがかかっていないのが現状だ。
対岸の火事では済まされない
 気候変動が中国国内にとどまるのであれば「自業自得」だろう。
 が、世界全体の気候へ悪影響を及ぼしているのあれば「対岸の火事」では済まされない。
 中国の「気候改変技術」について、野放しにしていていいのだろうか。Photo/gettyimages
 日本を始め世界の関係機関は中国の気候改変技術についてノーマークのようだが、その動向把握にもっと真剣に取り組むべきではないだろうか。
 さらに連載記事『三峡ダム「大崩壊」の原因…? 中国政府がひっそり仕込む「気象兵器」のヤバすぎる中身』では、そんな中国の“気象兵器”をめぐる最前線をレポートしよう。」
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 日本民族とは、数万年前の旧石器時代縄文時代からの歴史・文化・伝統・宗教・言語・風土そして生活習慣を同じくする日本列島の住人である。 
 乱暴に言えば、日本人とは日本列島に住む人間であり、人種や民族に関係なかった。
 何故なら、日本民族・日本人とは、日本列島に流れ着いた・逃げて来た人種・民族、言語、宗教、その他一切に関係ない弱者、気候変動による難民(たとえば飢餓)、政争・戦争の負け組(敗北者、逃亡者、犯罪者、亡命者)、その他が乱婚を繰り返して生まれた混血の雑種だからである。
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 日本民族は、数万年前の旧石器時代(岩宿時代)・縄文時代にしろ、数千年前の弥生時代古墳時代にしろ、中国大陸や朝鮮半島に恩義を感じる必要はない。
 何故なら、渡来人とは、日本人のたっての願いで来てもらったのではなく、勝手に逃げて来た難民や敗者・亡命者・逃亡者・犯罪者などの弱者であったからである。
 当然の事ながら、現代の中国人や朝鮮人は昔の中国人や朝鮮人の子孫でもなければ血の繋がらない全くの別人である以上、日本人はことさら卑下して現代の中国人や朝鮮人に感謝する必要はない。
 むしろ、日本列島は中国大陸や朝鮮半島から感謝されて当然である。
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⛻20〗─1─「日本の鉄道」はもはや途上国レベル?「日本の鉄道は世界一だ」は昔の話。~No.97 

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 2022年9月11日 MicrosoftNews Merkmal「「日本の鉄道」はもはや途上国レベル? 国鉄解体の功罪、鉄路・技術も分断され インフラ輸出の前途も暗い現実
高木聡(アジアン鉄道ライター)
 「日本の鉄道は世界一」なんて本当か
 2022年の夏も、いくつかの鉄道路線が豪雨災害等で被災した。そして、これらが果たして「鉄道」として復旧されるのかと言えば、かなり雲行きが怪しい。
 【画像】かっこいい! 配色がイケてるタイの最新メトロ「バンコクMRT」を見る(6枚)
 災害を理由に鉄道が復活せず、そのまま廃線となることが今や一般化しつつある。地球温暖化を背景にした異常気象により、被害が甚大化しているという面も否めないが、それ以上に、過疎化の進行、利用者の減少で、鉄道というインフラが時代にそぐわないものになってしまったという方が大きいだろう。
 しかし、一方で、国はいまだに
 「日本の鉄道は世界一だ」
 「鉄道大国だ」
 などとのたまっている。
 災害の度に鉄路が失われていく状況だけを見れば、発展途上国レベル、いや、それ以下と言っても過言ではない。そんな状況で、よくも日本の鉄道システムを世界に輸出しようなどと言えたものだ。
 もっとも、日本の鉄道が基本的に独立採算を前提にしている以上、費用対効果を考えれば仕方のないことではあるが、さかのぼれば、国鉄民営化以来、いわゆるローカル線区を中心とした在来線に投資がなされず、開業以来の古い遺構を使い続ける災害に弱いインフラになり果ててしまった。
 筆者(高木聡、アジアン鉄道ライター)は国鉄解体そのものを批判しているわけではなく、解体自体は
 「必要だった」
 と考えている。問題は、分割民営化のやり方だ。
 結果、国土の骨格たる鉄路を守ることができなかった。地域ごとに鉄路は分断され、整備新幹線開業による並行在来線化でそれはますます顕著になっている。災害が起きずとも、既に日本の鉄道はズタズタだ。
 一見、線路はつながっているように見えても、JR各社のみならず、最近は路線ごとに別々の信号やオペレーションのシステムを有し、国鉄型車両が減少し、各社独自設計のものが増えた結果、各線を相互に乗り入れることも難しくなりつつある。そして、このことは鉄道システムの海外輸出に対しても悪影響を及ぼしている。
 解体で車両「カタログ販売」不可能に
 © Merkmal 提供 ジャカルタ首都圏の国電区間に導入された通称Rheostatikと呼ばれるVCW800・MCW500。登場時の前面窓は3分割されており、より103系らしく、性能は113系と同等(画像:高木聡)
 国鉄解体により、日本は世界に向けて、車両のいわゆる「カタログ販売」ができなくなってしまった。仮に国鉄時代であれば、0系新幹線を日本が誇る商品として世界に売り込むことができただろう。
 しかし、今、国を挙げてN700系新幹線を売り込もうものなら、大問題になる。JR東海が黙ってはいないだろう。つまり、民営化以降のJR各社の車両は、いわば各社が
 「それぞれ版権を持っている」
 状態だ。
 だから、車両メーカーないし、国は、これをそのまま「良い製品ですよ」と売り込むことができなくなった。事実、1980年代以前の車両輸出では、国鉄車両設計事務所が大きく関わっていた。
 この時代には国鉄と車両メーカー、また親方国鉄の下で、車両メーカー同士の横のつながりも強かった。原設計は国鉄型車両となる例が多く、そこから要求仕様、使用環境に合わせカスタマイズされた車両が輸出された。インドネシアには103系113系を足して2で割ったような電車(VCW800、MCW500)や、キハ40とキハ58を足しで2で割ったような気動車(MCW301、MCW302)が登場した。また、ボリビアコンゴ民主共和国のEF81のような機関車、スペインのEF66似の機関車はあまりにも有名だ。
 このような例は枚挙にいとまがない。ただ、1990年代以降、日本の新製車両輸出は減少した。中国、韓国の台頭で、日本の競争力が相対的に落ちたと言われるが、少なからず国鉄解体も絡んでいると筆者は考えている。
 国としての技術が各社に散逸してしまった。そして、車両を製造するだけのメーカー、運営やメンテナンスまでシステム全体をマネジメントするJR各社という分断が発生した。しかも、JR各社ですら、規格やシステムがバラバラになってきている。つまり、日本はナショナルスタンダードを失ってしまったと言える。
 海外向けに製造する余力がない日本
 © Merkmal 提供 日本の都市鉄道をほぼそのまま輸出する初の事例になったジャカルタMRT。STRASYAはE231系を元に設計されている(画像:高木聡)
 しかし、それではマズいということで、2000年代に入り、主に首都圏の車両に用いられる「通勤・近郊型標準仕様ガイドライン」に準じた、「アジア向け都市鉄道標準仕様(STRASYA)」が官民の連携により策定されることになった。要するにメーカー各社で共通のモジュールを持つようになったわけだ。
 ただし、同時期に各メーカーは別々のブランド(J-TRECのsustina、川崎車両のefACE等)を持ち始め、これを海外向けでも展開するようになっており、STRASYAの名称を用いたのは日本車両製のジャカルタMRT向け車両のみだ。
 その日本車両も、2021年からは自社ブランドとしてN-QUALISの名称を採用しているため、STRASYAの名称は自然消滅していくだろう。そもそも、STRASYA自体、その名が示す通り、冷房能力の強化や、メンテナンスが容易な機器構成といった東南アジア向けを前提とした特徴がある一方で、「狭軌・架空線方式・軽量ステンレス・車体長20m」という程度の漠然としたモジュールにすぎない。まさに、
 「総論賛成、各論反対」
 と言ったところだ。
 これは他のブランドにも言えることで、例えば、「sustinaと言えばコレ」といったものではない。静岡鉄道のA3000形も、相鉄12000系も、京急新1000形1890番台もsustinaだ。ブランド名が付いたのは一歩前進かもしれないが、カタログ販売、つまりメニューブックに載っている商品を選び、ひとつのモジュールをカスタマイズしていくという世界の潮流(シーメンスのモジュラーメトロなどが代表例)からは外れていることに変わりはない。
 メニューに「国産黒毛和牛」とだけ書かれていても、お客は困ってしまう。要するに、日本が具体的に何を売りたいのかが見えてないという不満が生まれる。そして、ゼロから調理するので納期が長い。さらに、通勤型電車以外の車種、気動車や機関車となれば日本国内ですら需要がないなかで、ほとんど競争力がない、いや海外向けに製造する余力、技術がないと言った方が良いかもしれない。
 中国案を採用したインドネシア
 © Merkmal 提供 9月2日にインドネシアに陸揚げされた中国中車製の高速鉄道車両、CR400AF(画像:高木聡)
 さて、先日、ジャカルタ~バンドン高速鉄道向けの1号編成が中国からインドネシアに到着した。インドネシアが日本案ではなく、中国案を採用したことに、日本政府は大いに怒ったと言われているが、負けは負けだ。
 そもそも、国家プロジェクトに入っていない(日本から借金までして作る気はない)ものを、無理やり日本が押し付けたわけで、実質政府負担のない中国案が採用されたのは当然のことだ。
 それはさておき、導入された車両は中国国鉄の最新の高速車両CR400AF「復興号」そのものだ。仮に日本が受注していたとして、日本の新幹線を果たしてそのまま輸出できただろうか。
 先述の通り、新幹線の技術を持っているのは民間企業であるJR各社だ。国はまずJRを説得するところから始めることになる。しかも、そのまま輸出するには、日本の新幹線はあまりにもコストが高すぎて、政府開発援助(ODA)で持ち込まれるような案件には通用しない。だから、JR東海はそもそも海外ODA案件には決して手を出さない。かといって、時期的にJR東日本はインド新幹線案件に相当のマンパワーを割いており、インドネシアどころの話ではなかった。結果的に中国案が採用されて良かったという関係者の声が大きいのも事実だ。
 「鉄路先行交通強国」とは中国政府のうたい文句であるが、こんな勇ましいスローガンを打ち立てる国に、今の日本が勝てるわけがない。日本国内の鉄道の疲弊具合を見ていれば、一目瞭然だ。
 コロナ禍を機に、日本国内の鉄道はさらに「見直し」が進んでいるが、鉄道会社任せ、地方自治体任せで国の積極的な介入が見られない。それどころか、線路を剥ぐこと、細分化していくことしか考えていないように見える。
 国鉄解体時に、
 「ローカル線もなくならない」
 「長距離列車もなくならない」
 と約束した政府与党自民党は、今こそ全国ネットワークとしての鉄道に対してしかるべき責任を取るときだ。死人に口なしとは言うが、反共・勝共の名の下に、日本規格の鉄道システムをアジアに展開するという崇高な理想を掲げる前に、まず自分の足元を見たらどうか。
 鉄道インフラ輸出に苦難が訪れるとき
 © Merkmal 提供 世界中の都市に導入されているシーメンス製モジュラーメトロ。写真はタイ、BTS/MRT(画像:高木聡)
 全国ネットであってこその鉄道だ。それが失われれば、優位性は大きく劣ることになる。結果、JR境界をまたぐ列車が激減し、会社間を複数またぐ貨物列車の運行の弊害にもなっている。そして、新幹線から物理的に切り離された地方線区は単なるお荷物になってしまった。
 鉄道ネットワークが分断されただけでなく、国を代表する鉄道会社が不在なのが今の日本の状況だ。ただでさえ、小さな島国で、どうして規格が統一されず、こうもバラバラなのか。こんな状況では、世界に売り込めるものも売り込めない。
 日本の少子高齢化はどうあがいても止めることができないなか、大量輸送機関としての鉄道を維持するには、鉄道インフラの海外輸出、あるいはインバウンド観光客の呼び込みという2択に迫られる。いずれにせよ、国の骨格をなす、強い鉄道を国の責任の下に再構築することは急務だ。
 同時に、行き過ぎた合理化で、鉄道のシステムが誰でも扱えるように簡素化された。結果、鉄道技術を知る人材が大きく減った。今、海外鉄道プロジェクトの最先端に立って活躍し、欧州を中心とした若い専業の鉄道コンサルと戦っているのは、国鉄OB、また、国鉄時代のメーカー技術者たちだ。彼らは世界に通用する高い技術力を持っているだけでなく、会社を越えた幅広い人脈を持っている。これこそが、真のオールジャパンだ。
 しかし、当然ながら高齢化は深刻だ。健康上の理由で、海外に渡航できなくなってくる人もいるし、皆、そう遠くない将来、引退せざるを得ない。国鉄時代に鍛え上げられた鉄道マンがプレーヤーから去ったとき、日本の鉄道インフラ輸出にとって本当の意味での苦難が訪れるのだ。」
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📉97】─1─スマホの悪影響、脳の認知機能が低下の研究結果。〜No.220No.221 

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 スマホ脳。
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 2023年8月29日 MicrosoftNews NEWSポストセブン「スマホの影響 米では机の上に置いてあるだけで脳の認知機能が低下の研究結果
 © NEWSポストセブン 提供 スマホの長時間使用は、睡眠の質も落とす
 子供の頃、親に「テレビばかり見ていると頭が悪くなる」と言われたことがある人は多いだろう。だが、一方的に情報が送られてくるテレビよりも、24時間休みなく双方向に情報が行き来するスマホの方が、脳に与えるダメージは大きい。スマホ依存防止学会代表の磯村毅さんによれば、スマホはテレビの4倍も脳を興奮させるという。
 【グラフ】「1日4時間スマホを使う子」は成績が落ちるを示したグラフ
 「画面にタッチすると反応があるスマホは、脳にとって極めて強い刺激になります。実際にアメリカの研究者が800人を対象に行った研究では、スマホを触らなくても、机の上に置いてあるだけで意識が引っ張られ、脳の認知能力が低下しました」(磯村さん)
 スマホで使える多くのアプリの中でももっとも危険度が高いのが、LINEやTwitterなどのSNSだ。絶えず通知が来る設定にしていると集中力が削がれ、学力にも悪影響を与える。東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太さんが言う。
 「スマホで動画を見たり調べものをしているときにLINEの通知が来ると、中断してメッセージを確認しようとします。この『スイッチング』が極端に集中力を下げることがわかっている。SNSは、その存在自体が子供の集中力を下げるのです」(川島さん・以下同)
 スタンプ1つで返事ができるLINEや140文字までしか投稿できないTwitter、15秒〜3分のショート動画が延々と再生されるTikTokなど、インスタントなコミュニケーションやコンテンツが当たり前になると、社会生活において重要な読解力や、人の気持ちをくんで対話する能力が養われなくなる恐れもある。
 「同じ文章でも、紙ではなくデジタルデバイスで読むと理解度が低くなるという研究があります。スマホを使いすぎると脳が働かず、さまざまな事象や因果関係を読み解く理解力が身につきません。
 昔と比べて運動する機会が減り、デジタル機器にどっぷり浸かっているいまの子供たちは、高齢になってからアルツハイマー認知症になるリスクが上がるという予測もある。いまの子供たちが大人になる頃には、認知症発症年齢が下がっているかもしれません」
 事実、アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、自分の子供には決してスマホを使わせなかった。デジタル端末を使い続けると脳の発達が止まり、対人関係にも支障をきたす可能性があることを知っていたのかもしれない。
 「Facebook(現・メタ)社は、特に10代の少女がInstagramを使用することで、うつや摂食障害希死念慮などの精神的な問題を抱えやすくなるという調査結果を隠ぺいし、アメリカやイギリスで大きな社会問題となりました。
 また、コロナ禍になってから、アメリカやヨーロッパでは体がけいれんしたり突発的に声が出たりするチック症を抱えた10代の少女が急激に増えました。10代の少女のチックは珍しいため、各国の医師が調査したところ、日本でも若年層に絶大な人気を誇るTikTokを日常的に使用していたという共通点が明らかになりました」(磯村さん)
 とはいえ、スマホタブレットはいまや子供の生活に欠かせず、学習にも当たり前に使うもの。だからこそ、大人がスマホとの正しい距離感や、適切な使い方を示す必要がある。川島さんは、子供の行動は親の鏡だと話す。
 「親が家でずっとスマホを見ていれば、子供は当然、そのまねをします。せめて、食事中や家族の団らん中はスマホを見ないなど、ルールをつくり、家族全員でそれを守ってほしい」
 ※女性セブン2022年9月8日号」
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💫4}─3・E─恐竜滅亡に第2の小惑星衝突が関与か 西アフリカに痕跡。〜No.31No.32No.33 

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 2022年9月5日 MicrosoftNews 日本経済新聞「恐竜滅亡に第2の小惑星衝突が関与か 西アフリカに痕跡
 小惑星衝突の断面図。約6600万年前に現在のメキシコ沖に衝突してチクシュルーブ・クレーターを形成した小惑星は、当時生息していたすべての生物種の4分の3を絶滅させた。このほど西アフリカの海岸で新たな衝突クレーターらしき構造物が発見され、大量絶滅の物語に新たな展開がもたらされた可能性がある。(ILLUSTRATION BY CLAUS LUNAU, SCIENCE SOURCE)
 今から約6600万年前、地球上の生命の歩みは永遠に変わってしまった。メキシコのユカタン半島の海岸に直径10キロメートルの小惑星が激突したからだ。
 大津波が押し寄せ、大地は燃え広がり、岩石の蒸発によって放出されたガスは気候を激しく変動させた。これらの天変地異により、ほとんどの恐竜(非鳥類型の恐竜)を含む全生物種の約75%が絶滅した。
 ところが、小惑星の衝突はこれだけではなかったのかもしれない。西アフリカの海岸の砂の層の下に、別の小惑星が衝突した証拠らしきものが隠されていたのだ。
 8月17日付けの科学誌「Science Advances」に発表された研究によると、海底の地震探査を行っていた科学者たちが直径8.5キロメートルのクレーターらしき構造物を発見したという。近くの海底火山にちなんで「ナディール」と名付けられたこのクレーターは、直径400メートル以上の小惑星の衝突によって形成されたと考えられ、その形成時期はメキシコ、ユカタン半島の「チクシュルーブ・クレーター」と同時期である可能性がある。
 今回の論文の著者である米アリゾナ大学の惑星科学者ベロニカ・ブレイ氏は、「チクシュルーブの小惑星の衝突が非常に激しいものだったのは本当ですが、地球全体にあれほど大きな影響を及ぼしたのはなぜなのかと、多くの研究者が疑問に思っていたのです」と言う。「何らかの助けがあったのかもしれません」
 ナディールを作った小惑星はチクシュルーブを作った小惑星に比べるとかなり小さく、その影響は局地的なものだったと考えられている。しかし研究者たちは、ナディールが衝突クレーターであることが裏付けられれば、白亜紀末の地球に小惑星がワンツーパンチを与えた可能性があると主張する。地球に衝突したこれら2つの小惑星はもともとは1つの天体で、地球の大気に突入する前に2つに分裂し、約5500キロ離れた2つの地点に相次いで衝突したのではないかとする説もある。
 このクレーターが形成された年代や正体、そしてチクシュルーブ・クレーターとの関連性を確認するためにはさらなる分析が必要だが、科学者たちは慎重な姿勢を保ちながらも新たな衝突クレーターの解明に期待を寄せている。
 地球は地殻変動がさかんに起きているため、古代の小惑星衝突に関する記録はほとんど残っていない。地表の多くの部分が、地中深くのマントルへ沈み込んだり、新たな火山岩が敷き詰められたり、氷河の移動によって削られたりしているからだ。現在、地球上で確認されている衝突クレーターは200個程度しかなく、科学者たちは、小惑星の衝突が太古の地球にどのような影響を及ぼし、地球の未来にどのような役割を果たすのか、十分に理解することができずにいる。
 「地球は衝突クレーターを壊すのが得意なのです」と、米ウィノナ州立大学の実験地質学者ジェニファー・アンダーソン氏は言う。「地球は地質活動が活発なので、新たな衝突クレーターの発見はどんなものでも重要です」
 衝撃の発見
 多くの発見がそうであるように、今回の新しいクレーターも偶然に発見された。英ヘリオット・ワット大学の地質学者ウィスディン・ニコルソン氏は、今から約1億年前に南米大陸がアフリカ大陸から分離した過程を再構築することに興味を持っていた。
 その手がかりを得るため、ニコルソン氏は企業の協力を得て地震データを取得し、南米大陸とアフリカ大陸の間の海底の特徴を調べた。地震波が地中でどのように跳ね返るかを追跡することで、地中の様子が分かるのだ。分析を始めるとすぐに、ニコルソン氏は奇妙なものに気づいた。
 地震探査の専門家であるニコルソン氏は、周囲の高密度の岩の間から盛り上がってきた岩塩ドームなど、地層に凹凸を作る地形のデータを数多く見てきた。しかし、彼の目の前のデータのゆらぎは、もっと激しい現象を暗示していた。「あんなものは見たことがありませんでした」
 ニコルソン氏は、ブレイ氏をはじめとする他の科学者に連絡をとり、これは衝突クレーターではないだろうかと聞いてみたところ、全員が彼の意見に同意した。その構造物は盛り上がった縁(リム)に囲まれたくぼみで、中央には衝突クレーターによく見られる高い丘があった。
 研究チームはこの構造物の形と大きさを分析し、形成過程のモデルを作った。その結果、このクレーターは、直径400メートルの小惑星が大気圏を突き抜けて秒速20キロメートルの猛スピードで海面に衝突してできたものであることがわかった。「海に飛び込んだ小惑星は、そこに何もないかのように水中を突進していったことでしょう」とブレイ氏は言う。
 研究チームは、この衝突によりTNT火薬5000メガトン分のエネルギーが放出され、すぐ下の海水と海底の地層は一瞬にして蒸発しただろうと推測している。続いて衝撃波が海面に広がり、岩石は衝撃変性作用により液状に融解する。数分もしないうちに海底が再び盛り上がって中央に山を作り、崩れ落ちる。最終的に、真ん中にお椀のようなくぼみのある丘ができる。今回アフリカの西海岸で発見された構造物と同じ形だ。
 この地域の堆積物層とほかの地域の年代測定試料との相関関係から、研究チームはこの構造物が約6600万年前に形成されたと推定している。チクシュルーブ・クレーターの形成時期に非常に近い時期だ。
 ワンツーパンチだった?
 ナディールの衝突が環境に及ぼした影響を研究することは、将来の小惑星の衝突が地球に及ぼす影響の理解に役立つはずだ。ナディール・クレーターを形成した小惑星の大きさの推定値は、小惑星ベンヌと同程度である。ベンヌは地球に衝突する可能性が最も高い小惑星の1つで、今後300年以内に地球に衝突する確率は1750分の1と見積もられている。ベンヌが地球に衝突した場合の被害は大きく、数百キロメートルの海岸線に津波が襲いかかることだろう。ブレイ氏は「都市を1つか2つ消滅させるのに十分な大きさです」と言う。
 今回の発見が、チクシュルーブの小惑星衝突やその後の大量絶滅に対する私たちの理解にどのような意味をもつかは、まだわからない。直径400メートルの小惑星の衝突によって放出されたエネルギーと、それが環境に及ぼした影響は、直径10キロメートルのチクシュルーブの小惑星の衝突とその後の地球規模の大異変に比べればはるかに小さいものだっただろう。
 「レベルが全く違います」と今回の論文を査読したドイツ、ノイウルム応用科学大学のマルティン・シュミーダー氏は言う。
 しかし、ナディールの衝突は、すでに荒廃していた生態系に「追い打ちをかけた」可能性があるとブレイ氏は言う。今回のクレーターのほかにも、ウクライナのボルティッシュ・クレーターという衝突クレーターは6540万年前のもので、チクシュルーブ・クレーターよりもわずかに新しいと、研究チームは指摘している。
 彗星や小惑星の破片がクラスター的にまとまって衝突する現象は、地球でも他の天体でも知られている。例えば、アンダーソン氏が住んでいる米中西部の近くには、約4億6000万年前にできた3つのクレーターがある。これらはオルドビス紀に相次いだ小惑星衝突の一部で、科学者たちは、小惑星帯で大規模な衝突が起きた結果、多くの隕石が数百万年にわたって地球に降り注いでいたのかもしれないと考えている。
 先述のとおり、地球には古代の小惑星衝突に関する記録はほとんど残っていないため、クラスターを特定することは困難だ。シュミーダー氏によれば、ナディールのような規模の衝突は10万年に1回程度の頻度で起こるものなので、「基本的にいつ起こってもおかしくない」という。
 ナディール・クレーターの形成過程を解明するためには、さらなる研究が必要だ。
 研究チームは、ナディールの地層を掘削し、衝突の衝撃で溶融し、崩壊したと思われる岩石とクレーターの上の堆積物層のサンプルを採取するための緊急資金を申請している。埋もれた構造物の上に厚く堆積した砂と泥の層は、クレーターの特徴を保存しているだけでなく、衝突から間もない時期の海洋生物の状態を明らかにしてくれる可能性がある。その知見は、地球に小惑星が衝突したときに起こることに関する新たなデータの宝庫となるだろう。
 「けれどももちろん、掘削が実現しないかぎり、それらを知ることはできません」とブレイ氏は言う。
 文=Maya Wei-Haas/訳=三枝小夜子(ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2022年8月19日公開)
 ※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
 竹内薫
 サイエンスライター
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 ひとこと解説「『ナディール』と名付けられたこのクレーターは、直径400メートル以上の小惑星の衝突によって形成されたと考えられ、その形成時期はメキシコ、ユカタン半島の『チクシュルーブ・クレーター』と同時期である可能性がある」。本文にあるように、地球は地殻変動のせいで古代のクレーターが隠されてしまいます。今回の発見も偶然だったようですが、もしかしたら、恐竜絶滅の際もたくさんの小天体が地球に衝突したのかもしれませんね。それにしても、地球生命が生き残るのは大変なことなのだと、改めて思いました。
 2022年9月5日 12:04 (2022年9月5日 13:26更新)
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🍙44〗─3─高度経済成長は「日本人の努力の賜物」ではなく「幸運な偶然」だった。~No.265 

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 人生50年時代は人口爆発期であり、貪欲・派手・豪華な若者が多く無欲・地味・質素な老人が少ない。
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 2022年9月6日 YAHOO!JAPANニュース ニューズウィーク日本版「高度経済成長は「日本人の努力の賜物」ではなく「幸運な偶然」だったと認めよう
 <過去の成功がなぜもたらされたのかを、正しく認識することから「経済再生」を論じないから失敗する。「必然」の成長は過去ではなく、未来にある>【加谷珪一(経済評論家)】
 FUJIFOTOS/AFLO
 2022年4~6月期のGDP(実質、季節調整済み)は、年率換算でプラス2.2%となり、ようやくコロナ前の水準を超えた。だが、国内で生み出された所得であるGDI(実質)は年率でマイナス1.2%となっており、輸入物価の上昇によって、国民生活が苦しくなっていることを示唆する内容だった。
●日本だけ給料が上がらない謎…その原因をはっきり示す4つのグラフ
 政府は長年にわたって経済を回復させる処方箋を探ってきたが、うまくいっているとは言い難い。アベノミクス期間中の実質GDPの平均成長率は0.9%だが、大規模な財政出動を繰り返した橋本・小渕政権時代は0.9%、小泉構造改革時代は1.0%、民主党政権時代は1.5%と、どの政権も大差がない。財政、金融、構造改革のいずれも十分な効果を発揮しなかったことが分かる。
 多くの日本人は、戦後の高度成長は「必然」だったと考えており、各政権もこれを大前提に経済再生の処方箋を描いてきた。だが、この前提条件が必ずしも成立しないのだとしたらどうだろうか。
 安倍晋三元首相は「日本を取り戻す」と主張して首相に就任したが、取り戻すべき過去が「偶然」の産物なのだとすると、考え方を変える必要が出てくる。
■戦後日本は「ゼロからのスタート」ではなかった
 日本は戦後、ゼロから経済をスタートさせたと言われる。だが、現実問題としてゼロの状態で成長を実現することはできない。製品を製造するためには、生産設備を整え、原材料を輸入する必要があり、そのためには、まずは外貨が必要となる。
 戦争によって全てを失った日本には外貨がなく、他の貧しい国と同様、高い金利を払って外国から借金するか、そうでなければ過度なインフレを受け入れるしか経済再生の道はなかった。ところが日本はある偶然から、借金に頼ることなく大量の外貨を獲得することができた。それは朝鮮特需である。
 朝鮮戦争の勃発によってアメリカから莫大な注文が入り、日本企業は特需に沸いた。1951年の名目GDPはプラス38%という驚異的な数字だったが、それ以上に大きかったのが、貴重なドルを獲得できたことである。
 特需がなければ日本はどれだけ輸出に力を入れても、獲得した外貨は利払いに消え、国内消費の拡大は実現できなかった可能性が高い。ゼロから成長する国が必ず直面する外貨という大問題が、朝鮮特需によって魔法のように解決したのだ(いまだに外貨不足に悩む韓国を見ればその違いは一目瞭然である)。
■中国が共産革命で忙しい間に
 もう一つの偶然は中国の共産革命である。中国は日中戦争に勝利したものの、国民党と共産党による内戦が勃発。共産党政権樹立後も文化大革命で多くの死者を出すなど社会の混乱が続いた。戦後の重要な時期に内戦や権力闘争に明け暮れた中国は工業化で大きく出遅れ、その間、日本は目立った競合が存在しないなかで輸出を拡大できた。中国の共産化がなければ、今の日本は存在しなかっただろう。
 日本は幸運にも2つの偶然が重なって高度成長を実現し、結果として莫大な資本の蓄積に成功した。私たちは幸運だったことを素直に受け止め、得られた富を大切に活用しなければならない。日本にとって最大の武器は資本蓄積であり、経済回復のカギも資本の活用が握っている。間違っても、この貴重な財産を、通貨価値の毀損によって失わせるような選択だけはしてはならない。」
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💫21}─1─人類絶滅の原因となる「絶滅の負債」とは?〜No.135No.136No.137No.138 

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 この世に存在するモノすべて寿命が存在する。
 それは、人類とて例外なではなく何時かは絶滅する。
 人類は、死に意味を持たせる為に宗教を生み出し、死への精神的恐怖を和らげる事で生きる意味を見出し、死後の世界を想像する事で絶望を回避して日々を安心して生きてきた。
 その究極の理想的生き方が、日本民族の祖先であるヤポネシア人(旧石器人=岩宿人)、縄文人(日本土人)であるが、現代の日本人とは無関係である。
 縄文人の生活とは、自給自足・地産地消における地場の原則で、農耕に過度に頼らず、周囲にある身近な森や海の自然から得られる恵みの範囲内で質素に慎ましく生きる狩猟・漁労・採集の生活である。
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 2022年9月4日 MicrosoftNews ダイヤモンド・オンライン「【人類は“絶滅”する】人類が返済しなくてはいけない「絶滅の負債」とは?
 ヘンリー・ジー,竹内薫
 © ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo: Adobe Stock
 地球誕生から何十億年もの間、この星はあまりにも過酷だった。激しく波立つ海、火山の噴火、大気の絶えまない変化。生命はあらゆる困難に直面しながら絶滅と進化を繰り返した。ホモ・サピエンスの拡散に至るまで生命はしぶとく生き続けてきた。「地球の誕生」から「サピエンスの絶滅、生命の絶滅」まで全歴史を一冊に凝縮した『超圧縮 地球生物全史』は、その奇跡の物語を描き出す。生命38億年の歴史を超圧縮したサイエンス書として、ジャレド・ダイアモンド(『銃・病原菌・鉄』著者)から「著者は万華鏡のように変化する生命のあり方をエキサイティングに描きだす。全人類が楽しめる本だ!」など、世界の第一人者から推薦されている。本書の発刊を記念して、内容の一部を特別に公開する。
 「絶滅の負債」を返済するとき
 人類が地球に与えた影響のほとんどは、ホモ・サピエンスが石炭の力を大規模に利用しはじめた、約三〇〇年前の産業革命以降に発生している。
 石炭は、エネルギーに富んだ針葉樹林の遺物からつくられる。石炭につづき、人類は石油を発見、採掘する方法を学んだ。
 石油は、プランクトンの化石が、堆積した岩石によってゆっくりとしごかれ、加熱されることで変化し、エネルギー密度の高い液体炭化水素の混合物になったものだ。
 農業によって増加しはじめた人口は、化石燃料を燃やすことで拍車がかかったが、この人口爆発は、わずか数世代のあいだに起きた。
 人類による騒乱
 二酸化炭素は、二酸化硫黄や窒素酸化物などとともに、化石燃料の燃焼によって生じる重要な副産物だ。石油の加工により、鉛からプラスチックにいたるまで、さまざまな汚染物質が放出されるようになった。
 その結果、気温の上昇、動植物の絶滅、海の酸性化によるサンゴ礁の破壊などが起きている。
 これは、マントル・プルームが有機堆積物をつらぬいて燃やし、地表に到達するのと同じくらい甚大な影響だ。
 ペルム紀マントル・プルームの噴出によって苦渋の結末を迎えたのとは対照的に、今回の人類による擾乱は、きわめて短時間で終わるだろう。
 すでに、二酸化炭素の排出を減らし、化石燃料以外のエネルギー源を見つけるための対策がとられている。
 「何かが起きた?」
 人類が引き起こした炭素の急上昇のグラフは、ピークは高いが幅は針のごとく狭く、おそらく長期的には検出できなくなるだろう。
 人類が大量に存在したのは非常に短い期間であり、たとえば二億五〇〇〇万年後には、ほとんど遺骨が保存されていないはずだ。
 きわめて感度の高い検出機器を使う未来の探鉱者たちであれば、新生代氷河時代に入って少ししてから「何かが起きた」ことを示す、珍しい同位体の痕跡を検出することができるかもしれない。
 ホモ・サピエンスは消滅する
 だが、それが何なのか正確にいうことはできないはずだ。
 今後数千年のあいだに、ホモ・サピエンスは消滅するだろう。
 その原因の一つは、長いあいだ未払いになっていた「絶滅の負債」を返済しないといけないから。
 人類の生息域は地球全体だが、人類は積極的に生息に都合の悪い環境をつくってきた。
 絶滅の理由
 人類絶滅の最大の理由は、人口の移り変わりがうまくいかないことだ。
 人類の人口は今世紀中にピークを迎え、その後減少へと転じる。
 二一〇〇年には、現在の人口を下回るだろう。人類の活動によって地球が受けたダメージを回復させるために、さまざまな工夫がなされるだろうが、人類は、あと数千年から数万年以上は生き残れないだろう。
 人類は、もっとも近い親戚の類人猿と比べると、遺伝学的にすでに著しく同質だ。
 これは、人類史の初期に何度か、遺伝的ボトルネックが生じ、その後、人口が急増したことを示している。まさに、何度も絶滅の危機に瀕した過去の置き土産だ。
 先史時代、太古のむかしの出来事により、遺伝的な多様性が足りないこと、現在の生息地の喪失による絶滅負債、人間の行動や環境の変化による少子化、より局所的な、小さな集団が直面する、ほかの集団から孤立する問題などが組み合わさり、人類は絶滅するのだ。
 (本原稿は、ヘンリー・ジー著『超圧縮 地球生物全史』〈竹内薫訳〉からの抜粋です)」

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 2022年9月5日 YAHOO!JAPANニュース 47NEWS「沖縄の人々が感じ取る、日本の政権幹部の変化 「苦難の歴史」に対する無理解を隠さない政治家たち
 政府の主権回復式典に抗議して開かれた「4・28屈辱の日沖縄大会」=2013年4月28日、沖縄県宜野湾市
 太平洋戦争に敗れた日本が、主権を回復したのは約7年後、サンフランシスコ平和条約が発効した1952年4月28日だ。一方、沖縄は日本から切り離され、アメリカの施政権下に置かれた。このため沖縄では、4月28日は「屈辱の日」と呼ばれる。日本政府は今年の4月28日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、沖縄県の対応を是正するよう指示。神経を逆なでするような措置に、沖縄県関係者からは「あえてこの日にやったのでは」と不満が渦巻いた。
 今回の件だけでなく、近年、沖縄の「苦難の歴史」を知る政治家が少なくなったせいか、政府側の無理解や冷酷さが指摘されるようになった。以前の政権幹部には、考えや立場が違っても、根底にはある種の信頼関係があったという。「溝」はいつの間にこんなに広がってしまったのか。(共同通信=西山晃平)
 ▽少女暴行事件
 2013年4月28日、東京で政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」が初めて開かれた。「天皇陛下、万歳」。安倍晋三首相は、出席者の声に呼応する形で両手を上げた。ただ、沖縄では式典に合わせて抗議大会が開かれ、主催者発表で約1万人が「県民の心を踏みにじり、再び沖縄を切り捨てるものだ」と怒りの声を上げた。沖縄と政府の認識の違いが、あらわになった象徴的な1日となった。
 政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」で万歳する安倍晋三首相(左端)=2013年4月28日、東京・永田町の憲政記念館
 どう受け止めたのかを聴こうと、米軍キャンプ・ハンセンを抱える沖縄県金武町の吉田勝広元町長(77)を訪ねた。かつて米兵向けバーだった雰囲気の残る事務所で、椅子に深く腰かけた吉田氏は「苦しめられた日に、なぜ式典をやったのか。現場を見ない、知ろうとしない国会議員が増えた」と語り、1995年の少女暴行事件を回想した。
 事件は、米兵3人が少女を暴行。95年10月、事件に抗議し、沖縄県宜野湾市海浜公園を約8万5千人(主催者発表)が埋め尽くした。1972年の日本復帰後、残り続けた米軍による事件・事故に怒りのマグマが噴出した。
 沖縄に向き合ったのが、1996年1月に就任した橋本龍太郎首相だった。沖縄入りした橋本氏は予定時間を大幅に超過し、吉田氏ら首長の訴えに耳を傾けた。金武町の米軍ブルービーチ訓練場を視察した梶山静六官房長官も、吉田氏に「素晴らしい海だ。何とか返還を実現したい」と熱く語り、抱き合った。
 ▽摩文仁の丘
 橋本氏らの脳裏にあったのは、日米双方で20万人超が死亡し、うち一般住民が推計約9万4千人を占める沖縄戦と、その後の米統治だった。
 梶山氏は1997年に書いた当時未発表の論文に、沖縄のことを考えて眠れなくなることがあるとして「決まって目の前に浮かんでくるのが、沖縄の摩文仁の丘である。多くの犠牲者を出したこの丘を訪れた時、私は抑えようにも涙を止めることができなかった」とつづった。
 橋本氏は米軍統治を詳細に調べた大田昌秀知事の著書「沖縄の帝王 高等弁務官」に付箋を付けて読み込み、大田氏との会談に臨んだ。日米両政府は1996年4月、米軍普天間飛行場宜野湾市)の全面返還で合意する。
 吉田氏は、1970年代に社会党上原康助氏の秘書として政治キャリアをスタートさせた。橋本氏ら保守系の政治家と政治信条や政策スタンスは異なる。ただ「沖縄問題をどうにかしないといけないとの考えは同じだった。地元の声を真摯に聴く態度があった」と指摘した。
 米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市辺野古沿岸部。左は辺野古の南側の海域、手前は大浦湾=2月
 2014年12月、普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する翁長雄志知事が誕生。15年、梶山氏を「政治の師」と仰ぐ菅義偉官房長官と向き合った。翁長氏の著書「戦う民意」によると、翁長氏は、苦難の歴史に対する理解を求め「県民には『魂の飢餓感』がある」と訴えた。しかし、菅氏の応答は「溝の深さ」を感じさせるものだった。「私は戦後生まれなものですから、歴史を持ち出されたら困りますよ」
 沖縄振興予算の性格も徐々に変容していった。「沖縄の苦労に対する祖国の償い」(初代沖縄開発庁長官の山中貞則氏)とされていたはずが、基地の受け入れ態度で額が増減し「アメとムチ」とも評されるようになった。こうした政府の態度には、辺野古移設容認派の保守系政治家でさえ「沖縄は地上戦で焦土と化し、戦後は米統治下に置かれ、高度経済成長から置いていかれた。基地問題とのリンクは違うだろう」と漏らした。
 ▽祝賀とはほど遠く
 沖縄は今年、日本復帰から50年の節目を迎えたが、祝賀ムードとはほど遠かった。4月28日、沖縄県北端の国頭村と、鹿児島県南端の与論町与論島)を出港した船計約20隻が海上に集まる集会があり、基地負担解消などを訴えた。
 ただ、国頭村辺戸岬で開かれた「祖国復帰50周年記念式典」では、頭上を米軍機が何度も飛来。騒音で関連の催しが一時中断する場面もあり、復帰後も残ったままの負担を印象づけた。日没後、かがり火をたく集会で、復帰運動で歌われた「沖縄を返せ」を合唱していた女性は「日の丸を振り、祖国の誇りを持って復帰した。米軍基地を減らさないといけない」と語った。
 一方、政府はこの日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、県が不承認とした「設計変更申請」を認めるよう是正を指示。辺野古反対派の1人は「あえてこの日を選んで命令したのではないか。国は冷酷で非情だ」と話した。
 「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」から3年後の16年4月28日には、元米海兵隊員で軍属の男が、うるま市で20歳の女性会社員を殺害した。遺族と交流のある吉田氏は、命日には基地に隣接した遺体発見現場に献花台を設置し、祈りをささげる。
 吉田氏は、草の生い茂る遺体発見現場に記者を案内した際、こう嘆いた。「沖縄でこんな事件や事故が繰り返されているのに、政府は解決策を示さない。日本の主権は本当に回復したのか」(肩書は当時)」
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🌌21}─5─シベリアのツンドラはあと500年以内に消失してしまう可能性がある。~No.104 ⑯ 

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 2022年9月1日 MicrosoftNews Forbes JAPAN「グリーンランドの氷床融解で今世紀中に海面27センチ上昇か
 © Forbes JAPAN 提供8月29日に発表された研究によると、世界が今後1世紀の間に炭素排出量を削減したとしても、グリーンランドの氷床の急速な融解で世界の海面が約10.8インチ(約27センチ)上昇すると予想されている。今年、切迫した気候予測が相次いでいるが、今回の研究はその最新のものとなる。
 科学ジャーナル『Nature Climate Change』に掲載されたこの研究は、デンマークグリーンランドの地質調査所の研究者によって行われた。研究によると、グリーンランドの氷床が2000年から2019年にかけて記録された速度で融解し続けた場合、氷床総量の約3.3%を失い、海面が大きく上昇する可能性があるという。
 研究著者はこの融解プロセスにどれくらいの時間がかかるかは予測していないが、予想される融解のほとんどは「今世紀中」に起こる可能性があると指摘している。
 研究者のジェイソン・ボックスは、10.8インチという数字は地球が温暖化を続けないと仮定した場合の「非常に保守的な最低ライン」だと指摘する。グリーンランドの氷が2012年のような酷暑の年に記録された速度で溶けた場合、海面は30.8インチ(約78センチ)上昇する可能性があるという。
 最近発表された他の予測ではこれよりはるかに厳しいものもある。気候変動に関する政府間パネルは昨年、温室効果ガスの排出削減や気候変動の抑制にどれくらい成功するかにもよるが、グリーンランドが2100年までに海面上昇に2〜5インチ(約5〜12.7センチ)寄与する可能性があると発表した。
 今回の論文は衛星画像と観測データを用いてグリーンランドの厚さ1マイル(約1.6キロメートル)の氷床が、雪で厚くなるよりも速く溶けている場所を推定している。数学モデルを用いた他の多くの海面上昇研究とは一線を画している。
 世界の他の地域でも氷の融解は海面上昇の原因となり、低地に住む多くの人々にとって深刻な脅威だ。巨大な南極の氷床も溶けているが、ここ数十年の海面上昇の大部分はグリーンランドでの融解によるもので、山岳氷河の溶けた氷が海に流れ込む可能性もある。
 昨年来、世界は気候変動がもたらす被害についてますます悲惨な予測に直面していて、その多くは元に戻すのが困難なものだ。国連は今年初め、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素の排出量を削減したとしても、今後20年間で地球の気温は1.5度上昇する可能性があると発表した。
 ある研究によれば、北極圏は地球の他の地域よりも早く温暖化が進んでおり、グリーンランドの氷床への脅威はさらに深刻なものとなっている。多くの専門家は気候変動が最近の干ばつや熱波の原因になっていると考えている。また、将来の温暖化が大規模な絶滅現象につながり、感染症が蔓延しやすくなる可能性を指摘する研究もある。
(forbes.com 原文)」
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 9月1日10:39 MicrosoftNews KYODONEWS 共同通信「CO2平均濃度、過去最高に 93年から海面9.7センチ上昇
 © KYODONEWS 北極圏に浮かぶ氷の上でたたずむシロクマ=2017年7月(AP=共同)
 【ワシントン共同】米海洋大気局(NOAA)などの国際チームは8月31日、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)の大気中の平均濃度が、2021年は近代観測が始まってから最高の414.7ppm(1ppmは100万分の1)になったとの報告書を公表した。海水面も人工衛星による計測が始まった1993年に比べて9.7センチも上昇した。
 世界の平均気温も集計により異なるが、21年は観測史上5~6位の高さだった。
 報告書によると、21年のCO2濃度は20年から2.3ppm増加。強力な温室効果ガスであるメタンの濃度も過去最高となった。」
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